「政治が関わるな」ファーウェイ問題抗議で北京大教授が学術団体IEEE退会―中国メディア

人民網日本語版    2019年5月31日(金) 13時30分

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米国の学術団体IEEEが華為技術の関係者を論文審査から排除したことを受けて、29日にIEEEからの退会を発表した北京大学情報科学技術学院の張海霞教授が、30日に人民網の独占インタビューに答えた。

米国の学術団体IEEE(米国電気電子学会、Institute of Electrical and Electronics Engineers)が華為技術(ファーウェイ)の関係者を論文審査から排除したことを受けて、29日にIEEEからの退会を発表した北京大学情報科学技術学院の張海霞(ジャン・ハイシア)教授が、30日に人民網の独占インタビューに答えた。張教授は、「私が抗議しているのは科学を色眼鏡でみる行為であり、関わる企業がファーウェイかどうかに関係なく、こうした事態に対して徹底的に抗議する。IEEEの政策決定に影響を与える力に『政治が関わるな』と言いたい」と述べた。人民網が伝えた。

■科学への脅しは容認できない

【記者】張教授はIEEEを退会し、会員と機関誌の編集委員をやめることで、何を伝えたいのか。

【張教授】科学に脅しをかけ、科学を震え上がらせる、これは容認できない。

IEEEは編集担当者と論文審査担当者の資格について人為的に非科学的な制約を設けた。これは科学の精神に背く愚かな行為であり、IEEEに関わるすべての科学者を侮辱するものだ。

私はIEEEに入会して20年以上になり、IEEEのさまざまな活動に非常に深く関わり、これまでずっとIEEEは非常に優れた国際的学術団体だと考えてきたし、私が関わった科学者はみな非常に専門的な人たちで、自分の学生もたくさん紹介して入会させてきた。学術は学術そのものでなければならないと考える。学術が学術でなく、日々誰かによってコントロールされ、拘束され、強要されるようなことがあれば、それは学術に対する侮辱に他ならない。私はIEEEの論文審査担当者の選任基準では科学研究の水準と専門性だけを考慮すべきであって、その人の所属する機関、身分、国籍などの外在的な要因を考慮すべきではないと考える。

【記者】張教授の同業者や同僚はご自身の退会を決めたことにどのような態度を取るか。

【張教授】ここ2日間に多くの反響をいただいた。米国、日本、シンガポールなど多くの国の同業者の見方はみな私の見方と一致している。いずれも世界各地の科学者であり、科学的な態度で科学の問題を解決するというのが共通のベースラインだ。

私はIEEEの次期会長を務める日本の福田敏男教授に公開書簡も送った。福田氏は、「まず自分はIEEEの今回の決定について何も知らされていない。次に自分は非常に驚愕しており、就任後は改革を推進するよう努力を続ける。学術と政治は絶対に無関係でなくてはならず、関係が生じれば学術の公平性と名誉を大幅に損なうことになる。自分の見方は真の科学者が備えるべき理性の声を代表している。それは科学とはいかなる圧力も脅迫も受けてはならないというものだ」と回答してくれた。

■IEEEのやり方は独立的でないが、科学者は独立の立場で判断しなければならない

【記者】張教授の退会決定が他の多くの科学者に影響を与えることを望むか。自分の主張を伝えたいだけか。

【張教授】自分の主張を伝えたいだけであり、これは今までのコメントの中で繰り返し強調してきたことでもある。私は自分の主張を伝えているのであり、どこか他の団体や機関の主張を伝えているわけではない。これと同時に、私は自分の決定がだれか他の人の判断力に影響することも望まない。IEEEのやり方は独立的ではないが、科学者は独立の立場で判断しなければならない。私と同じようなことをしたいとしても、必ず自分で独立の立場で判断しなければならないし、風向きに従うようなことはしてはならない。

私は自分のすべての学生と同僚に対し、今回の件をめぐってあれこれ言われていても、個人としてそこからいかなる影響も受けないでほしいと願っている。なぜならあなたは専門家であり、自分の判断について、何をするかについて、すべて自分で責任を負わなければならないからだ。

■脅しの弊害はどこへ向かうか?

【記者】政治が学術に干渉する今回の問題が国際的な学術の発展や世界中の科学者にどのような弊害を与えることになるか。

【張教授】IEEEには現在、40万人を超える会員がおり、会員の輪は160数カ国に広がり、宇宙やコンピュータなどの分野で900を超える業界標準を策定し、これだけの名誉と影響力を構築するのは実に容易なことではない。世界中の科学者がこれまではIEEEの中で公平に、公正に、客観的に、開放的に学術的問題をめぐって交流することができたが、今、このような夢は悪夢であることが突然わかった。私たちのような科学者を驚愕させ、さらに若き若手科学者・研究者を恐怖に陥れて、このような脅しの弊害はどこへ向かうのだろうか。

IEEEだけでなく、最近は多くの国際機関が脅しによって世界を驚愕させるさまざまな決定を下しており、私はこうした流れに強く抗議する。科学には個人的な要素、学校という要素、地域的要素、国家という要素が混ざり合わないといけないのか。さらには東洋という要素や西洋という要素が混ざり合わないといけないのか。それでは科学と言えるのか。

【記者】30日午前、IEEEスタンダード・アソシエーション(IEEEの標準規格を扱う内部組織)でただ一人の中国出身理事の袁●(ユエン・ユー、●は日かんむりに立)氏がメディアに対し、「(IEEEの)メールはファーウェイ従業員がIEEE機関誌の編集担当者や論文審査担当者になることを禁じてはいない。ファーウェイは引き続きIEEEの学術会議に参加することができ、未公開の学術論文の審査に参加できないだけだ。大方の見方とは異なり、IEEEはファーウェイとIEEEとの協力関係を支援し保護すべく最大限の努力を重ねている」と述べたが、このような見方をどう考えるか。

【張教授】思うに、IEEEの従業員として、袁博士がこのような見方を発表したのは職務に忠実だといえるし、IEEEに脅されて科学的精神を損なう行為をすることを博士が食い止めようと努力していることは事実も証明している。しかし、袁博士は損害を最小限に食い止めようとしているだけだ。私からみると、自分はIEEEに雇われているわけではなく、会員として、科学者として専門的かつ客観的な学術的判断で寄与している。IEEEが自分の学術的専門性や学術の自由を侵害していると思っており、退会しなければならない。なぜなら、それぞれの科学観が反対の方向に進んでいるからだ。

科学者一人一人の専門的な倫理性は試練を経たものであり、やすやすと構築されたものではない。今回のような禁止措置が突然発表されたことは、全ての科学者の正当な権利を明らかに侵害しており、科学者の当たり前の活動を妨害するものである。

■「抗議しているのは科学を色眼鏡でみる行為、ファーウェイでなくても、こうした事態には徹底抗議する」

【記者】IEEEの今回の決定に影響を与えた何らかの力について話すとすれば、何を言いたいか。

【張教授】政治が関わるなということだ。

ごく簡単なことで、学術は学術に帰り、政治は政治に帰ることだ。一緒になるとお互いに損害を被る。

科学の問題は客観的な問題であり、技術的な問題であり、科学的な手段を用いて解決すべきだ。政治によって経済を脅し、学術を脅せば、損害を被るのはどこか1つの国だけではなく、世界全体が損害を被る。

私が抗議しているのは科学を色眼鏡でみる行為であり、関わる企業がファーウェイかどうかに関係なく、こうした事態に対して徹底的に抗議する。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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