世界の製造業、中国からASEAN各国への移転が加速―米誌

Record China    2013年6月15日(土) 8時29分

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11日、中国へ進出している多国籍企業の多くが、廉価な労働力や新たな市場を求めて中国から東南アジア各国へと工場や投資先を移している。写真はベトナム・ホーチミンの漆器工場。

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2013年6月11日、米華字サイトによると、米誌ビジネスウィークは、中国へ進出している多国籍企業の多くが、廉価な労働力や新たな市場を求めて中国から東南アジア各国へと工場や投資先を移していると伝えた。

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中国を世界の工場に成長させたのは、かつての中国が持っていた廉価な労働力が大きな原因の1つだった。しかし、人件費の高騰や待遇改善を求めるストライキの発生など、中国での生産環境が悪化するにつれて、外国企業の中国離れが加速してきた。

12年に世界最大の携帯電話メーカーとなった韓国のサムスン電子は、世界に工場8カ所を有しているが、その状況はここ数年で大きく変化している。同社では、09年4月にベトナムにスマートフォンの生産工場を設置するまでは、中国の工場が主力生産基地だった。

しかし、その後わずか2年間で、ベトナムの工場が主力となり、11年には第2工場を設置。さらに、今年稼働する第3工場を加えると、ベトナムの工場だけで、同社の今年の携帯電話の販売目標5億1000万台の半分近い2億4000万台の生産能力を持つことになる。

生産の主力を中国から移転しているのはサムスン電子だけではなく、多くの外国企業が中国での生産を中止したり、縮小を決定している。2002〜11年の10年間に中国が国外から受け入れた投資金額は1兆782億元(約16兆7100億円)に及んでおり、中国を世界第2の経済体に押し上げる原動力となった。

しかし、11年第4四半期(10〜12月)から風向きが変わり始めた。外資による中国への投資は、これ以降5四半期連続で前年同期を下回り、13年第1四半期(1〜3月)は前年を上回ったものの、わずか1.4%にすぎなかった。

香港の12年の対中国本土への投資は前年比7.4%減(57億2200万元=約886億9100万円)となった。台湾から中国本土への投資も2年前から減少し始めている。さらに、日本については、尖閣諸島問題の影響がいまだに大きく残り、新規の対中投資を控える状況が続いている。

では、中国を脱出した世界の製造業はどこへ生産基地を移しているのだろうか?それは、タイをはじめとする、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの頭文字)などASEAN(東南アジア諸国連合)各国である。

これは、1)人件費が比較的安い。2)大きな市場が控えている。3)交通網などインフラが整いつつある。4)ASEAN内の経済一体化が実現すれば、相互に関税が排除される。以上4つの大きな理由が存在するためだ。

一方、中国は人口13億人を擁し、依然として世界最大規模の市場である。工場の移転を招く原因となった人件費の高騰は、一方で購買力の増大につながるため、市場としての魅力はますます大きくなっていく。しかし、何かにつけて不買運動などの対象とされる日本企業にとっては、今後もさらに厳しい状況が続くだろう。(翻訳・編集/HA)

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