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中国の無形文化遺産リストの中で、「彝族(撒尼<サニ>)刺繍」は最も特徴的な無形文化遺産であり、畢躍英さんは重要な伝承者だ。
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中国の無形文化遺産リストの中で、「彝族(撒尼<サニ>)刺繍」は最も特徴的な無形文化遺産であり、畢躍英さんは重要な伝承者だ。彝族のサニ刺繍は母から娘へ伝えられ、畢さんも8歳の時に祖母の姜畢英さん、母親の畢張氏さんから手ほどきを受けた。今年67歳を迎える畢さんは、サニ刺繍を伝えて59年になる。第一財経網が伝えた。
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「以前は農作業をしなければならなかったので、休憩の時にできる範囲で刺していた」という畢さんは、もともと刺繍が大好きで、この手工芸によって、趣味をビジネスに発展させた。子どもが大学を卒業すると、刺繍製品を売って一家の主な収入源とし、年収は約1万-2万元(1元は約15.5円)に達した。彝族ならではの勤勉さと集中力で、畢さんの刺繍製品はどんどん有名になり、畢さん自身も村では知らない人のいない有名人になった。
畢さんは、「サニ刺繍は『死ぬまで学び続ける』ことのできる芸術だ」と言う。取り組むうちに、彝族の刺繍の技法をほぼすべて習得し、ステッチだけで8種類、模様は20数種類あるバリエーションを身につけた。70歳になろうとする畢さんは「パワーアップ」の時期を迎えており、ファッションデザイナーのMASHA MA(マーシャ・マ)さんとインスピレーションを与え合って、業界の枠を越えた協力を展開し、女性が社会経済の発展に参加するよう共同でサポートし、伝統工芸を振興し、無形文化遺産を生んだ土地のエコロジーと産業の持続可能な発展を促進している。
畢さんは現在、住み慣れた村を離れ、阿詩瑪小鎮で刺繍の店を開いている。刺繍製品は北京民族文化宮や雲南省博物館などの文化伝承機関に廉価で販売する以外は、心血を注いだ刺繍を簡単に売るようなことはしない。なんといっても刺繍の一刺し一刺しに畢さんの心が込められているからだ。
畢さんの店はさながらサニ刺繍の伝承館で、毎日現地の女性や観光客がその名を慕ってやって来て、畢さんに刺繍の技能を教えてほしいと頼み、畢さんは熱意をもってこれに応える。畢さんは正式に弟子を取って刺繍を教えるほか、周囲の女性たちを引き入れて手工芸を学び一緒に豊かになろうとしている。2018年5月8日、文化・観光部(省)が発表した第5次国家級無形文化遺産代表的項目代表的伝承者リストには、彝族(撒尼)刺繍の伝承者として畢さんの名前があった。
手仕事であるサニ刺繍は技術の難易度が高く、技能を習得し製品を製作するまでには非常に長い時間がかかる。
畢さんからみると、以前は家族を養うためだった手工芸が、今では非常に珍重される「非売品」になった。現在でも、畢さんは一刺し一刺しの中に素朴な個性を表現しながらこの無形文化遺産の物語を紡いでいる。(編集KS)