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<直言!日本と世界の未来>平成時代の「沈滞」を打破し、飛躍するために=令和時代の企業経営を考える―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年4月28日(日) 9時0分
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平成時代の終了まであとわずか。この30年間に1人当たりGDPの順位、国際競争力などほとんどの指標で日本の地位が急降下した。令和を活力あふれる時代にするカギは、若い世代の活躍。デジタルやAIの領域で、優秀な起業家が多く輩出されることである。

平成時代の終了まであとわずか。この30年間に1人当たり国内総生産(GDP)の順位、国際競争力などほとんどの指標で日本の地位が急降下、人口減少や格差拡大などの問題が深刻化し、財政赤字が膨らんだ。大きな災害に見舞われたとはいえ、反省の上に、次の令和時代に繋げなければならない。

株式時価総額ランキングをみると、平成元年(1989年)には世界の上位20社のうち、NTTを筆頭に14社が日本企業だったが、今はゼロ。トヨタ自動車の41位が最高で、上位層は米国や中国のデジタル企業が占める。

マクロの経済指標でみても、89年には世界4位だった日本の1人当たりGDPは18年には26位まで下落した。日経平均株価も1989年末に付けた3万8915円をピークに下落、30年後の今も半値強の水準にとどまっている。日本はかつて世界に誇った豊かさを失いつつある。

原因として指摘されるのは長期の人口減少とデフレ経済だが、それだけだろうか。人口減がトータルの経済規模にマイナス影響を与えるのは事実だろうが、それは絶対的な制約ではないように思われる。例えば人口がほとんど横ばいだった中国は最近まで2桁の経済成長を実現してきた。人口が増加しない中でも、工夫次第で高成長は可能だと思う。

平成時代の経済低迷の要因として企業の活力の低下が挙げられる。日本企業が世界をけん引する新製品や新サービスを生み出せなくなって、企業と経済の成長が止まり、日本の地盤沈下が進んだという指摘である。昭和の時代に進取の気性が旺盛で急成長した日本企業も徐々に保守的な組織になったということかもしれない。経済同友会の小林喜光氏は平成時代を「敗北の時代」と厳しく評価。日本経済新聞論説委員の西條都夫氏も、4月22日付の同紙コラム『平成の「敗北」なぜ 企業老いて成長できず』でリスクを取らない保守的な組織になったことが原因ではないかと指摘している。

リスクを取ることが会社にとって必要だとわかっていても、共同体型組織のなかで「失敗」を恐れる意識が経営者を保守的にさせる。このような意識は経営者だけでなく、一般社員の間にも充満している。リスクを取って積極的にチャレンジできる企業構造に変革しなければ、令和時代になっても平成の「敗北」はそのまま持ち越されるだろう。もちろん積極果敢に「攻め」の姿勢を貫く企業も多いのは承知の上である。

「平成の桎梏」から抜け出し、令和を活力あふれる時代にするカギは、若い世代の活躍だろう。特に今後の成長の核になるデジタルやAI(人工知能)の領域で、優秀な起業家が多く輩出されることが、日本経済再出発の条件といえよう。

<直言篇86>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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