ノーベル賞を「量産」する日本、その秘訣は?

人民網日本語版    2019年6月28日(金) 16時40分

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6月28日から29日にかけて、第14回主要20カ国・地域(G20)首脳会議が大阪で開催される。日本といえば、その発達した科学技術について触れざるを得ない。

6月28日から29日にかけて、第14回主要20カ国・地域(G20)首脳会議が大阪で開催される。日本といえば、その発達した科学技術について触れざるを得ない。統計によると、過去18年間で日本は計18人がノーベル賞を受賞、平均すると年に1人の受賞となり、ノーベル賞の「量産」国と言っていいだろう。同時に、日本は中国人に人気の留学先国の一つでもある。日本は毎年約30万人の留学生を受け入れているが、そのうち40%前後が中国大陸部からの留学生だ。科技日報が伝えた。

日本はいったいどのような科学研究の秘訣を持っているのだろうか?この点について、全日本中国人博士協会理事、中国政府からの派遣留学生で京都大学で博士号を取得した宮春傑氏を取材した。

オリジナル研究を奨励し、幼少期から創造性を育成

「日本の大学の科学研究はオリジナルな研究を非常に奨励している」と宮春傑氏は語った。宮氏によると、京都大学は「自由な学風」で名高く、革新型研究を強調しており、「科学者のゆりかご」と呼ばれている。その科学研究のガイドラインは、新しい方向性を探し、世界の科学技術発展をリードするよう奨励するというもので、その領域が十分に知れ渡った頃にはいち早く新しい研究方向性を切り開くことが求められている。

「日本の創造性育成は大学からスタートするのではなく、小中学校、ひいては幼稚園から始まっている」と宮氏は語った。宮氏によれば、日本では小中学校や幼稚園でも創造性を伸ばす授業があり、特に革新的思考や実践力の育成を重視しているという。京都大学では毎年一定数の中学・高校生を実験室に招き、1カ月にわたって研究訓練を行っている。そこで行われる実験は見たところ非常に基礎的なものだが、その狙いは中高生たちに科学研究の楽しさを体験してもらい、基本的な科学研究技能を身につけさせて、将来どんな職業を選ぶか考える上でよりどころにしてもらうことである。

宮氏はさらに、「京都大学は定期的にオープンキャンパスを実施し、社会人や中高生、小学生、幼稚園、さらにはもっと小さな子供向けに教授が講義を行っている。参加者に実験室へ入ってもらい、科学研究機器に触れ、科学研究について知ってもらう。多くの若い母親たちが子供を抱いて教室に座り、全神経を集中させて講義を聴き、幼い頃から子供の科学研究への興味を育もうとしている」と語った。

連携協力を提唱、論文至上主義ではない評価

「また、日本の科学研究は連携協力を極めて重んじている」と宮氏は語った。宮氏はさらに、「私が所属していた化学研究所分子微生物学研究室でも、全体的な研究方向を指導教授が決め、学生はその方向性に沿って自分が重点研究するテーマを探す。各人の研究成果は研究チーム内で共有され、良い実験方法があればすぐに研究室全体に広まる。研究チームには整った科学研究体系が形成されており、相乗効果が生まれ、目標とする方向性において飛躍的な進歩を遂げることもしばしばだった」と述べた。

宮氏は、「チーム内で協力するほかにも、日本の学者たちはチームを跨ぐ連携も非常に重視している」と語った。宮氏の説明によると、京都大学では工学部や医学部、農学部、研究所など異なる部署の微生物研究に携わる課題チームが毎年集まって研究発表会を行い、各チームの教授が自身の研究方向性と成果について発表を行っている。研究発表会開催後のパーティーでは、参加者がともに議論して研究成果を共有し、機会があれば協力を展開する。こうした研究の方向性を跨ぐ学際的交流によって、飛躍的な研究成果が生まれる可能性が高いという。

「さらに重要なのは、日本の科学研究に対する評価が論文・特許至上主義ではなく、科学研究能力と成果のアウトプットを重視し、しかもそのために比較的公正で厳格な評価メカニズムを確立している点だ」と宮氏は言う。宮氏の紹介によれば、京都大学博士課程の卒業基準を例に取ると、学生は日本語の論文を1本書いただけでも卒業申請をすることができる。研究成果が卒業要件を満たしてさえいれば、指導 教授 の同意を経て口頭試問の申請をすることができる。教授委員会が卒業論文を審査した後、学部全体の30-40人の教授が口頭試問の査定に参加し、投票を行って、学生が卒業して社会に出ていけるかどうかを決定する。

「連携協力のほかにも、日本の厳格な『匠の精神』は科学研究においても極限まで発揮されている」と宮氏は言う。日本の学者は科学研究の細部を重視し、細かいところまでつきつめることを好むという。宮氏は、「私の指導教授を例に取ると、私が最初に転移酵素について研究していた時、良い結果を得られたと思ったのだが、指導教授は私が何度か実験を行った際のデータの細かな違いに目を止めた。実のところそれは実験器具もしくは温度や湿度などの条件による誤差の可能性が高く、影響はそれほど大きくはなかったが、指導教授はあくまで再度実験を行って誤差の原因を特定するよう要求した。周囲の日本人の学生たちも非常に小さな実験現象のために寝食を忘れ、徹夜で研究していた。こうした精神は非常に敬服すべきものだ」と語った。 (編集AK)

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