日韓貿易摩擦がエスカレート、落としどころはあるか?―中国メディア

人民網日本語版    2019年7月12日(金) 13時0分

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日本と韓国の間に、「友情の小船」(フレンドシップ)があるとは言えないものの、「あっという間に転覆する」ような事態はまれだった。資料写真。

日本と韓国の間に、「友情の小船」(フレンドシップ)があるとは言えないものの、「あっという間に転覆する」ような事態はまれだった。

だからこそ、7月4日に日本が韓国に対する半導体材料の輸出規制措置を正式に実施すると、メディアは「日本がとどめの一撃を加えた」と驚きを隠せなかった。

目下、双方のつばぜり合いが続いている。日本は韓国を輸出の優遇措置が適用される「ホワイト国」から除外し、一連の特殊品目の輸出規制を強化した。韓国も対抗措置をとるとしている。

■90日の審査日数 「殺傷力」はどれほどか?

韓国を優遇措置対象の「ホワイト国」から除外するとはつまり、7月4日以降、日本のサプライヤーが韓国に半導体材料を輸出する際には、日本政府に審査を申請し、審査日数は最速でも90日かかるということだ。

これまでは3年間分の輸出許可を取得していれば、日本のサプライヤーは輸出手続きをすぐに完了させることができた。

90日の審査日数にはどれくらい「殺傷力」があるだろうか。

中国現代国際関係研究院北東アジア研究所の樊暁菊(ファン・シャオジュー)執行所長は、「今回の審査対象になった品目には、品質保証期間が90日前後のものが含まれており、保証期間を過ぎれば使用できなくなる。審査に合格しても無駄になってしまう」と話す。

こうしたことから、停止措置や輸出規制措置はまだ本当には実施されていないものの、韓国は対処する準備をしなければならなくなった。

■1000人の敵をやっつけて、自陣の800人を失うか?

一体どんな品目が、このように少しの動きで全体に影響を及ぼすことができるのか。答えは「フッ化ポリイミド」、「レジスト」、「高純度フッ化水素」だ。

化学名ではわかりにくいが、重要な用途をもつものばかりだ。

フッ化ポリイミドは、携帯電話の折りたたみできる画面やテレビのディスプレーに使用される。

レジストは、集積回路とチップの製造に使用されるフォトレジストの1種。

高純度フッ化水素は、集積回路製造でシリコン基板の洗浄に使用される。

韓国の半導体のリーダー格メーカーのサムスンSKハイニックスは、世界最高水準の半導体を生産するため、レジストなどの重要な原材料は、日本からの輸入に完全に頼っていた。

日本経済新聞社の英字誌「Nikkei Asian Review」によると、「韓国のサムスンは折りたたみできる画面の製造で優位性がある」という。

韓国のHI投資証券の企業分析部の李尚憲部長は取材に答える中で、「現在、当社にはストックがあり、短期的にみると半年間は対応が可能だ。しかし長期的にみると、問題は深刻だといえる」と述べた。

しかし日本企業もリスクに直面する可能性がある。

日本の富士通総研の金堅敏首席研究員は、「日本政府は韓国の半導体産業に影響を与えることで、韓国の外交政策に影響を与えようとしている」との見方を示す。

しかし輸出規制措置は日本のサプライヤーにも打撃を与える可能性があり、ソニーやパナソニックなど韓国の半導体製品を使用する日本企業にも影響が出るとみられる。

統計によると、テレビに必要な有機ELパネルを含め、日本企業が昨年に韓国から輸入した関連製品は22億8900万ドルに達する。原材料が規制されて韓国での生産が遅れれば、日本企業も供給が途絶えるリスクに直面することになる。

■三尺の氷は一日で出来たものではない

ここ数年の日韓関係の冷え込みを、世界中が見てきた。

2018年10月、韓国の大法院(最高裁判所)は日本企業の新日鉄住金株式会社に対し、14年に亡くなった呂さんをはじめとする韓国の元徴用工4人に1人あたり1億ウォン(約900万円)の賠償金を支払うよう命じる判決を出した。

これに対し河野太郎外相は談話を発表し、「日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すもので、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と述べた。

18年初頭、日本は韓国海軍艦艇の火器管制レーダーが日本の自衛隊機を「何度も照射した」ことを非難したが、韓国側は事実ではないとしている。

こうした事件を経て、日本の対韓政策は変化し、以前よりもさらに強硬になった。

このほど日本の大阪で行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、両国首脳の関係の冷え込みがより一層明瞭になった。安倍晋三首相が二国間会談を行った首脳のリストに、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の名前はなかった。

■日韓に早期和解の可能性はあるか?

前出の樊氏は、「現在の状況から考えて、双方のつばぜり合いはまだしばらく続くだろう」と予想し、2つの根拠を挙げた。

まず、日本では7月に参議院選挙が行われる。日本メディアの報道によれば、世論調査では日本国民の60%以上が韓国に対する規制措置を支持するという。よって参院選という節目にあって、安倍政権が譲歩する可能性は低い。

次に、文政権が外交をめぐって直面する国内世論の圧力を考えると、韓国も今は実質的な譲歩をすることが難しい。

樊氏は、「日韓関係が悪化して多国間協力にも影響が出始めている。G20サミットの開催期間に日韓の指導者が連携をみせなかったこと、日米韓の首脳会談が予定通り行われなかったことは、こうした影響の一端だ」と指摘した。

このような状況がこれからの日中韓協力にも影響を与えるかどうか、一層の関心をもって事態を見守らなければならない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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