日中韓FTAとTPP、日本の二股がけは困難―中国メディア

Record China    2013年3月31日(日) 8時30分

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28日、日中韓FTAとTPPという日本の二股がけは困難だと中国メディアが指摘した。写真は山東省済南市にあるトヨタのディーラー。

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2013年3月26日、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の初会合が韓国の首都ソウルで行われた。日中韓は年内に3回会合を行う予定で、第2回は中国、第3回は日本で行われる。28日付で国際金融報が伝えた。

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日中韓FTA交渉の背後にはTPPの影が長年常につきまとってきた。特に2009年に米国が参加したことでTPPの概念、範囲、戦略に本質的な変化が生じた。

■貿易の「二股作戦」に出た日本

TPPは米国の提唱する枠組みであるうえ、中国はその交渉に参加していない。このため経済的に中国を牽制する意図を持つこの協定は日本を歓迎すると同時に、各方面の敏感な神経を逆なでしている。日本の安倍晋三首相は米国と歩調を合わせてTPPを対中圧力の道具にする考えがあることを少しも隠していない。だがより実務的な観点から見ると、日米中という経済大国は独特なトライアングル構造であることが運命付けられている。

安倍首相が今月の訪米で伝えたTPP交渉参加決定のタイミングは、日本が現在貿易戦略の調整中であり、今後一定期間TPP交渉とFTA交渉を並行して進めることを示している。「現在日本は『両賭け』戦略をとるほかにない」と中国国際問題研究所世界経済・発展研究部の魏民(ウェイ・ミン)副研究員は指摘した。

中国社会科学院日本研究所の厖中鵬(マン・ジョンポン)氏は取材に「日本にとってTPPと日中韓FTAはどちらも容易に妥結できる交渉ではない」と述べた。

TPP交渉には現在11カ国が参加している。7月に正式参加する日本を加えれば、この環太平洋地域の多国間貿易交渉枠組みは12カ国になる。厖氏は「12カ国は経済発展水準が同じというわけではなく、TPP参加の動機も異なる。そして多国間貿易交渉というものは、いずれも各国の経済貿易の各方面におよび、複雑なものであり、長期化も必至だ」と述べた。

TPPと比べると日中韓FTA交渉は参加国がずっと少ないが、3カ国間の違いや溝も一目瞭然だ。厖氏は「日本は成熟した先進経済国、韓国は新興の先進経済国、中国は急速に発展している経済国だ。日中間、日韓間には根深い領土問題がある。日韓間には激しい経済競争があり、両国ともに中国市場を奪い合っている。日本は国内に強大な農業保守勢力を抱え、農産物の関税を引き下げる各種の貿易協定に反対し、日中韓FTAにも反対している」と指摘した。

■2つを同時に得ることはできない

日本の虫のいい計算ではTPPとFTAのどちらも得ることが最も理想的な結果だが、それは不可能だ。TPPはFTAよりもランクが高い。これは実現がより困難なことを意味する。

魏氏は「経済的観点から分析すると、日中韓FTAが日本にもたらす利益はTPPを上回る。難しさから言うと、日本国内の抵抗が大きいため、TPP交渉はより困難だ。だが日本にとってTPPが持つ意義は主に政治的なものだ。日本は米国に迎合し、米国の力を借りて中国との均衡を図るため、米国の誘いを断ることはできない。このため日本は各貿易協定の間でふらふらし、経済的利益、政治的利益を天秤にかけ続けており、いずれか一方を断ることができずにいる」と説明。「TPPとFTAは互いに衝突する。現在日本は中韓とFTA交渉を行っているが、米国の圧力は明らかであり、米国を顧みないことは難しい。日中韓FTA交渉に熱意を傾けても、ひとたび国内のTPP反対勢力を上手く片付ければ、TPP交渉によりのめり込むだろう」と述べた。

■TPPはすでに中国の国有企業を「立ち入り禁止」にした

TPPの貿易枠組みで日米の強大な経済力がもたらす貿易効果も見くびることはできない。厖氏は「もし日本が順調にTPP交渉を妥結した場合、このいわゆる環太平洋経済貿易協定は事実上、日米両国主導の日米TPPとなり、日米の経済関係を強化する一方で、米中の経済貿易関係の発展を阻害することにもなる」と指摘した。

こうした影響は日中の経済貿易にもおよぶ。厖氏は「日米の経済貿易関係の強化は日中の経済貿易関係に打撃を与える。日中間ではすでに相互補完的な経済貿易体制が形成されている。中国は市場、日本は投資者、技術保有者だ。だが米国市場が日本に大きく開放されると、TPPによって日本製品の米国市場進出の敷居が下がり、日本の資金やハイテク製品、技術が米国という大市場に進入する。一方、日中間のFTA交渉が妥結しなければ、日中貿易は低い水準で上下するだけの貿易レベルにとどまる」と指摘した。

「それだけではない。TPPは日中韓FTAおよびその他のアジア太平洋または東アジアの経済統合枠組みの効果を打ち消し、打撃を与える。TPPは日中韓FTAの市場よりも大きい」と専門家は指摘。「TPPには『国有企業に対する政府の優遇措置や補助金を制限する』との規定もある。公にはベトナムを念頭に置いたものだが、実はそれよりも暗に中国を念頭に置いている。中国の製造業の基幹ブランドは一般に国有企業だ。この規定は中国の基幹製造業ブランドを叩き、中国の基幹製造業の輸出ルートを塞ぐものだ」と述べた。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/TF)

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