リニア技術に潜む地形、コスト回収、電力不足問題=実用化には原発再稼働が必須か―日本華字紙

Record China    2013年6月13日(木) 6時20分

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11日、日本の華字紙・中文導報によると、JR東海が開発を進めるリニア中央新幹線が抱える問題点について、日中の高速鉄道産業に詳しい拓殖大学の王曙光教授のインタビューを掲載した。資料写真。

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2013年6月11日、日本の華字紙・中文導報によると、JR東海が開発を進めるリニア中央新幹線が抱える問題点について、日中の高速鉄道産業に詳しい拓殖大学の王曙光教授のインタビューを掲載した。以下はその内容。

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リニア技術は主にドイツ、日本、中国の3方式があり、日本は動力が強く、省エネを特徴とする超電導方式を採用している。中国が取り入れたドイツのリニアは、車体と軌道の間隔が8ミリしかない。一方、日本の超電導リニアは車体と軌道の間が約10センチ離れており、地震発生時の衝突を防ぐ、日本ならではの安全措置となっている。また、リニアに付随する電気制御、制動、軌道や信号の安全検査に関しても日本が世界で一番優れている。このことは、東日本大震災でも十分に証明された。

一見、完全無欠に見えるリニア技術だが、山、地震、トンネルの多い地理的環境に制限されて、時速500キロのリニア中央新幹線が優位性を発揮することはなかなか難しい。

運行が予定される品川・名古屋間は約290キロ、リニアの所要時間は40分となる。新幹線の1時間半と比較して大きな優位性を持つが、JRは沿線に6カ所の駅を設ける予定で、各駅停車した場合の所要時間は1時間を超える。そのため、JRは各駅停車を1時間に1本のみとし、その他はすべて直通列車にする予定だ。しかし、そうなれば途中駅の乗客が失われてしまう。このジレンマをどう解決するかが、運営上の課題の一つだ。

また、膨大な資金の回収や電力も問題になる。乗客一人あたりの消費電力は、新幹線の約3倍で、震災後に原発の停止が相次いでいる中、電力の供給も懸念されている。

多くの問題を抱えながらも、リニア計画が推進されるのは、民営企業であるJRのプロジェクトだからだ。すでに数百億円を投じているJR側としては、当然できるだけ早く実用化し、ライバルとの競争力を保ちつつ、コスト回収をしたい。

だが、国家規模での総合的判断がないこともネックになっている。JRはコスト削減のため、中間駅の待合室や商業施設は作らないことを決定した。沿線地域の自治体や民間企業の投資を呼び込むことも当然考えているだろうし、今後計画の内容を調整する可能性、政府や自治体の支持が強化される可能性もあるだろう。多くのマイナス面をどのように克服していくのか、見守っていきたい。

リニア中央新幹線プロジェクトには、複雑な政治的背景も存在する。自民党に数多くいる土建族議員が安倍首相就任後に利権を奪回し、新たな建設ラッシュを巻き起こそうとしている。その中にはリニアがらみの利権も無数に存在する。また、民主党政権時代にリニアプロジェクトが議論を呼んだこともあり、JR側には自民党の支持率が高いうちに事を進めてしまいたいという期待もある。日本国内の政治、世論環境がリニア実現のタイミングをもたらしているといえるだろう。

また、リニアプロジェクトが原発再稼働の切り札になる可能性もある。日本を代表する技術が実用化されれば、莫大な電力を必要とする。電力不足を補うには、原発の再稼働に期待を寄せるしかない。(翻訳・編集/岡本悠馬)

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