硬核や錦鯉、敲黒板など、次々生まれるネット用語にどう対応していくか―中国メディア

人民網日本語版    2019年5月20日(月) 6時30分

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中国の人々が「ネットと出会って」からこの25年の間に、新しい単語やフレーズ、解釈や使い方が次々と誕生した。

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このほど発表された最新の「中国インターネット発展状況統計報告」によると、2018年12月時点での中国のネットユーザーは8億2900万人規模に達し、その普及率は60%に迫っている。中国の人々が「ネットと出会って」からこの25年の間に、同じ発音の別の漢字に置き換えた「大蝦」(アニキ)や「美眉」(かわいい女の子)、方言や分野を越えた解釈が生まれた「盤他」(やっちまえ)や「硬核」(ハードコア)まで、新しい単語やフレーズ、解釈や使い方が次々と誕生した。2012年に出版された「現代漢語詞典」第6版には「粉絲」(ファン)や「山寨」(パクリ)、「雷人」(ビックリ仰天)といったネット用語が収録されている。2015年には「任性」(思うがままに振る舞う)という言葉が「政府活動報告」にまで登場した。しかしこうした発展ぶりの一方で、ネット用語にはルールを無視し、大げさで、低俗といったレッテルも貼られるようになった。人民日報が伝えた。

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言語生活が活発さを呈している昨今、ネット用語にどのように対応し、そして使用すべきなのだろうか。また、ネット用語をどのように健全に発展させていくべきなのだろうか。

■「若者の世界はわからない」

北京大学中国語学部の研究員でもある邵燕君(シャオ・イエンジュン)准教授は2011年の春学期にネット文学の研究カリキュラムを開設した時のことを今もありありと覚えているという。なぜなら授業中、学生たちの話がわからないことに突然気づいたからだ。たとえば「人品不好」はその人に品が無いという本来の意味ではなく、「運が悪い」という意味で使われており、「羈絆」も本来の束縛や障害という意味ではなく、「切っても切れない絆」を指していた。「学生たちにはなんと自分たちが交流するための『専門用語』が存在していたのだ。こうした言語体系を理解していなければ、彼らは自分たちの世界の扉を真の意味でこちらに開いてはくれない」と邵准教授。

復旦大学中国語学部の申小龍(シェン・シャオロン)教授は、「ネット用語はまったく新しい、生気みなぎる言語文化現象であり、若者たちのバーチャル空間における『現代中国語』だといってもよい」とした上で、「ネット用語は単なるネット上の流行語にとどまらず、その音、語彙、文法の上でもそれぞれ特色を備えた社会的方言だ。ネット用語には話し言葉と方言という際立った特徴があり、漢字の形や音、意味からさまざまな可能性をうまく引き出し、常識的なルールにとらわれないユニークな組み合わせを生み出している。漢字の形が困った表情に見える『囧』、2つ並ぶ『呆』の字から非常に呆れるという意味の『槑』などネット用語は長い間字典の片隅でひっそりと眠りについていた漢字をよみがえらせただけでなく、『敲黒板』(ここがポイント!)や『開脳洞』(脳内妄想全開)といった生き生きとして的を射た表現はネットユーザーたちの創造力を示している。ただ行き過ぎたネット用語の表現は、一部の中高年の人にとっては何を意味するのかさっぱりわからないかもしれない」としている。

■ネット用語は得てして玉石混交になりがち

「求拡列」は「友だち追加をリクエストする」という意味で、「暖説説」はSNSで積極的に返信したり「いいね!」を押したりすることを意味し、「xswl」は「笑死我了」(超ウケる)の省略形。最近、こうした00後(2000年代生まれ)の使用するネット用語を紹介した文章を見て、ネットを使いこなしていると自負する90後(1990年代生まれ)のネットユーザーたちが、「00後の世界は理解できない」とつぶやいている。

邵准教授は、「相手の使用するネット用語がわからないのは、当たり前のこと。これまで、人々は血縁や地縁などの関係から1つに結ばれ、それぞれの地域の方言や社会的方言を形成してきた。しかしネット社会は趣味や興味関心で結びついた『趣味の縁』でコミュニティーを構築していることが多く、コミュニティーが異なれば、使用するネット用語もまた異なってくる。当然のことだが、極めて表現力の高いネット用語はコミュニティー間の壁も打ち破り、ネット流行語となるだけでなく、さらには『次元の壁』をも打ち破って、ネットの世界から新聞やテレビといった主流の言語体系にも進出していくことができる」としている。

申教授は、「現実の生活の中で慎重に推敲される言語と異なり、ネット用語は言葉の意味が一般的に希薄になっている。ネット用語のこうした特徴を理解していなければ、誤解が生じてしまう可能性がある。一つには一部の誇張した表現は実はいたって普通のことを表現しているという点。もう一つは、現実の生活の中では親切で礼儀に適った一部の表現が、ネット上では冷たく生真面目と認識されてしまう点だ。これまで『呵呵』(へへへ)といえば楽しい気持ちを表していたが、ネットではこれはおざなりな対応とみなされる。それだけでなく、現在に至っては『哈哈』(ははは)だけでは足りないとされ、少なくとも『哈哈哈哈哈』としないとその楽しい気持ちが十分伝わらないとしている。また、これまでは『嗯』(うん)という漢字1文字で肯定する気持ちが伝わっていたが、今は少なくとも『嗯嗯』と2つ並べてはじめてその丁寧さが伝わる」としている。

商務印書館漢語編集センターの余桂林(ユー・グイリン)センター長は、「今の時代は『誰もがマイクを手にしている時代』と言え、全ての人に自分の声を発する機会が与えられている。しかしその文化レベルや価値の指向性、認知レベルは人によって異なるため、発信される内容には優れたものもあれば、低俗なものも含まれており、ネット用語は玉石混交になりがちだ。低俗な言語は言語生活において客観的に存在はしているものの、だからといってネットで思うままに使用したり、乱用したりしてはならない」との見方を示す。

■ネット用語を良性のネット循環の中で健全に発展させる

漢字1文字やワード1つで、その年の中国や世界を表現する「今年の漢字・流行語(漢語盤点)」は2006年に第1回が行われ、同年の「中国のワード」には「草根」(一般庶民)や「悪搞」(パロディ)などのネット流行語が選ばれた。2012年からは「10大ネット用語」も選ばれるようになり、「元芳你怎麼看」(元芳、そなたはなんと見る?)や「躺着也中槍」(自分には非がないのに面倒に巻き込まれる)、「給跪了」(感服した)などが選ばれた。昨年は「錦鯉」(強運の持ち主)、「杠精」(へそ曲がり)、「官宣」(公式発表)、「C位」(センター)、「土味情話」(ベタな愛のささやき)などが選ばれている。

人民網世論・公共政策研究センターの祝華新(ジュウ・ホアシン)センター長は、専門家として「漢語盤点」にたびたび関わってきた。「インターネットは今の社会で最も生き生きした中国語の応用シーンといえる。『漢語盤点』は現代の中国人の暮らしや社会心理をチェックするものでもあり、ネット用語とは切り離せない。ネット流行語が定着するには、2つの条件をクリアする必要がある。1つは親しみやすいこと、もう1つはある程度の文化的な品位を備えていることで、この2つを兼ね備えていない限り、すぐに忘れ去られてしまう」とした上で、「規範的な言語を使用し、低俗なネット用語を退け、主要メディアや教科書、政府公文書が先頭に立って範を示し、文化的な誘導の役割を発揮すること。同時に、毎年公序良俗に違反するネット流行語を組織的に選出して、『ネガティブリスト』を作成し、社会全体にその使用を控えるよう注意を促すべき」とした。

また余センター長は、「言語の発展には主体性を堅持することが必要であり、多様性も不可欠だ。ネットライフは社会生活の不可欠な一部であり、ネット用語は言語生活の重要な構成要素でもある。現代中国語からネット用語を排除することはあり得ない。そのためネットユーザーに正しい使い方を指導していくことだけが、ネット用語を良性のネット循環の中で健全に発展させることにつながる」と指摘した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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