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中国国産アニメ、男児が模倣し友人に大やけど=問題点浮き彫りに―中国メディア

配信日時:2013年5月15日(水) 17時56分
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14日、中国でこのほど、男児2人が同じ村に住む男児を木に縛りつけて火をつけ、ひどいやけどを負わせた。これは、中国で大人気の国産テレビアニメ「喜羊羊と灰太狼」をまねたものだという。写真は「喜羊羊と灰太狼」の1シーン。
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2013年5月14日、京華時報によると、中国でこのほど、8歳と5歳の男児が、同じ村に住む9歳の男児を木に縛りつけて火をつけ、ひどいやけどを負わせた事件が起こった。これは、中国で大人気の国産テレビアニメ「喜羊羊(シーヤンヤン)と灰太狼(ホイタイラン)」の劇中に登場する「灰太狼が羊を焼くシーン」を真似たものだという。中国国産アニメにとって、アニメシーンを真似た傷害事件・事故をどのように防止するかが当面の重要な課題となっている。国産アニメの制作上の問題について、アニメディレクターの于勝群(ユー・ションチュン)氏や製作プロデューサーの程海明(チョン・ハイミン)氏など業界関係者を取材した。

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■「喜羊羊と灰太狼」の問題点

(1)セリフ

紅太狼はいつも歯が浮くような気持ちが悪い口調で灰太狼のことを「あなた」(夫)と呼ぶ。劇中では、このように「夫」と「妻」の関係が繰り返し強調される。

(2)シーン

羊たちはいつも村長をからかい、老人を敬わない。紅太狼はいつも灰太狼に家庭内暴力をふるう。灰太狼は羊を煮たり、焼いたりするなど始終暴力行為を行う。

(3)道具

紅太狼は何かというとフライパンを振り回して人を殴る。

■業界関係者へのヒアリング

「視聴者に対する明確な位置づけがない」

1人の業界人の立場として、アニメディレクターの于勝群監督は「これは制作者側のミスだ」と率直に認める。「ただ1人の子供が真似しただけだとしても、我々は自分に関係ないと思ってはならないし、今後このような事件が2度と起こらないように対策を取らなければならない」。于勝群監督は、「アニメ産業は良心的な産業であるべきで、制作者側は常に子供のことを考えなければならない」と語る。

制作者が功利主義に走っている

制作プロデューサーの程海明氏は国産アニメをめぐるさまざまな問題について、「根っこにある問題は、制作側の功利主義だ」と分析する。「あるアニメは単に説教くさいだけ。科学技術の普及を掲げて、子供に授業を受けさせるかのように説くが、子供はアニメを見るときは全く頭を使わない。また、あるアニメはあまりにも大人の目線で作られている。暴力や戦闘シーンばかり追求し、文化的な素養に欠けている。このほかにも、商業的なアニメがテレビに氾濫している。たとえば、リモコンのレーシングカーや、ロボットなどの少年系アニメは子供に玩具を買わせることが目的で、物語としての内容がからっぽだ」と語る。

ストーリーが大人目線でセリフが暴力的

児童教育専門家によると、明らかに未成年には向かないと思われる多くのアニメがゴールデンタイムに放送されているという。「国産アニメには、大人志向化や低俗化、暴力化の現象が見られる」と深く嘆く。

■保護者の声

「健康的なシーンを増やして、暴力シーンは少なくすべき」

5歳の娘がいつも周りの子供たちに、灰太狼の憎憎しげな口調を真似て「殺してやる」と言うのを聞いて寧さんは内心気が気でない。寧さんは子供たちにはもっと健康的で、暴力シーンの少ないアニメを見せたいと思っている。「今のアニメは大人目線で描かれる傾向がひどく、ややもすると人に罵声を浴びせる。これは子供にとっては非常に良くないことだと思う」と心配の声をあげる。

「ストーリーには教育的な意義が必要」

ある母親は国産アニメには知識性が欠けているだけでなく、自己啓発的な内容もあまり含まれていないと考えている。「例えば『喜羊羊と灰太狼』や『熊出没』のように、何百話あっても物語はすべてほとんど同じで、話の展開に目新しさがない。国産アニメはもっと前向きな内容を取り込むべきだ」と主張する。

「道具の設定にもっと安全性を高めるべき」

6歳の娘を持つ母親である袁(ユエン)さんは、現在多くの国産アニメのシーンの設定が非論理的だと考えている。例えば「喜羊羊と灰太狼」の中で、灰太狼は羊を鍋に入れて煮るが、助け出された羊はまったく無傷だ。本当ならこのような状況下ではやけどしているはずなのに、これでは子供たちに誤解を与えてしまう。このほかにも、アニメの中の危険な道具について、子供たちに注意を喚起するべきだと考えている。「道具の設定において、もっと安全性を高めるべきだ」と語る。

■児童教育専門家のアドバイス

「流行を追わず名作アニメのDVDを買って見せる」

自己効力感や社会的学習理論で知られるカナダ人心理学者のアルバート・バンデューラ氏が行った「ボボ人形」を使った実験がある。この実験研究では、子供たちは大人が人形を殴ったり、攻撃したり、口汚くののしったりする行為を真似するだけでなく、さらに自分の考えた独自のやり方で人形に攻撃を与えるということが明らかになった。一般的に3歳以上の子供にはすでにある一定の模倣能力が備わっているという。児童教育専門家は子供がアニメを見ることを完全に防止することは不可能だが、できるだけ子供に暴力的なアニメを見せないようにすることは可能だと考えている。保護者は子供たちを指導し、手助けしながら、子供たちの誤解をなくしていくのが最も適切な方法だという。

児童教育専門家は、16歳以下の未成年向けアニメにふさわしくないシーンとして、 (1)火器や冷兵器など道具を使った格闘シーン(2)魔法の器や原料、水、火などを使った格闘シーン(3)殴ったり、取っ組み合って争うといった大人のような格闘シーン(4)性描写、卑語を含むシーンや、徒党を組んだり、責任を擦り付けたり、功績を奪い合ったりなど政治的な行為を描いたシーンの4種類を挙げた。

■近年、アニメのシーンを真似する児童の事故が多発

5歳女児が傘を持って6階から飛び降り

2013年4月7日に広東省深センで5歳の女児がアニメ映画のあるシーンを模倣して、手に雨傘を持ったまま6階から飛び降り、重症を負った。その後病院に運ばれ、何とか命は取り留めた。

4歳男児がウルトラマンを真似て8階から飛び降り

2010年2月26日付、武漢晩報によると、ウルトラマンが大好きな4歳男児が、ウルトラマンのように飛びたくて、マンション8階の自宅から飛び降りたという。重傷は負ったが、幸い命に別状はなかったという。母親の王さんは「息子はいつもウルトラマンみたいに飛びたいから翼がほしいと言っていた」と語った。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/内山

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