駐米英大使の辞任表明に見る米国の横暴さと英国のやむを得なさ

人民網日本語版    2019年7月12日(金) 22時40分

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英国のダロック駐米大使は10日、英外務省に書簡を送り、辞任を表明した。ダロック氏はトランプ米大統領を批判する自らの機密公電がリークされた事が様々な憶測を呼び、これ以上大使を続けるのは適切でないとその辞任を決意した。

英国のダロック駐米大使は10日、英外務省に書簡を送り、辞任を表明した。ダロック氏はトランプ米大統領を批判する自らの機密公電がリークされた事が様々な憶測を呼び、これ以上大使を続けるのは適切でないとその辞任を決意した。メイ英首相はこれについて「大変遺憾」と表明している。(文:温憲・人民日報上級記者、元人民日報北米センター支社首席記者)

英国は長年米国といわゆる「特別な同盟関係」を維持してきた。このベテランの駐米大使が突如押し寄せた大波にわずか数日で転覆させられたことは極めてドラマチックであり、極めて示唆に富むものでもあると言える。

まず、今回の件によって、米側の一連の言動は、その「最も親密な同盟国」である英国においてさえ、「不評」を買っていることが改めて露呈した。国際組織からの脱退、条約からの離脱、各国への貿易戦争発動といった近年の米政府による一連の行為は、まるで巨大なゾウが1頭、瀬戸物屋に押し入って踏みつけまくるのに等しく、西側の伝統的な同盟国をも含めた国際関係で害を逃れた国はない。EUでは二大柱である独仏両国はその憤懣を隠せず、公然たる批判を繰り返している。独仏と比べると、英国は目立って言動をあいまいにしてきた。ダロック氏は2017年以降、公電などでホワイトハウスについて「機能不全」、「予測困難」、「外交的にぶざまで無能」と繰り返し指摘。また、ホワイトハウスが「激しい内部対立と混乱にある」とのメディアの報道について「大部分が事実だ」とした。周知の通り、在外公館の重要な使命の一つは接受国の内政や外交、軍事情勢について研究判断し、本国に報告することだ。ダロック氏の公電をリークしたのは誰なのか?その意図がどこになるのか?など以前謎に包まれている。

次に、今回の件によって、英米関係はすでに容赦なく引き裂かれてしまった。トランプ大統領はこの件を知るとダロック氏について「英国の役に立っていない」や「われわれは彼の熱心なファンではない」、「彼に対していくつか言ってやりたいが、その手間をかける気すらしない」などと大々的な批判を展開。英側がダロック氏への全面的支持を表明すると、トランプ大統領はツイッターに立て続けに投稿し、「変わっている」や「横柄」、「愚か」といった言葉を使い、もうダロック氏は相手にしないと述べた。さらにはメイ首相が自分の提言を聞かず、EUと「愚かな」交渉をした結果、「ブレグジット」合意をまとめられず、「災難」をもたらしたと述べた。

米側のこうした教訓じみた言動は、まさに横暴そのものな弱い者いじめというほかない。世界中に対してずっとこうした人をあごで使うような態度の米政府は、世界規模で強い反発を受けており、英国もその例外ではない。英国は現在、首相交代のプロセスにある。トランプ大統領は以前、強硬なEU離脱派を代表するジョンソン氏が次期英首相に最も適任だと公に述べている。ポンペオ米国務長官にいたってはユダヤ系団体指導者との会談で、コービン英労働党代表が次期英首相になるのを阻止すると表明した。ダロック氏の件での米側の横暴な態度に英国では再び反発が広がっている。次期首相の座を争っているハント外相は、自身が首相に選出された場合もダロック氏を駐米大使に任命すると表明。首相と英国に対する米側の発言は「無礼で間違っている」と批判もした。一方で「強力な推薦」を得ているジョンソン氏は、ダロック氏の進退について立場表明を拒んだが、トランプ大統領が英国を政治紛争に巻き込んだことに言及し、「彼がどうしてもこうする必要があったとは思わない」と述べた。

時代は変わる。現代世界で唯一の超大国とかつての「日の沈まぬ帝国」との間で演じられたこの一幕は、英国のやむを得なさを示してもいる。「私はこの大使を知らないが、米国における評判は良くない。われわれはもう彼を相手にしない」。トランプ大統領のこの一言で、ダロック氏はそれ以上ワシントンにいられなくなってしまった。首相の座を勝ち取る可能性の高いジョンソン氏は「外交辞令」で当たり障りのない事を言った後すぐに「英国と米国が親密なパートナーシップと友情を保つことは非常に重要だ」と表明した。米国務省は全過程を通じて、適当に折り合いをつける役割を演じている。なぜなら、どうあろうとも米国は今後も英国と付き合う必要があり、「最も親密な同盟」との旗を今後も高く掲げる必要があるからだ。世界全体の戦略構造から見ると、すでにEU離脱を決意した英国はやはり米国に頼る必要があり、腹の中では批判的でも低姿勢に出ざるを得ないのだ。

最後に、世界には絶対の言論の自由など無いと言わざるを得ないだろう。ダロック氏は今回の件を通じて、この事を最も強く身をもって知ったはずだ。(編集NA)

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