文化財の見えないような細部まで復元するハイテク

人民網日本語版    2019年6月18日(火) 18時20分

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3Dスキャンと立体現像技術によって、肉眼では識別できなかった文字を鮮やかに蘇らせることが可能となったと同時に、石碑の保護・修復のための貴重な資料を残すことができた。

安徽省◆州(◆はさんずいに除)にある琅▼山(▼は王へんに邪)を訪れたことがあるなら、琅▼寺の宝物・金剛経塔の形をした石碑を見学したに違いない。この石碑に刻まれた文字は、明の万歴年間のもので、7層の宝塔の形に絶妙に配されており、「金剛経」の一部が塔に完璧に刻まれたデザインで、中国古代石碑に彫られた文字の中でも極めて貴重な文化財と言われている。だが、長年にわたる風化を経て、石碑の表面には多数のひび割れやまだら模様が現れるようになり、筆跡も次第に不鮮明になってきてしまっている。3Dスキャンと立体現像技術によって、肉眼では識別できなかった文字を鮮やかに蘇らせることが可能となったと同時に、石碑の保護・修復のための貴重な資料を残すことができた。人民日報海外版が報じた。

新維暢想デジタル科技公司の創始者である劉東水・総経理は取材に対し、「先進的なデジタル技術を運用することで、文化遺産の情報をより有効に収集・保存することが可能となり、科学研究、文化財保護と公共展示のための有力なサポートが提供され、現在において文化財の価値をより良く利用することが可能となった」とコメントした。

拓本を取ることは、長い歴史をもつ伝統的な技法であり、これまで数多くの文化財に刻まれた字や図案は全て、拓本を取るという方法で保存されてきた。しかし、拓本を取るという従来のプロセスには、修復不可能な損害を文化財に及ぼす恐れがあった。劉総経理は、「細心の注意を怠ると、墨の跡が石碑に付いてしまい、汚してしまう可能性がある。また紙をはがす際には、石碑表面の粉化した石の一部が剥がれ落ちてしまう恐れもある。デジタル拓本制作技術は、このような問題の発生を回避できる。また、伝統的な拓本制作より、作業効率・精確性ともに高い」と指摘した。

新維暢想像デジタル科技公司が開発したデジタル拓本制作ソフトは、文化財に直接触れることなく、データ情報を入力するとスピーディにデジタル拓本を生成し、印刷することもできる。同社製品マネージャーの趙国輝氏は、「全形の拓本制作は、立体的な物体を平面の紙に拓本を取るという技術。十三陵華表や三星堆青銅神樹など、サイズが大きく、細部が極めて複雑な文化財については、手作業で拓本を取る作業は大変難しい。ところが、デジタル技術を駆使すれば、どんな角度からも全形の拓本を取ることができる。資料を保存する以外にも、デジタル拓本を用いて、バラエティ豊かな関連した文化クリエイティブ製品を製作することができる」と紹介した。

このほか、精度の高い文化財情報収集技術は、文化財鑑定にも利用することができる。趙国輝氏は、「たとえば、磁器表面の一片を選びとり、表面にある気泡の分布情報を記録する。気泡は磁器を焼くプロセスで自然発生するため、人為的な干渉によって模造することはできない。このため、これらの細部の特徴は、非常に精確な認証のための情報となり得る。一つ一つの文化財は全て、唯一無二の『身分証』を持つことができる。文化財が盗難や模造などの状況に遭遇したとき、このような『身分証』の助けを借りれば、文化財が本物か偽物かを精確に鑑定することができる」と説明した。(編集KM)

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