グッズの戦場で中国の大人気キャラがミッキーに勝てないのはなぜ?―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月16日(金) 19時40分

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ここ数年、中国の映画娯楽産業が急成長を遂げている。特に一部の作品は好評で動員数も多いが、キャラクターグッズ市場はまだ十分に構築されていない。写真は「哪吒の魔童降臨」。

ここ数年、中国の映画娯楽産業が急成長を遂げている。特に一部の作品は好評で動員数も多いが、キャラクターグッズ市場はまだ十分に構築されていない。中国経済網が伝えた。

キャラクターグッズとは、キャラクターのコンテンツ収入のほかに、派生して生まれた一連の消費財を指す。最も典型的なケースは映画の関連グッズで、衣類、玩具、フィギュア、マンガ、テーマパークなどの周辺商品がある。世界での事例からわかるのは、優れたキャラクターグッズの展開力は往々にしてコンテンツそのものを上回ることだ。たとえば米国のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのキャラクター「ミッキーマウス」は1928年の誕生から現在までの間に、関連グッズのライセンス収入だけで毎年約25億ドルを稼ぎ出す。

8月11日現在、中国産アニメ映画「哪吒の魔童降臨」は興行収入が累計34億5000万元(約517億5000万円)に達し、中国映画興行収入ランキングで5位になった。封切りから13日連続で単日の興行収入でトップに立ち続け、中国映画史上初の「興行収入30億元(約450億円)クラス」入りしたアニメ作品になった。映画チケット情報プラットフォーム「猫眼」のチケット専門サイトによれば、「哪吒」の最終的な興行収入は47億元(約705億円)に達する見込みという。

興行収入の爆発的な伸びが関連グッズの人気も牽引し、淘宝(タオバオ)のプラットフォームでは公式ライセンス商品の1枚99元(約1500円)するTシャツが、予約開始から2日で6000枚の受注があり、名実ともに「爆発的人気商品」になった。

オンラインショッピング案内プラットフォームの返利網がこのほど発表したデータでは、中国産マンガ・アニメの関連グッズがマンガ・アニメグッズの全売り上げに占める割合は、2017年の14.02%から、今年上半期は38.45%に上昇した。数字を押し上げる中心層は95後(1995年から1999年生まれ)の若い世代だ。返利網のデータによれば、今年1-7月の国産アニメグッズの売り上げでは、95後が47.34%を占め、他の年齢層の消費者を大幅に上回った。

観客やファンからは、作品を高く評価する声とは裏腹に、グッズについては恨み節も聞こえてくる。「哪吒のフィギュアが手に入らない」、「哪吒と同じ乾坤圏ブレス、敖丙と同じ竜の角のヘアピンがほしい。公式グッズはいつ発売になるの?」、「値段があまり高くならないで、質も確保してほしい」といった声が聞こえる。

哪吒は映画も関連グッズも売り上げを伸ばしているが、これまでの国産アニメ映画の経験を踏まえると、グッズ収入と興行収入では比較にならないことが多かった。15年に封切りされた「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」は好評で動員数も多く、関連グッズもオンライン発売初日に営業収入が1000万元(約1億5000万円)に達したが、最終的には5000万元(約7億5000万円)に届かず、その一方で興行収入は10億元(約150億円)に迫った。

阿里巴巴(アリババ)影業集団傘下のグッズプラットフォーム・阿里魚の王国毅(ワン・グオイー)副社長は、「相対的に言えば、アニメやSFなどジャンルの映画は実写映画よりも関連グッズを作りやすい。ハリウッド作品と比べて、中国の映画グッズ市場はまだ初期段階にある」と述べた。

国泰君安証券のまとめた研究報告によると、ハリウッド映画のグッズ開発は明らかに段階を踏んでいる。13年のディズニーアニメ「アナと雪の女王」の場合、映画の興行収入が第1段階、それからDVDが発売され、オンデマンドで配信される。第3段階はテーマパーク、そして最後は消費財、舞台公演、ゲーム開発などの形で「稼いで」いく。ヒロインのエルサのフィギュアは米国市場で2600万ドルを稼いだという。

阿里魚は以前、「永遠の桃花~三生三世~」と「旅かえる」などの関連グッズプロジェクトに参加したほか、傘下のクラウドファンディング・プラットフォームで塞凡科幻空間と中影営銷が共同製作したSF映画「さまよえる地球」に出てくる惑星エンジンや輸送車のレプリカといった関連グッズを発売した。王氏は、「ハリウッド映画は全体的にレベルが高く、一連の著作権を備え、関連グッズ開発の計画と管理はより専門的で規範化されており、ライセンス所有者からの信頼も厚く、協力を展開する際には従うべきルールがちゃんとある」と指摘した。

映画ファンの多くがネットで哪吒グッズについて語る時、「応援したいがなかなか手に入らない」と嘆く。「哪吒の周辺グッズを買うのは、新鮮さや楽しさを味わいたいからで、10日も半月も待っている間に、トレンドは終わってしまう」という。

王氏は、「今や、中国は誰かのために代理加工をする世界の工場にはとどまらない。成功した関連グッズは文化娯楽コンテンツとうまく結びついているもので、『爆発的人気グッズの誕生=適切なキャラクター+細やかなブランド設計+創意工夫を凝らしたデザイン』だ。キャラクターグッズの分野で、工業製造、ブランド創造、オリジナルデザインなどの各能力を十分に発揮させようと思えば、ライセンス協力のリスクをできるだけ低下させ、協力パートナーの積極性と主体性を発揮させることが必要だ」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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