顧客に代わってジムや車の点検、発展する「代行経済」―中国

人民網日本語版    2019年8月10日(土) 14時20分

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中国で「代行経済」が人気となっている。写真は中国のジム。

1日、重慶市九竜坡区袁家崗街道に暮らす龔洪平さんのこの日最初の仕事は、顧客に代わって自動車の毎年の定期点検に行くことだった。午前8時に顧客から車を受け取ると、9時半頃に同市南岸区にある自動車検査ステーションに到着し、点検を終えて車を返却したのは大体11時だった。龔さんはこの仕事で300元(約4500円)を稼いだ。工人日報が伝えた。

同市には龔さんのような特殊な仕事をする人が一定数いる。特殊というのは、この人たちがプロ化した職業集団ではなく、その仕事に決まった名称がなく、仕事の内容が状況によっていろいろ変わるからだ。購入代行を手がけることもあれば、文書を代行で送付する、整理券を代行で取りに行ったり列に並んだりする、医療機関を探して薬を買うこともある。それだけではなく、代行でジムに行ったり、顧客と一緒に食事やウィンドウショッピングや買い物にも行き、自分の懐は痛まないばかりか、報酬をもらって稼ぐこともできる。

■「代行経済」が生活に浸透

実際、誰かのために奔走して報酬を得るのは珍しいことではない。よく知られているのはスマートフォンのアプリケーションを利用した運転代行サービス「e代駕」だ。友人と集まって酒を飲んだ顧客が、アプリを通じて運転代行者を探し、自分と車を家まで安全に送り届けてもらうというものだ。10年近く前に登場したe代駕は、今では全国数百都市に数十万人のドライバーを擁し、ピーク時には受注件数が12万件を超えるという。

とりわけ最近は、便利で迅速なモバイルインターネット技術によって、「代行経済」がより専門的で現地化した姿で暮らしの中の細分化されたさまざまな場面に浸透している。

「代行経済」の起業プロジェクトに資本が集まっている。スーパーの購入代行プロジェクト「即買送」は業務を開始するとすぐにエンジェル投資家から1500万元(約2億2500万円)の投資を集めた。病院受診に関連したサービスを提供する「e陪診」の創始者・岳建雄さんは、「中国では毎年のべ33億人が病院を受診し、北京だけで年にのべ2億3万人が病院に行くほか、市外から来て医療機関にかかる患者も一日で70万人に上り、受診する人のうち67.5%は誰かがつきそっている。e陪診からみると、そのうち1%を獲得するだけで60億元(約900億円)の市場が生まれるので、つきそい代行サービスには計り知れないビジネスチャンスがあるといえる」と豪語する。

■代行サービスは多種多様

龔さんは、「自分たちのチームはさまざまな代行サービスを提供する。購入代行、物品のスピード配送(郵送や市外からの発送も可)、順番待ちや受付、企業の業務代行(企業の登録、変更、税金の申告、商標登録など)、自動車のプレート取得や登録、定期点検などがある」と話す。

龔さんたちは最近、これ以外の「一般お知らせサービス」と「クレイジー監督サービス」を打ち出した。顧客の指定した方法と時間に従って、その時間に正確に連絡を入れるサービスで、料金はどちらも1回あたり20元(約300円)だ。

龔さんは少し前、見知らぬ女性から「私の代わりにジムに行ってくれませんか」という微信(WeChat)のメッセージを受け取った。代行サービスを始めて7年目になろうとする龔さんも、これには驚いた。

その後のやりとりでわかったのは、その女性はインターネットで重慶のダイエッターが発信していたダイエットプログラムを見た。そのダイエッターが市内にジムを構えているというので、効果があるかどうか行って試してほしいという依頼だった。交渉の末、龔さんは代行でプログラムを1カ月間体験し、1回あたりサービス料として100元(約1500円)を受け取り、ジムの費用は女性持ちということになった。

■ものぐさ経済と遊休経済が結合

先に一世を風靡した「飲食代行サービス」、「猫・犬のお世話代行サービス」などのこれまでにない体験型消費は、SNSやさまざまなメディアに次々情報が上がる。今では、ECプラットフォームで「飲食代行」のサービスを検索すると、たくさんのリンク先が見つかる。「10分で到着」をうたった価格6.4元のミルクティー飲食代行サービスへのリンクをみると、32人が「利用したい」としていた。

こうした「お金を払って自分の代わりに消費してもらう行為」について、艾媒咨詢(iiMedia Research)の劉傑豪アナリストは、「SNSはこうした個性的な消費が誕生する際に重要な役割を果たしている。若い消費者のニーズやトレンドは変化が早く、こうしたニッチで新しい消費行為はSNS上で競うゲームのようであり、市場で引き続き勢いを保とうと思えばさまざまな挑戦に直面することになる」との見方を示す。

代行ビジネスのように、実際に一定のニーズがある「代行経済」には、さまざまな解釈が考えられる。さきにアナリストは、「『代行経済』はものぐさ経済と遊休経済が結合したものとみることができる。代行者は自分の時間を売って他人の時間の代わりとし、そこから経済的利益を得る。今後、時間コストは上昇し、人によって時間がもつ価値は変わっていく。『代行経済』の未来の発展の可能性は推して知るべしだ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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