痛風薬でアルツハイマー病も治療できる?中国で臨床試験実施の可能性―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月10日(土) 10時20分

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アルツハイマー病の治療に、現在すでに痛風薬として応用されているフェブキソスタット(フェブリク錠)が効くという。その臨床試験を中国で行う計画が進んでいる。

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人々の寿命が延び、社会が高齢化していくにつれて、認知症が社会問題となっている。認知症のタイプの中で最も多いとされているのが、アルツハイマー病によって起こるアルツハイマー型認知症だ。そのアルツハイマー病の治療に、現在すでに痛風薬として応用されているフェブキソスタット(フェブリク錠)が効くという。その臨床試験を中国で行う計画が進んでいる。

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北京市の産業発展促進会で7日、日本のNeSA合同会社医薬開発コンサルタント・日本医科大学名誉教授で医学博士の西野武士氏、鳥取大学医学部附属病院診療教授・神経病理診断科長の加藤信介氏、北京大学第三医院神経内科主任医師の肖衛忠氏ら日中の医学専門家による座談会が行われ、アルツハイマー病予防・治療、新薬研究開発、両国学者間の相互理解・学術交流促進について討議が行われた。中国産業発展促進会や日中産学官交流協会など関連機関の代表らも今回の座談会に参加し、日本で研究開発された新薬フェブキソスタットの中国での臨床試験や導入などについて意見を交換した。

痛風薬フェブキソスタット開発の理論的指導者である西野武士氏によると、アルツハイマー病患者の脳では、まずアミロイド蛋白に次いでタウ蛋白が沈着し、その後脳萎縮が始まり、記憶障害が起こる。さらに進むと臨床症状が現れるようになる。西野氏は研究の過程で、尿酸量を低下させる痛風薬として開発したフェブキソスタットがアミロイド蛋白とタウ蛋白の沈着を抑制できることを実証し、アルツハイマー病治療薬としても有効であると考えた。アルツハイマー病モデルマウスに対しフェブキソスタットを投与したところ、アミロイド蛋白沈着の遅延、タウ蛋白沈着の遅延、アルツハイマー病行動進行の遅延がみられた。このアルツハイマー病モデルマウスは鳥取大学医学部附属病院診療教授の加藤信介氏が世界で初めて生み出したもので、ヒトアルツハイマー病の病理的特徴である老人班と神経原線維変化と同一の構造物を持っている。

報道によると、アルツハイマー病は世界で治療薬開発の成功率が最も低い疾病だという。成功に至らない原因について西野氏は、従来のアルツハイマー病治療薬はアミロイド蛋白とタウ蛋白を取り除くことに重点を置いていたからだと考えている。一方、西野氏らが開発した新薬は、アミロイド蛋白とタウ蛋白の沈着を抑制することに重きを置いている。

西野氏によると、アルツハイマー病に罹患すると脳が委縮していき、元の状態を回復することは難しい。したがって、早期発見と早期治療がカギとなる。西野氏の研究チームが開発した新薬は病情の進行を遅らせることを重視している。新薬は患者の生活の質を大きく改善するだけでなく、家族や社会の負担を軽減し、社会的経費の削減につながる。フェブキソスタット自体はすでに痛風薬として長年応用されており、これを基にして開発された新薬は比較的安全性が保障されている。しかも、蛋白の沈着を抑制することに重きを置いており、作用原理がほかの薬と異なるため、服用効果も期待できる。西野氏らはこの新薬の臨床試験を中国で行う計画を進めており、座談会ではその可能性や具体策についても意見交換が行われた。

中国産業発展促進会副会長の李小軍氏は座談会で、「近年、中国は健康や保養といったテーマを非常に重視している。8月5日、国務院弁公庁は21部門・委員会からなる養老サービス部門間合同会議の設立を許可する文書を発した。同文書は「この合同会議は公章を持たず、公式通達も出さない」としており、これは重要なシグナルでもある。この措置により、国内外の先進的医薬や技術の中国における応用が大きく後押しされることになるだろう。協会では中日の専門家に対し交流と協力の場を提供し、国民の健康に役立つプロジェクトが実施され、技術が応用されるよう促していく」と述べた。

アルツハイマー病は最もよくみられる認知症タイプで、認知症の60%以上を占めるという。中国のアルツハイマー病患者はすでに1千万人以上と、世界最多となっており、しかも年間30万人以上のペースで増えているという。(提供/人民網日本語版・編集/AK)

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