中国大陸からの個人旅行が当面中止で、台湾観光産業が「食べていけない」状況に?―中国メディア

Record China    2019年8月5日(月) 23時10分

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中国メディアの央視新聞は8月3日、中国大陸から台湾への個人旅行が全面停止された問題で、台湾メディアから懸念の声が上がっていると伝えた。写真は台湾。

中国メディアの央視新聞は8月3日、中国大陸から台湾への個人旅行が全面停止された問題で、台湾メディアから懸念の声が上がっていると伝えた。

7月31日、文化観光部は『海峡両岸旅游交流協会が大陸住民の台湾個人旅行の試験的実施を暫時停止する公告』を発表し、2019年8月1日から大陸の47都市の住民が個人で台湾へ旅行することを当面停止すると発表した。2011年6月28日に上海、北京、アモイの3都市から台湾への個人旅行が開放されて以来、現在では合計47都市から台湾への個人旅行が試験的に認められている。記事によると、これまでに、のべ723万人を超える大陸観光客が台湾を訪れているが、その内訳は団体旅行客と個人旅行客がそれぞれ半分を占めている。2018年、大陸から台湾を訪れた団体旅行客はのべにして約130万人、FIT(Full Independent Tour、少人数グループ旅行)がのべ140万人だったという。記事は「大陸からの台湾行き個人旅行が当面中止されたことで、台湾の観光産業に大きな衝撃がもたらされるだろう。とりわけ個人旅行客から人気が高い花蓮、南頭などは極めて大きな痛手になるだろう」と述べた。

次に「専門家は、影響は個人旅行だけにとどまらないだろうと見ている」と指摘。台湾の観光部門は、8月から来年2月までに台湾を訪れる大陸観光客はのべ70万人に減少すると予測しているという。花蓮などの観光業者も「個人旅行の観光客は旅行客の中で大きな割合を占めており、大きな消費をもたらす。制限令が実施されれば、地元の観光産業にかなり大きな衝撃をもたらすだろう」と語っているという。

記事はさらに、「個人旅行は滞在日数が長く、若い人が多い市場のため、かなり広い範囲に影響が及ぶだろう。下半期の台湾観光産業は168億元(約2580億円)の損失が見込まれる」とし、「台湾『観光発展協会』の柯牧州(カー・ムージョウ)副理事長は、近年大陸から台湾に訪れる観光客の1人1日あたり平均の消費額は約6200新台湾元(約2万1000円)と試算している。経済学の産業チェーン『後方関連効果』の概念に照らせば、大陸からの観光客1人が台湾で1新台湾元(約3円)使えば、台湾の観光産業全体にとっては2.5新台湾元(約8円)の効果をもたらすことになる。これに基づいて計算すると、下半期の台湾観光産業の生産値は760億新台湾元(約2580億円)減少するものと見込まれる」と指摘。柯副理事長は、「下半期の大陸からの個人旅行客数が減少すると、ホテル、レンタカーなど大陸からの旅行客に依存していた多くの産業は大量の失業者に見舞われるだけでなく、極端な場合『食べていけない』苦境に直面するだろう」と指摘しているという。

記事は最後に「台湾の交通部門は、今年第4四半期に『秋冬旅行キャンペーン』として観光産業に36億新台湾元(約122億円)の予算を投入する考えだ。団体、個人旅行客に補助を出すのに加え、入園料の割引などの刺激策を推進する。だが、台湾メディアはこうした措置は旅行業の損失を補えないだけでなく、落ち着きを装っているだけだと評している」とし、「『中時電子報』の頼岳謙(ライ・ユエチエン)社長は『大陸がこうした挙に出た核心は蔡英文当局の目を覚まさせて両岸関係の平和発展の重要性を正視させることに他ならない』と論評している。だが、民進党当局の行政部門は、『今回の措置は台湾当局を罰することはできず、旅行客や観光産業の人々を苦しめるだけだ』と主張している」と伝えた。

記事は「こうした他人事のような言い方は人々をがっかりさせるだけではなく、人々にこの政府はまるで両岸関係がこう着している原因の最大の根源が自分たちにあることを分かっていないという疑念を抱かせるだろう」と述べている。(翻訳・編集/坂下晃)

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