高額紙幣を作りたがらない中国、その事情は複雑―米専門家

Record China    2013年5月9日(木) 11時20分

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7日、経済成長著しい中国で最も高額な紙幣は100元(約1600円)。自動車やブランド品などの高額商品も100元の分厚い札束で支払うしかないという不便な状況だ。写真は売り上げを数える北京の家電量販店。

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2013年5月7日、経済成長著しい中国で最も高額な紙幣は100元(約1600円)。自動車やブランド品などの高額商品も100元の分厚い札束で支払うしかないという不便な状況だ。では、なぜ中国はもっと高額の紙幣を作ろうとしないのか?捜狐財経が伝えた。

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中国人は商品を購入する際に現金で支払う。数万元、数十万元、数百万元の買い物でも100元札を使用するため、大量の現金を持ち歩かねばならない。一般人はスーツケースに紙幣を詰め込んで取引を行い、大企業は従業員に給料を支払うため、武装したバンで大量の新札を輸送する。

中国で流通している紙幣は1元、5元、10元、20元、50元、100元の6種類で、すべて毛沢東が印刷されている。100元札は1988年に登場したが、当時に比べて物価は50倍近く上昇したにもかかわらず、今でも最高額紙幣のままだ。その理由について、中国の経済学者や政府関係者は「インフレを招く恐れがある」としているが、米の経済アナリストの意見はこれと異なる。

米ワシントンのピーターソン国際経済研究所の研究員、ニコラス・R・ラーディ氏は「紙幣の額面が大きくなれば、中国で社会問題になっている政治腐敗(汚職)がさらに拡大する」と指摘。高額紙幣が流通すれば、賄賂として用意する現金の枚数が一気に減少し、携帯も受け渡しも楽になるからだ。

大量消費や賄賂のために、中国は紙幣の増刷を続けている。中国は世界最多の造幣国家であり、紙幣の総数は世界全体の40%を占める。中国で流通している現金は、米国の5倍以上にもなる。米ドルの最高額紙幣は100ドル札で、日本円の最高額紙幣1万円札とだいたい同じ価値だ。欧州ユーロの最高額は500ユーロ(約6万5000円)で、これは約600ドルに相当する。

「現金での支払いが一般的な中国は、1950年代の米国に似ている」と指摘するのは、ハーバード大学上海センターのジェフリー・R・ウィリアムズ氏だ。中国で現金は一般的な消費活動だけでなく、犯罪活動でも欠かせない存在である。さらに富裕層は税金逃れのために現金を隠し、裏金作りに励む。こうしたことから、中国紙幣の最大の功績は雇用の受け皿を提供している点にあるといえよう。紙幣を作っている中国印刷造幣総公司は80本の生産ラインを有し、傘下に印刷工場6社、製紙工場2カ所、製版所など関連企業3社、従業員3万人以上を雇用しているからだ。(翻訳・編集/本郷)

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