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<コラム>健康保険にみる日本 そして中国 2

配信日時:2020年5月27日(水) 23時0分
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現実、老人は、世の中の大半のことには、経験上無関心である。それでも、生き続けるから、身体の修理にはお金がかかる。資料写真。

老人は「いきがいもなく」生きている。壊れていく身体を嘆きつつ、食べて寝て、漫然とテレビを見て、身体のためにゴルフに出かけ、ジムに行く。「そういえば、スポーツジムの宣伝は若い女性が映っているけれど、でかけたら老人ばかりだった」と言うのが真実である。

高齢者大学で、お仲間も出来る。が、年老いて頑固なので、打ち解け合える親友は出来ない。当然心も固くなりひび割れているからだ。適当に相づちを打つ仲間で、その場では適当にワイワイという。たまには会食もある。だが、一緒にこれからも「快食」しようとは思わない。

身体も心も長い年月によるバリアーがあって、高速滑空ミサイル弾も、レーザー光線も通さない。(笑)

食べ物にも、大した興味はない。「食べる」「性的関心」は、「生存願望」という人間の生きる本質の要だが、最早、大した意味はない。

もちろん、老いても美しく装うことは大切だ。異性を意識すると言うより社会的存在としての自分を意識することなのだ。それがひいては、生きがいや、異性とのホッとしたつながりにもなる。

食べ物も美食や珍味だけを追う必要は無い。「味わう」ことを意識し続けることができれば、食べることによる心の汚れも、身体への負担も少なくなるであろう。

といっても、現実、老人は、世の中の大半のことには、経験上無関心である。それでも、生き続けるから、身体の修理にはお金がかかる。修理しないと動けなくなる。動けなくなって「パタン」と死ねることは少ない。PPK(ピンピンコロリ)は最早、人類語(笑)だが、それが望まれるのは、「K」の前に長く「しんどい」「痛い」「辛い」時間がある。

元に戻って、そういう現状であっても、日本に生まれて幸いだと感謝している。幸い、健康保険制度のおかげで、70歳から医療費は二割負担に減って、少しだけ支払いは楽になった。

新型コロナウイルスの蔓延では、高齢者だけでなく全員に検査などの無料措置がとられているし、世界に比べて死亡率も低い。その他の疾病でも安心して治療を受けられる。

お隣の中国はまだこの保険面では相当遅れているらしい。公的医療保険制度は、2020年までに「皆保険」の実現を目指している。といっても中国の場合は加入には強制と任意が並存しているときく。中国の公的医療保険制度は、都市戸籍と農村戸籍、就業の有無によって、大きく二分類される。さらに、都市の非就労者・農村住民は任意加入となっている。GDPは日本を抜いて世界第二位となっても、一人当たりの国民所得はまだしもなのである。これは医療制度などに充当できる余力がないこともあらわしている。

日本はずいぶん以前に高度成長を終え、先進国となった。この数字が劇的に増加することはない。韓国もここ10年ほどで成長点に達している。前にも書いたが、20年ほど前に韓国に行ったとき、釜山やソウルでさえ「日本の地方都市のようだな」と感じたのを覚えている。

それが驚くべき高層ビルなどのある都市に変貌した。だが、十数年以上経ちだす。マンションなら第一回大規模修繕の季節である。立て直す予算はない。日本と比べると内需が遙かに少なく、輸出主導の経済は、これも成長の限界にさしかかっている。

その意味では、韓国に比し、中国の潜在的成長力は、これからまだ増大するだろう。ただ、先進国アメリカは一人当たりでも6万ドルを超えている。コロナでは政治体制の違いが、押さえ込みに差異を生んだ。が、米中とも健康保険-医療制度と言った面では、正見すると、我が国より相当遅れている気がするのは私だけであろうか。

アメリカでは民間保険が主体で、格差が著しい。誰でも気軽に保険治療は受けられない。オバマケアは、公的保険ではなく、民間保険に入りやすくすると言った趣旨のものである。

我が国は資本主義国でありつつ、先輩のアメリカはもちろん、社会主義国の中国より「社会保障制度」は遙かに進んでいそうである。もっとも、財政赤字と、世界最悪の借金。いくら対外資産が多くとも、そろそろ底が見えてきそうである。

いまのところ高齢者にはありがたい日本の医療システムだが、健常から要介護へ移行する衰えを指す「フレイル」状態の高齢者はますます増加する。俗に「健康寿命」といわれる年齢は71、2歳である。

「あ、私もフレイル駅に着いたか…」

「うむ…、駅の看板の文字が見にくいなあ…」

ま、気にしない!

おしまい

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

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