「金正恩第1書記の訪中はまだ機が熟せず」、北朝鮮特使訪中の2大注目点―中国メディア

Record China    2013年5月24日(金) 19時14分

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23日、北朝鮮の特使派遣に関して朝韓問題の専門家は「交流と意思疎通の契機としての意味合いの方が強く、1回の訪問で突破口が開かれることを期待するのは現実的でない」と指摘した。写真は北朝鮮・平壌。

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2013年5月23日、国際金融報によると、北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の特使である崔竜海(チェ・リョンヘ)氏は、李永吉人民軍上将、金成男労動党中央副部長、金亨俊外務次官、金秀吉人民軍中将、その他関係幹部らと共に、訪中した。崔氏は北京到着後、王家瑞(ワン・ジアルイ)中共中央対外連絡部長(全国政協副主席)と会見し、23日には劉雲山(リウ・ユィンシャン)政治局常務委員と会談した。国際金融報が伝えた。

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崔氏訪問の日程は公表されていない。朝韓問題の専門家は「中朝関係改善、朝韓対話を含む最近の焦点が議題となるが、交流と意思疎通の契機としての意味合いの方が強く、1回の訪問で突破口が開かれることを期待するのは現実的でない」と指摘する。

■注目点1:膠着状態は緩和されるか

北朝鮮が中国に特使を派遣するのは金正恩政権発足後初。高官の派遣も2012年8月の張成沢国防委員会副委員長以来9カ月ぶりだ。崔氏は1950年生まれ。故・金日成主席と共に抗日運動を行なった崔賢元人民武力部長の次男で、現在朝鮮労働党中央政治局常務委員、党中央軍事委員会副委員長、朝鮮国防委員会委員、人民軍総政治局長、次帥。2007年に金正日氏に随行して韓国の盧武鉉大統領(当時)と会見。最近も金正恩氏に随行して様々な視察や重要活動に参加している。

復旦大学韓国研究センターの石源華(シー・ユエンホア)主任は「崔氏は金正恩政権の重要人物であり、今回の訪中を北朝鮮側が重視していることは明らかだ。特に注目に値するのは今回北朝鮮が崔氏を派遣し、中国側も受け入れて、双方共に意思疎通を行う意向があるということだ」と指摘。

さらに、「2012年8月末の張国防委員会副委員長以降、北朝鮮側は高官を中国に派遣していない。また、その後北朝鮮が核実験を行ない、国際社会の強烈な反対に遭い、国連決議に違反したことで、中朝関係は正常な上層部交流が行われない状態に陥った。中国と北朝鮮は伝統的友好国だが、中朝関係が膠着状態に陥ったことで、双方は接触して意見を交わす必要性を認識した。崔氏の訪中が本決まりとなったのはこのためだ。だが今回の訪中でどの程度まで話が進むかはなお見守る必要がある。北朝鮮にとって核保有は核心的利益であり、核武装は『断じて放棄するわけにはいかない民族の切り札』と考えられている。一方、中国は朝鮮半島を非核化し、北朝鮮の核保有に反対するとの基本的立場を一貫して堅持している。だがいずれにせよ崔氏の今回の訪中は双方の理解強化に資する」と説明した。

注目に値するのは、毎年春と夏の変り目は北朝鮮にとって食糧が最も不足する時期だということだ。4月には北朝鮮がモンゴルに食糧援助を求めたとの情報があった。数日前に北朝鮮は相次いで短距離ミサイルの発射実験を行ったが、これは国民の不満をそらし、経済的困難の非難の矛先を米韓に向けることが目的の一部と見られている。石氏は「中国は長年北朝鮮に食料援助を行っており、今回の訪中でも援助を求める可能性がある。だが北朝鮮の核実験実施後、中朝の認識は一様ではなくなった。こうした中、食糧援助は北朝鮮側との接触時の1つのカードとなりうる。このほか、先日中国漁船が北朝鮮に拿捕された件も取り上げられるだろう。中国外交部(外務省)報道官は21日、事件について全面的な調査を行ない、中国側に説明するよう北朝鮮に求めた」と指摘した。

■注目点2:朝鮮半島の変化の前奏となるか

朝鮮半島情勢は緊張が続き、一時は一触即発の状態に陥った。だが5月以降緊張は次第に和らいでいる。「北朝鮮による最近の相次ぐ短距離ミサイル発射は実際には挑発性を持たないため、米国も中国も声明を出していない。だが数週間の軍事的威嚇の後、米韓も北朝鮮も交渉を行う意向を表明しており、朝鮮半島情勢に間もなく転機が訪れると見られる」との認識が多方面から出ている。

米朝、韓朝の溝は非常に際立っており、米韓と北朝鮮は交渉の前提条件を各々提示しているが、両者の開きは依然非常に大きいことに目を向ける必要がある。石氏は「北朝鮮側は『対話と交渉を望むなら米韓は北朝鮮に対する全ての挑発行為を即刻停止するとともに、威嚇・脅迫的な核戦争演習をせず、韓国とその周辺に配備している核戦争手段を一掃することを保証しなければならない』との立場を堅持している。一方米政府代表は、北朝鮮が軍事分野の核の野心を放棄しない限り、北朝鮮政府との交渉には入らないと繰り返し表明している」と指摘した。

石氏の見解では、「現在は朝鮮半島の対峙のピークはすでに過ぎたが交渉の条件はまだ熟していない、衝突の『ソフトランディング』実現の見込みがある」状況だという。これは中国に調停を行う機会を与えた。最近、中国政府の武大偉(ウー・ダーウェイ)朝鮮半島問題特別代表が訪米し、北朝鮮核問題について米国務省高官と協議した。韓国側も中国との意思疎通を続けている。「中国側は米韓の基本的立場を理解しており、北朝鮮特使との接触でこれを伝達するとともに、対話を通じて北朝鮮側の立場をはっきりと理解することができる。こうした状況の下、中国は情報伝達の役割をより多く発揮することとなる。中国は米韓の立場を代表するものではないが、仲裁人として伝言役を担うことができる。中国は朝韓交渉を後押しし、朝鮮半島の『ソフトランディング』実現を促す役割を発揮できる」と石氏は話す。

韓国・聯合ニュースによると、王家瑞氏も20日、韓国国会議員代表団との会見時に「朝鮮半島問題解決の鍵は中国にはなく、米国の役割がより重要だ。朝鮮半島問題を解決するには、中国や韓国など関係当事国の共同努力が必要だ」と表明した。

石氏は「崔氏が訪中で中国側の誰と接触、対話できるかも注目される。王氏と崔氏の交渉にいくらか進展があれば、朝鮮半島情勢の緊張の『ソフトランディング』を後押しでき、中国側は対応のランクを引き上げる可能性がある。だが溝がそのままなら、それまでとなるか、あるいは引き続き同ランク間の意思疎通が継続される可能性がある。だが現在の状況では、北朝鮮の最高指導者・金正恩氏訪中の条件はまだ熟していない」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・翻訳/・編集/内山

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