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<直言!日本と世界の未来>日韓民間交流の中断を憂う=関係悪化は双方にダメージ―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年8月4日(日) 5時0分
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日韓関係が極端に冷え込み、民間の草の根交流や経済関係にも影響が出始めていることを憂慮している。

日韓の間では162の自治体が姉妹・友好都市提携を結んでいるが、交流の見送りが相次いでいるという。朝鮮半島南端にある釜山は歴史的に日本との交流が活発だったが、日本との行政交流を中断すると発表。両国関係が改善するまで友好関係にある長崎県などへの訪問を見送るという。
 
瑞山市は姉妹都市の奈良県天理市に交流事業の一時停止を伝えた。昌原市はサッカーチームや合唱団の岐阜県大垣市への訪問延期を申し入れたという。これらの交流は青少年交流の一環で、次代を担う若者たちの相互理解を促すものだけに残念である。
 
 韓国側は、日本の韓国に対する輸出規制強化を問題視している。規制措置の撤回を求める文在寅政権に足並みをそろえたと主張しているようだが、政府間の関係とは別に、市民レベルで相互理解を深めようというのが姉妹都市提携の本来の趣旨だったはずである。政府同士の緊張が高まっている時こそこの種の民間交流が欠かせない。

文大統領は国民が一致団結して日本による輸出規制問題に対応するよう求めてように思われ、この姿勢が相次ぐ交流中断につながっているようだ。
 
日本政府は「自治体間交流は国民交流の柱なので、しっかりやってほしい」(河野外相)などと促すが、積極的に動こうとしない。厳しい世論を背景に、韓国の対応に冷ややかに静観しているだけのように見える。

日本政府は8月2日に、輸出手続きを優遇する「ホワイト国」(グループA)から韓国を外す政令改正を閣議決定した。韓国の対日感情は一層悪化しよう。さらに、8月15日には日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」が控える。双方のナショナリズムがただでさえ高まりやすい時期である。
 
一方で、今回の日本政府がとった輸出規制措置は、韓国だけでなく長期的にはブーメラン効果で日本企業に痛みを強いると懸念する。問題点として(1)自由貿易を主張してきた日本の国際的信頼の低下、(2)国際的な半導体供給への悪影響、(3)大口顧客である韓国企業への輸出が減る日本企業の被害、(4)韓国が代替品の調達・開発を進め、結果的に日本企業の国際競争力が損なわれる(5)韓国人の訪日観光客の激減―などが考えられるという。

報道によると、大手スーパー「イーマート」での日本ビールの7月の売り上げは前月比で62.7%減に激減、ユニクロは同30%減となった。日韓が国交正常化した1965年に1万人だった両国の往来者は、昨年1000万人を突破した。相互交流を逆戻りさせてはならないと考える。

日韓間の今回の係争発端には、韓国側の国際ルール軽視が背景にあるが、ここまでくると、もはや外交チャンネルで問題を解決することは不可能といっていいだろう。今回の問題を作り出した安倍首相と文大統領には、直接、政治主導で解決する責任があると思う。
<直言篇95>


■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。
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