自動車製造は「プラスチック時代」を迎える―中国メディア

Record China    2013年4月30日(火) 17時24分

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26日、BMWは今年秋に、電気自動車(EV)のBMW i3を量産化する。この車の最大の特長は、ボディーにプラスチックを、下部ユニットにアルミ合金を使用した点で、伝統的な同型車種と比べ重量が250−350キロ減少した。

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2013年4月26日、BMWライプチヒ工場の最新の生産ラインでは、多くの資源が節約されていた。鋼板を車のボディーにするための大型プレス機もなければ、車体に塗装とサビ防止を施す工程もなく、部品を車体に取り付ける時もボルトや溶接ではなく強力接着剤を使用していた。BMWのローランド・クルーガー社長は、「これは当社が率先して、大量の炭素繊維強化プラスチックを自動車製造に利用しているからだ。これは自動車の車種の構造を変えるだけでなく、自動車製造工程全体に根本的な変化をもたらすだろう」と語った。人民日報が伝えた。

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◆プラスチック車、大規模生産が可能に

BMWは今年秋に、電気自動車(EV)のBMW i3を量産化する。この車の最大の特長は、ボディーにプラスチックを、下部ユニットにアルミ合金を使用した点で、伝統的な同型車種と比べ重量が250−350キロ減少した。新型複合材料の炭素繊維強化プラスチックは軽量・高強度・防腐食・耐振動といった特長を持つ。しかし業界内では、コストが高く加工が複雑とされており、現時点ではレース用のスポーツカーや一部の高級スポーツカーにしか使用されていない。

クルーガー社長は、「BMWは大規模生産の中で炭素繊維強化プラスチック技術を使用している唯一の自動車メーカーだ。同技術の使用により、自動車の製造コストが10年前より半減した」と語った。BMWは現在需要に基づき、炭素繊維強化プラスチック部品の成分・強度・形状を自由に定めている。同技術で重要になるのは、樹脂と固化剤の完全融合の加速と固化にかかる時間だ。通常なら単独の溶鉱炉内で24時間がかかるが、BMW i3生産ラインはこれをわずか数分に短縮した。炭素繊維強化プラスチックの使用により、運転席に必要な部品が伝統的な自動車より減少し、新型の強力接着剤によりボルトや溶接が必要なくなった。1台のBMW i3を生産する際に、この強力接着剤が10キロ使用される。

プラスチック車の安全性について、自動車安全・メンテナンスの専門家のウォルフガング・ハン氏は、「BMW i3は35種の衝突の可能性を検証し、厳格な安全テストに合格している」と語った。記者が衝突実験用の車を見ると、ドアの下に位置する炭素繊維強化プラスチックが衝突により紙のように丸まっていたが、運転席は無事だった。ウォルフガング・ハン氏は、「同実験は自動車の胴体部分が時速32キロの衝撃を受けた場合をシミュレーションした。炭素繊維強化プラスチックは蜂の巣状に設計されており、衝撃の威力を下部ユニットに分散化でき、運転席とバッテリーの安全を保障できる」と話した。

◆十分なバッテリー容量

ボディーの軽量化はバッテリーの重量を「相殺」した。BMW i3は8つのバッテリーモジュールを使用し、バッテリーの総重量は250キロに達し、1度の充電で最長160キロを走行できる。統計データによると、世界の一般家庭の90%は日常的な外出の走行距離が平均45キロのみで、自動車を使用せず放置する時間は1日当たり22時間に達する。クルーガー社長は、「BMW i3のバッテリー容量は都市部の移動の需要を満たす」と述べた。

バッテリーの航続能力と使用寿命はEVの最大のボトルネックになっている。ドイツ政府は試行として、ミュンヘン・ライプチヒ間のA9高速道路で、80キロ毎にEV充電スタンドを設置した。長距離旅行の需要があるドライバーに対して、BMWは交通連動プランを提案した。同プランによると、ドライバーは携帯電話により付近でレンタル可能なBMW i3や、その他のBMW製の自動車を検索できる。BMWは同時に、さまざまな新型充電方法の開発に取り組んでいる。例えば電線や電気ケーブルやコネクタを必要としない誘導充電は、バッキングプレート上の電力駆動装置で運転し、エネルギーを電磁波によって補給する。

バッテリーの使用寿命は気温の変化や充電・放電の反復による影響を受けやすい。BMWによると、BMW i3は寒い冬場でもバッテリーを自動で予熱でき、温度が上がりすぎた場合も冷却材によりバッテリーを冷やせる。水や空気による温度低下と比べ、この冷却材は冷却効率を最大限に高めることができ、ファンやウォーターポンプといった部品が不要だ。BMWのバッテリー技術者は、「BMW i3のバッテリー寿命は15年間で、自動車と同じ長さだ。また、さまざまな状況下でも、バッテリー効率は平均的で安定している」と述べた。

◆グリーン製造の取り組み

クルーガー社長は、「電動交通は高い環境保護意識を持つ人を対象としているため、EVは運転方法を変えるだけでなく、暮らしを変えることになる」と語った。

BMWは初めて自動車の全体的な使用寿命から、グリーン製造を計画した。炭素繊維強化プラスチックの原材料は米国工場で水力発電を用いて生産され、BMW i3の生産ラインの全電力は工場外の4基の風力発電機から供給される。生産工程において、伝統的な自動車生産よりエネルギー消費量を50%、水消費量を70%削減できる。生産ラインではスマート化通風システムを使用し、自然通風エネルギーを最大限に活用し、ボディーの製造および組立ラインで生じる匂いや砂塵による汚染を抑え、さらにプレスラインの生産による気温上昇を緩和できる。屋根に取り付けられた薄膜は太陽光を反射し、人工的な証明の需要が減少した。BMW i3リサイクル戦略部門の技術者は、「BMW i3の生産に必要な部品と原材料はカーボンニュートラルを求められており、95%の自動車部品は使用後にリサイクルが可能だ」と説明した。

BMW i3の生産規模と販売価格については、現時点では公表されていない。クルーガー社長は、「当社はすでにEV事業に6億ユーロを投じている。当社のブランド影響力と、生産工程で使用している革新的な技術により、工場出荷日より利益を獲得できると信じている」と話した。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF)

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