どうなる日本の高齢化問題、「生涯働き続ける」のか―中国メディア

人民網日本語版    2019年5月24日(金) 13時0分

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高齢化に苦しむ日本は、思い切って高齢者にターゲットを定めた。より多くの高齢者が働き続け、中には70歳近い人もいる。写真は日本の高齢者。

高齢化に苦しむ日本は、思い切って高齢者にターゲットを定めた。より多くの高齢者が働き続け、中には70歳近い人もいる。出勤ラッシュ、帰宅ラッシュにはこざっぱりした服装だが背中の曲がった高齢者の姿がみられ、銀髪のサラリーマンは日本ではもはや珍しくない。現在のような「定年になっても働き続ける」から未来に予想される「生涯定年なし」まで、こうした動きの背後に隠れているのは、よりはっきりと現れているのは、労働力不足に直面して進退窮まった日本の現状だ。北京商報が伝えた。

■定年のない社会

「生涯働き続ける」は、日本では大まじめに言われていることだ。日本政府は15日、働く意志のある高齢者が70歳まで働けるようにすることを目指す「高齢者雇用安定法」改正案の概要を発表した。日本政府は目標達成に向けてエンジン全開で、企業に定年を70歳まで延長するよう求めるほか、高齢の社員の他企業への再就職や起業を支援するよう求める。

現行の「高齢者雇用安定法」では、企業は働く意欲のある65歳以下の社員を雇用しなければならない。2013年に安倍晋三首相が就任すると法案を後押しして可決させると同時に、この規定を企業の義務として普及させた。そして今、安倍政権は再び高齢者をめぐって動き出した。

データによると、17年の日本では70歳以上の人口が100万人増加して2618万人に達し、総人口の20.7%を占めた。65歳以上は28.1%に達し、このうち807万人が現役で働き、過去最高を記録した。世界保険機関(WHO)の基準では、65歳以上の人口が総人口に占める割合が7%に達した国家は、「高齢化社会」に突入したことになる。20%を超える日本は紛れもなく「超高齢化社会」に突入している。

高齢化の負担の下、安倍首相は65歳以上の高齢者の雇用促進を「新経済成長戦略」の柱の1つとした。昨年9月にはインタビューに答える中で、何歳になっても働きたい人が労働に参加できて「生涯働き続ける」、「生涯活躍する」社会を作ると述べた。これを前提にして、医療や年金などの社会保障制度も含めた総合的な改革を進めるとした。

■高齢化の苦難

日本では「定年になっても働き続ける」のは当たり前になっている。17年に日本の働く高齢者は前年比5%増加して807万人になり、雇用者数の12.4%を占めて、過去最高を更新したと同時に、日本の高齢者雇用指数が14年連続で上昇することにもなった。

日本では多くの企業が60歳になった社員のために退職手続きを取り、それから再雇用という形で働き続けられるようにするが、給与は退職前の約70%に減額される。元の職場で働き続ける人の中には、家計を助けるためという人もいれば、社会貢献のためという人もいる。

総務省が発表したデータをみると、18年の外国人を含む日本の総人口は1億2644万3000人で、前年比26万3000人減少し、8年連続の減少となった。このうち15~64歳の生産年齢人口は51万2000人減少し、1950年以降の最低を更新した。昨年10月、日本政府は新政策を積極的に推進し、外国人労働者の受け入れ拡大の方針を打ち出した。

若い人は子どもをほしがらず、高齢者はますます長寿になり、高齢化と少子化が同時に起こって、日本の「人口危機」を招いている。「高齢者雇用安定法」の施行からの5年間に、国の社会保障負担が重く、財政状況がますます悪化するという問題は依然として解決できていない。日本の18年度予算の執行計画によると、通年の予算総額は95兆円で、年金や医療保険などの社会保険には32兆円が回され、実に国家予算の3分の1を占める。

中国現代国際関係研究院の胡継平(フー・ジーピン)院長補佐(日本問題が専門)は、「退職年齢を引き上げるだけでは日本の高齢化問題は緩和することしかできず、問題の根本的な解決には不十分だ。ここ数年、日本は解決に向けて動き出し、外国人の日本での就労の制限を緩和するなどしている。現在、日本で働く外国人労働者は労働者全体の約2%に過ぎず、今後も緩和の余地は大きい」と述べた。

■人口と高齢化のループ

日本の経営コンサルタントで「ミスター・ストラテジー」などと呼ばれる大前研一氏は著書「低欲望社会:『大志なき時代』の新・国富論」の中で日本高齢化の様子を描き出した。若い人は結婚せず、子どもをもたず、家も車も買わない。高齢者は花を育て、犬の散歩をし、年金で暮らし、3500万円の遺産を残してこの世を去る。こうした状況の中、出生率は低迷を続け、国家経済は停滞して前に進まない。

日本政府は消費の喚起を考えないわけではない。昨年11月には、10兆円規模の経済活性化プランを打ち出し、自動車税の引き下げ、買い物ポイント付与などによって、消費税率引き上げの影響を相殺しようとしている。消費税率引き上げという国内消費への打撃が大いに予想される措置を、日本は2回にわたって先送りしてきた。

より重要なことは、日本が直面する人口問題は状況が複雑で、単に高齢化の問題にとどまらないということだ。昨年末、日本では国籍に関係なく「無償で住宅を提供」のニュースが話題になった。ますます多くの若者が都市部に押し寄せ、それまで暮らしていた家は空き家になって取り残され、家と人とのアンバランスな状態はもやはコントロール不可能だ。日本の関連部門の予想では、40年までに日本では900の地方都市や村が消滅するという。

農村部には「空き家」が広がり、都市部は人が多すぎる。人口や資源が大阪や東京といった大都市に過度に集中していることから、人口が都市部に大量に流れ込む。データをみると、16年に首都圏の総人口は4000万人に迫り、その一方で日本の総人口は約1億2000万人にとどまった。

地域の発展は軌道から大きく外れ、日本はこれをなんとかしなければならず、住宅提供は対策の1つだ。今年から日本は補助金政策を打ち出し、東京から地方へ移住する人に最高で300万円の補助金を支給することにした。これまで4年連続で東京への流入人口が10万人を超えたことが背景にある。つまるところ、人口不足と高齢化は1つのループを描き、答えのない袋小路に向かっているといえる。

胡氏は、「労働力の経済への影響が現れ始めている。まず企業に影響がある。科学技術が進歩しても、完全に人に取って代わることは不可能である上、自動化のコストは高く、小規模企業にとって困難であることは間違いない。労働力減少は人件費の上昇も意味する。次に多くの国と同じく、日本の年金制度も現役世代が納める保険料でリタイアした世代を養うが、今は高齢者が増加し、労働力が減少して、保険料を支払う人がどんどん減り、年金を受け取る人はどんどん増え、社会保障システムは危機に瀕して、システムを維持できるかどうかが大きな問題になっている。最後に、高齢者の割合がますます増え、社会全体に与える最も深いところでの影響は内需不足による社会全体の消費不足だ。ひいては日本経済の発展の原動力にも影響を与えるからだ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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