日中書店事情、ネットに押されるリアル書店、その行く末は?―中国メディア

Record China    2013年4月14日(日) 19時30分

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12日、日中両国では近年、ネットメディアや電子書籍の広まりを背景に、紙媒体の出版物の販売が落ち込み、リアル書店が深刻な生存の危機と重圧にさらされている。写真は西安の書店。

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2013年4月12日、日中両国では近年、ネットメディアや電子書籍の広まりを背景に、紙媒体の出版物の販売が落ち込み、リアル書店が深刻な生存の危機と重圧にさらされている。羊城晩報と中国ラジオ網が伝えた。

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■水増しされた定価の影に潜む商機

「2012年全国図書市場調査研究報告」によると、中国の新刊書の平均価格は52.23元(約840円)に達し、初めて50元の大台を突破した。新刊書の価格が高まるのはリアル書店にとって良くない知らせだという。

日本では書店数が急激に減少しており、2000年から2010年の10年間で、ほぼ3割に当たる6000軒が姿を消した。東京新宿のような繁華街でも、三越百貨店のメインビルに入っていたジュンク堂新宿店が撤退した。ジュンク堂は日本で最も古い書店であり、選書や推薦書における独特のセンスを持つことで知られている。しかし、ネットの発展に加え、大手出版社が力を入れている「売れる商品」を出版する際に書店も事前に宣伝広告費を投入しなければならなかったり、書店と出版社が一緒に協力してベストセラーを作り出したりという風潮に伴って、リアル書店で販売される書籍の定価はますます高くなっている。

あるベテラン編集者によると、「実際に購入する書籍の価格は、定価よりもずっと安い。現在、各出版社の書籍の定価は否応なく水増しされたもので、値下げ競争を展開するオンライン書店に利益を挙げる隙を与えている」と分析する。

■オンライン書店の値下げでリアル書店が生存の危機に

中国の大手オンライン書店を見ていて気付いたのは、あらゆる書籍に対し値引きキャンペーンが行われている点だ。中国の大手オンライン書店「当当網」の公式サイトのトップページでは、80%近い書籍が40%から50%引きの価格で手に入る。例えば、ベストセラーの新刊でも30%前後の値引きで販売されている。オンライン書店間の値引きキャンペーンによる顧客集めは、リアル書店に対して強力な締め出し効果を発揮している。

経営の苦しいリアル書店も後追いで値引きするしかなく、道に特設ブースやワゴンを置いて消費者にアピールするものの、売れ行きは依然として厳しいままだ。しかもワゴンに置かれているセール商品は基本的にすべて古い書籍であり、新刊の割引率はオンライン書店とは明らかな差がある。

日本では、オンライン書店が掲げる送料無料や高い値引率が多くの読者を引き付け、すさまじい勢いでリアル書店を追い込んでいる。このほかにも、サイトが独自で企画する定期的な各種プロモーションやランキング表なども読者が直感的に書籍内容を理解し、本を選ぶのに役立っている。ネット上では読者の間で感想を伝え合うなど、コメントによる交流が展開されている。この点も、リアル書店で書籍を購入する際には実現できないことである。

■リアル書店は如何にモデルチェンジするべきか?

ジュンク堂新宿店では撤退前、店員たちが自分の好きな本を選び、それぞれハガキ大の紙に書評を簡潔に書いて店に置いていた。その中には人にはあまり知られていない書籍のきらっと光る部分が書かれているものもあった。このニュースが広がると、多くの人が店を訪れ本を買っていた。また、顧客を引き付けるだけでなく、店員たちの推薦の書評自体も好評を博し、営業売上は急上昇した。

書店が次々と閉店していく中、熱い議論も始まっている。「本当に心に沁みるいい作品を見落としているのでは?」「そうした作品にスポットライトを当てるのはどうしたら良いか?」「出版業界は値下げ競争や『売れる作品』の制作・宣伝ばかりに気を取られるのではなく、読者の気持ちを推し量るべきなのでは?」――。

台湾の誠品書店はリアル書店の美しいモデルチェンジを目指して、「生活書店」というキャッチコピーを掲げている。台北市の旗艦店では、店舗を9つのエリアに分け、地下3階から5階の駐車場を除く8つのエリアのうち、書籍を販売するのは3階のみ。ほかのエリアは食品や衣料品などを販売している。中国本土と香港のリアル書店が軒並み活気を失う中、誠品書店は「書店は必ず赤字」というジンクスを打ち破り、今後も両地で店舗拡大を行っていきたいとしている。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/TF)

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