中国の楽玉成外交副部長（外務次官）と日本の秋葉剛男外務次官は10日、長野県で新たな日中戦略対話を行った。双方は大阪での日中首脳会談における重要な共通認識を積極的に実行に移し、新たな時代の要請にふさわしい日中関係の構築に努めることを再確認した。新華社が伝えた。

アナリストによると、日中が戦略対話を7年ぶりに再開したことは、両国が政治的相互信頼を強化し続けていることの現れであり、双方の協力拡大にプラスだ。日中はさらに協力を強化し、共に試練に対処して、混迷する世界にさらに多くの安定性とプラスのエネルギーを与える必要があるという。

■対話再開には重大な意義

戦略対話の再開は、日中が政治的相互信頼を強化し続けていることの現れだと分析される。

日中戦略対話は2005年5月に開始。2012年6月までに13回行われ、両国間の政治的障害の克服、両国の戦略的互恵関係の基本的枠組と重要な内容を確定するうえで重要な役割を果してきた。だが後に中断された。

ここ数年、日中関係は次第に回復してきた。2017年11月11日、日中国交正常化45周年にあたり、両国首脳はAPECダナン首脳会議に合わせて会談。2018年、両国は日中平和友好条約締結40周年を迎え、ハイレベル往来など一連のイベントを行った。2019年6月、両国首脳はG20大阪サミットに合わせて会談し、10項の共通認識を確立して、日中関係発展の方向性を確定した。

中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東室長は、「政治的相互信頼は双方の友好関係を推進し続けるうえでの基礎だ。2017年以降、日中は文化交流、海洋対話、安全保障対話などを実施して、今回の戦略対話再開に向けた良い地ならしをした」と指摘。

日中戦略対話の再開は日中協力の推進に寄与する。呂氏は「経済、貿易、エネルギー、環境保護、高齢者福祉などの分野で日中には非常に大きな協力の余地がある。両国が協力の過程で包括的に相互信頼を増強し、両国関係のたゆまぬ好転・発展を促進することを希望する」と語る。

■調整を強化して試練に対処

日中関係は二国間のみならず、地域さらには世界の平和的発展にも関わる重要な関係だ。世界で一国主義と保護主義が台頭し、不確定性と不安定性が依然際立つ現在、日中両国は調整と協力を強化して、試練に共同で対処する必要がある。

呂氏は「地域経済協力の観点では、日韓の貿易摩擦が日中韓自由貿易協定（FTA）交渉に影響を与えるのは必至だ。日中韓FTAは3カ国の利益に関わるのみならず、東アジア経済全体の共通利益にも関わる。日韓摩擦は域内包括的経済連携（RCEP）交渉にも影響を与えかねない。日中双方はこうした問題について意志疎通と協議を行う必要がある。地域安全保障の観点では、日中双方は朝鮮半島などの問題について率直な意見交換をする必要がある」と指摘する。

両国首脳は大阪で「日中は共にアジアの重要な国、世界の主要なエコノミーであり、多国間主義と自由貿易体制を共同で守り、地域統合を積極的にリードし、開放型世界経済の構築を推進し、世界各国の共同発展を促進するべきだ」と表明した。

早稲田大学現代中国研究所の青山瑠妙所長は「アジアの大国である日中がさまざまな地域問題について意見交換できることは、アジアの安定にとって非常に重要だ」と指摘する。（提供/人民網日本語版・編集/NA）