日韓貿易紛争の中国への影響は?―中国メディア

人民網日本語版    2019年7月17日(水) 18時50分

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日本と韓国の紛争は中国産業界にとって「危機」でもあれば、「チャンス」でもある。資料写真。

日本と韓国の紛争は中国産業界にとって「危機」でもあれば、「チャンス」でもある。環球時報が伝えた。

フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光剤)。この3品目はあまり知られていない材料だが、1000億ドル規模の市場を動かしている。日本が今月4日から3品目の韓国向け輸出規制を強化すると発表すると、韓国産業界のみならず世界の供給チェーンに懸念が広がった。日本経済新聞の15日付報道によると、日韓間の紛争は韓国半導体産業に供給が滞るリスクをもたらすとともに、中国企業へも影響を与える可能性があるという。

■日中韓は1本の産業チェーンの上にいる

グローバル化が進む昨今、1つの商品の生産には複数の国が関わっていることが多い。メモリ(RAM)や有機ELディスプレーなどはこうした国際分業システムの代表的製品だ。日本企業(中国)研究院の陳言(チェン・イエン)執行院長が15日に取材に答えて述べたところによると、「こうした分野では、日中韓の間には比較優位性に基づいた産業チェーンの分業システムが存在する。日本は半導体と有機ELの材料を製造して韓国に輸出し、韓国は半導体と有機ELの製品を中国に輸出し、中国は再加工して携帯電話やテレビなどの製品を製造して世界に販売する」という。

米国の科学技術メディアのテッククランチの最近の報道では、韓国サムスンはメモリチップ(DRAM)とNAND型フラッシュメモリの最大のメーカーであり、世界シェアは40%と35%に達する。別の韓国企業のSKハイニックスは世界2位のDRAMメーカーで、市場シェアは31%に上る。有機ELの製造分野では、サムスンと他の韓国企業が業界トップの位置にいる。

韓国・聯合ニュースによると、日本は目下、有機ELの原材料であるフッ化ポリイミドと半導体の原材料であるレジストおよび高純度フッ化水素の最大の供給国だ。業界関係者の話では、日本のフッ化ポリイミド生産量は世界の90%を占め、高純度フッ化水素も同70%を占めるという。

産業チェーンの川下で韓国が製造した半導体製品と有機EL製品は、主に中国に輸出される。韓国の産業通商資源部が発表したデータによると、18年の韓国の半導体輸出額は1281億5000万ドルに上り、うち対中輸出額は857億8000万ドルだった。

陳氏は、「日本が韓国に対する輸出規制を実施すると、産業チェーンの正常な運営にマイナスの影響が出る」と指摘。日本経済新聞も、韓国企業の部品供給に問題が起きれば、中国の華為(ファーウェイ)をはじめとするスマートフォンメーカーの生産にも影響が及ぶ可能性があると報じた。

■マイナス影響が中国企業へも拡散か

ブルームバーグ社の日本語版がこのほど伝えたところでは、日本政府が韓国に対して規制を実施したことで、世界の製造業が深刻な影響を被っている。当事国の日韓が大きな影響を被るだけでなく、中国にも影響が及ぶ可能性があるという。

日本経済新聞によると、香港経由を含む中国の半導体メモリの輸入のうち48%が韓国企業からのものだ。中国は米国のマイクロン・テクノロジ社からDRAMを調達することもできるが、米中経済貿易摩擦の背景の下、米国からの輸入でどれくらい代替できるかはまだ未知数だという。

輸出規制のほか、日本政府は韓国を規制の対象外である「ホワイト国」から外す計画という。陳氏は、「ここから日本の規制政策が他の分野にも広がる可能性が出てきた。これに似た状況が日中韓の産業チェーン関係にも存在しており、韓国経済が受けるマイナス影響は中国や世界に拡散する可能性がある」との見方を示した。

■新たなチャンス到来の可能性も

しかし一方で、日韓の紛争は中国産業界にとって「危機」でもあれば、「チャンス」でもある。

ロシアの通信社スプートニクが紹介した専門家の分析では、今回の件により韓国のコア技術、原材料、重要部品の開発は大いに活性化するが、達成までには長い時間が必要であり、中国は韓国が代替品を探す際の重要な選択肢になる可能性が高いという。聯合ニュースが紹介した韓国経済研究院の趙京●(火へんに華)シニア研究員の分析によると、日韓経済紛争が拡大すれば、両国の電子・電機産業が損失を被り、その余波で中国の関連製品生産量が2.1%増加する可能性があるという。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストも、中国は日韓経済貿易摩擦を契機に競争上の優位性を獲得できるかもしれないとの見方を示す。引用したアナリストの話では、過去数十年間にわたり、日韓が世界の半導体産業を独占してきたが、今、市場には空白が生じており、中国の新興企業が新たな選択肢になる可能性があるという。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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