日韓貿易戦争、北東アジア地政学転換の産みの苦しみ―中国メディア

人民網日本語版    2019年7月20日(土) 6時20分

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日韓の貿易衝突が激しさを増している。

日韓の貿易衝突が激しさを増している。日本は1日、韓国側に事前に伝えないまま、テレビやスマートフォンの製造に必要なコア材料3品目の対韓輸出を4日から規制すると突然発表した。さらに、韓国を8月1日に外為法上の優遇制度「ホワイト国」から除外することも発表した。これは韓国に対する貿易戦争の本格的な発動と見られている。現時点で日韓の貿易衝突に緩和や妥協の兆しは見られず、反対に脅し文句の応酬が続いている。日韓摩擦はさらにエスカレートする可能性がある。(文:李敦球・国際問題専門家、曲阜師範大学外国語学院教授。中国青年報掲載)

経済分野での日韓両国の正面衝突は1965年の国交正常化以降初だ。日本の対韓貿易制裁が、日韓の貿易構造が日本にとって不利だから発動したのではなく、「韓国に対する政治報復」であることは各種統計から明らかだ。安倍首相は3日「合意を遵守しない国に、引き続き優遇措置を与えることはできない」と表明した。これは日本側の措置が「政治報復」であることを認めたに等しいと指摘される。

日韓の貿易戦争の本質は、政治闘争及び外交戦略競争の延伸だ。現在の日韓摩擦の全面的勃発も決して偶然ではない。2017年の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以降、南北関係は改善し、朝鮮半島情勢は著しく緩和した。だがそれと同時に、日韓関係は急速に冷え込み、双方はほぼ毎年様々な抗議を応酬している。特に慰安婦や日本企業の労働者強制徴用などの歴史問題は日韓関係の正常な発展を妨げ続けており、2018年末の海上摩擦によって両国関係は緊張へ向かった。

日本が対韓制裁を発動した後、文大統領はすでに3回厳しい言葉の談話を発表し、態度と立場を表明した。例えば「韓国政府は必要な対応措置を取らざるを得ない」「日本政府が破滅への道を歩み続けず、呼びかけに応じることを望む」「一方的制裁を即時撤回し、外交交渉のテーブルに戻るよう日本側に促す」などだ。文大統領が強硬姿勢を3回表明したことは、事態の重大性を物語るに十分だ。

だが、経済貿易分野の摩擦という禍を転じて福と為すことができるかも知れない。これによって韓国社会は再考を促されているからだ。韓国政府は現在、日本が対韓「貿易報復」を長期間継続する可能性への対処措置を講じるため、計画を策定中だという。韓国大統領府主導で政府、企業、政界による対日同盟を結成する方針だ。日本が対韓輸出を規制した3品目など対外依存度の高いコア部品、材料、機器に対して集中支援を行い、最短の期間内に国産化と独自供給を実現し、対外依存を脱することを目指すのが、その核心的措置だ。

だが、政治と安全保障の分野では、今回の日韓「貿易紛争」が両国関係に深い亀裂を残すのは必至だ。韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相は、「安倍首相は対韓輸出の規制強化を対朝制裁決議の履行問題と同列に論じた。この論法はわれわれが現在まで維持してきた安全保障秩序を揺るがしかねない、危険な要素を含んだ発言だ」と述べた。

南北関係と米朝関係の改善が続き、朝鮮半島情勢も一段と緩和し、朝鮮半島核問題の解決に努力している現在、各国は朝鮮半島が冷戦の残した束縛から早期に脱し、朝鮮半島の休戦体制を新たな平和体制に転換するべく努力してもいる。この歴史的変化が北東アジアの従来の地政学構造・秩序を打破し、特定の国々の地政学的利益に衝撃を与え、北東アジア地政学の産みの苦しみを引き起こすことは間違いない。現在の日韓摩擦の集中的発生は、この地政学的な産みの苦しみの具体的な現れの1つであり、短期間で取り除くのは難しいだろう。北東アジアの地政秩序の再編を完成し、北東アジア経済共同体と北東アジア運命共同体を実現して初めて、北東アジア地域はより良く融合し、調和的発展へと向かうことができる。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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