中国報道官が記者会見で異例の対応、天皇陛下の「1992年訪中」を繰り返し評価

Record China    2019年5月1日(水) 10時0分

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中国外交部の耿爽報道官は4月30日の定例記者会見で、明仁天皇の退位と新天皇の即位についての感想を求められ、「昨日も同じ質問を受けましたが」などと言いつつ、1992年の天皇陛下訪中を繰り返し評価した。

中国外交部の耿爽(グン・シュアン)報道官は4月30日の定例記者会見で、明仁天皇の退位と新天皇の即位についての感想を求められ、「昨日も同じ質問を受けましたが」などと言いつつも、天皇が日中関係の発展に貢献したとする評価を繰り返した。外交部の記者会見としては珍しい対応で、1992年の訪中に特に触れた。

外交部での記者会見で同じ質問が繰り返される場合、中国にとっては「不愉快な話題」である場合が多い。そのため、たいていの場合には「その質問については回答済み」などと、報道官が説明の繰り返しを拒絶する。

30日の記者会見で耿報道官は記者に対して「昨日はあなたの同僚が、全く同じ質問をしましたが、私に改めて繰り返せと言うのですか?」と述べた。「繰り返していただきたい」との求めに応じて耿報道官は、「明仁天皇は1992年に訪中し、中国の党と国家の指導者と多く会見され、中日関係の発展の推進のために積極的な貢献をされた」と全く同じ回答をした。

耿報道官はさらに、「あなたの質問は昨日の同僚と同じですから、私の回答も昨日と同じです」と述べ、記者らを笑わせた。

中国で明仁天皇は初めて中国を訪れた天皇としても紹介されているが、中国外交にとっては92年という訪中のタイミングの方がはるかに重要だ。当時の中国は89年の天安門事件により、西側諸国から「門戸を閉ざされた」状況だった。改革開放により経済や技術を急速に発展させねばならぬ中国にとって、極めて深刻な事態だった。

中国に対して真っ先に「救いの手」を差し伸べたのが日本で、海部俊樹首相(当時)が90年に訪中。さらに中国側の要請を受け宮沢喜一内閣時の92年に天皇陛下の訪中が実現した。訪中は世界的にも注目された。天皇陛下の外遊がご本人の意志で決まるわけではないが、中国にとって天皇陛下は西側諸国との関係回復にはずみをつけてもらった「恩人」ということになる。

天皇陛下訪中の交渉や各種実務を担当した当時の楊振亜(ヤン・ジェンヤー)大使も回想録で、外交官人生の中でも天皇訪中は最も大切な仕事の一つだったと記している。

中国では明仁天皇が、平和を願うお気持ちを繰り返し表明したことでも評価されている。SNSでの書き込みでも、天皇陛下に対する敬意の書き込みが多い。

天皇陛下の退位と新天皇の即位は、中国でも大きな関心を集めている。中国の代表的なポータルサイトである新浪網の国際ニュースの4月30日午後7時現在(日本時間)のヘッドラインでは、計20本のうち9本が天皇陛下の退位と新天皇の即位に関連する話題が占めた。数多い国際ニュースの中でも、日本一国について、しかも同一のテーマがヘッドラインにこれほど集中するのは、やはり異例の状況だ。(翻訳・編集/如月隼人

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