参院選終了、依然試練に直面する日本経済―中国メディア

人民網日本語版    2019年7月24日(水) 22時20分

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今後連立政権にとっては財政健全化、年金・医療保健・介護など社会保障制度の安定化、対米貿易交渉及び対韓貿易摩擦への対処が経済分野の重大課題となる。資料写真。

日本の第25回参議院選挙の結果が出た。安倍晋三首相率いる自公連立政権は従来保持していた3分の2議席を割ったが、過半数は確実に押さえ、憲法改正以外の法案審議での主導権を引き続き掌握した。今後連立政権にとっては財政健全化、年金・医療保健・介護など社会保障制度の安定化、対米貿易交渉及び対韓貿易摩擦への対処が経済分野の重大課題となる。(文:蘇海河。経済日報掲載)

連立政権を組む自公両党は改選議席の過半数の71議席を獲得した。だが改憲に積極的な「改憲勢力」の総議席数は改選81議席で、非改選の79議席と合わせても160議席に過ぎず、改憲発議に必要な3分の2以上の議席に達しなかった。安倍首相率いる自公連立政権は従来保持していた3分の2議席を割ったが、過半数は確実に押さえ、憲法改正以外の法案審議での主導権を引き続き掌握した。

連立政権に弾みをつけるため、日本政府は選挙前に貧困世帯への生活補助支給、低所得世帯の大学生への授業料減免などの措置を打ち出した。安倍首相は全国遊説で在任中に法人所得、雇用、農産物輸出が増加し、保育士や介護士の給料が上がったなどの成果を繰り返し強調した。だが野党やメディアは「成果を過度に誇張しており、日本経済の構造の深いレベルの問題に対しては解決策を示していない」と批判した。安倍首相は経済発展よりも改憲をはるかに重視しているようだ。

すでに少子高齢化は日本社会の発展を制約する最大の課題となっている。日本の出生人口は4年連続で100万人を割り、2018年には人口が45万人純減した。これは14年連続の減少だ。寿命が延びたため、65歳以上が人口全体の28.1%、70歳以上が20.7%に達し、年金や医療保健など深刻な社会負担をもたらしている。すでに社会保障費は日本の一般会計歳出の30%を占めており、今後の増加傾向を変えるのも困難だ。いかにして社会保障費の増加に対処すると同時に経済発展を促進するかは、日本が定期的に研究している課題だ。社会保障制度改革推進会議は5年ごとに報告をまとめ、政府はこれに基づき具体的政策を調整している。

近年、同報告の基調はいずれも年金水準を下げ、財政負担を圧縮するというものだ。特に2004年に各党が提出した計画は、年金水準を現在の平均給与の60%相当から段階的に50%にまで引き下げるというもので、社会の反発を呼んだ。このため政府は、本来今年6月のはずだった社会保障制度改革報告の公表を、参院選後に先延ばしした。社会保障制度改革をめぐり、日本各界は激しい論争に直面する見通しだ。

日本は今年10月1日に消費税率を8%から10%に引き上げる。政府は低所得世帯への給付金支給、食品減税など増税による打撃を和らげる様々な措置を打ち出しているが、人々は依然経済への打撃を懸念している。2014年に消費税率を5%から8%に引き上げたことで、日本経済は3年間停滞した。現在、日本の輸出には保護貿易主義による影響が顕在化し始めている。この時期に、いかにして増税による景気への影響を最大限抑えるかは、日本政府にとって困難な試練だ。

対米貿易交渉と対韓貿易摩擦への対処も、日本政府にとって重大な試練だ。日米は5月のトランプ米大統領訪日時、参院選前の圧力を避けるため、参院選後に具体的交渉に入ることで合意。これにより米政府は安倍首相への支持を形にした。だが交渉の先延ばしは代償も伴う。安倍首相はこの配慮に一層報いる必要があり、交渉時に強気に出るのは難しい。

米国は農産物の対日輸出拡大を要求している。これが日本の農畜産業への打撃となり、自民党への農家の支持率にも影響するのは間違いない。一方日本は自動車及び部品への関税引き下げを米国に要求している。日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)水準での対米開放を提案しているが、これも米国の要求と一致しないのは明らかで、日米貿易交渉は難しい選択に直面する。

今月に入り、日本は国家安全保障を理由に半導体材料の対韓輸出を規制した。これは実質的に、第2次大戦時の韓国人徴用工への賠償を日本企業に命じた韓国最高裁判決への報復措置であり、外交紛争を貿易手段で解決しようとしていると韓国は日本を非難。世界貿易機関(WTO)への提訴も計画している。これと同時に、韓国の半導体製造が減少し、日本の電子完成品製造にも影響を与えている。口先では自由貿易の維持を主張しながら隣国に貿易制裁を発動した日本の国家イメージにも影響が出ている。

選挙期間中の世論調査では、日本国民が最も重視する課題は第1に社会保障制度の維持、第2に経済発展の促進と雇用創出だった。選挙後、日本政府が国民の関心にどう応えるのか、見守る必要がある。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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