日本の2019年版外交青書、中国の専門家はどう見る?―中国メディア

Record China    2019年4月24日(水) 15時20分

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24日、中国メディア・環球網は日本の2019年版外交青書公表を受けて、「日本の外交青書は何を意味しているか」という記事を掲載した。筆者は復旦大学日本研究センター准研究員の王広涛氏。

24日、中国メディア・環球網は、日本の2019年版外交青書が23日に内閣により公表されたことを受け、「日本の外交青書は何を意味しているか」という記事を掲載した。筆者は復旦大学日本研究センター准研究員の王広涛(ワン・グアンタオ)氏。

王氏は、「19年度外交青書は日本にとって、外交の全体的な状況を体系的に整理し、現行の外交政策の方針ならびに今後の全面的な展望を示す、外交戦略の要とも言える重要な文書だ」とした上で、「外交青書の具体的な内容の変化は日本の外交政策および国家間関係の現状を反映しているだけでなく、日本が将来採るであろう外交政策の方向性もあらかじめ示しており、特に注目に値する」とした。

そして、「19年版外交青書で明らかに変更された、主にロシア、韓国、北朝鮮ならびに中国に関するいくつかの点が日本国内外で大きな関心を集めている」と指摘。19年版の外交青書ではロシアに関する「北方領土は日本に属す」という一文や「北朝鮮に対して圧力を最大限まで高めていく」という強硬的な記述が削除され、また昨年度の「日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく」という前向きな表現は「日韓関係は非常に厳しい状況に直面した」という記述に改められたことに触れた。

王氏は「こういった変更からは日本の北東アジア政策の変化が読み解ける」とし、「領土の保全と国家の安全保障はこれまで日本の外交にとって関心の中心であり続けてきた。安倍政権にはロシアとの北方領土問題を解決する意図があり、『北方領土は日本に属する』という記述を削除したのだろう。これにより日露交渉の局面は切り開かれたが、日本政府が確立してきた原則的立場は弱まった」と指摘。「北朝鮮については、日本はこれまで有効なコミュニケーションの手段を持っていなかった。しかし米朝トップの対談により北東アジアの緊張が弱まったことを受けて、日朝間で実際の政策を模索しようという前向きな立場を示したのだろう」とした。そして、「この2点における変化は日本がロシア、北朝鮮との関係改善に前向きであることを表す。具体的な政策がどうなるかは当事者の努力や国際状況次第だ」と述べた。

続いて「日本は東アジア秩序の建設にあたって多くの切り札を持っているわけではないが、中国との関係を改善できるかどうかは安倍政権の目玉の一つだ」と指摘。「日本と他の東アジア近隣諸国との関係は良好とは言えないが、対中関係を改善できれば明らかに連鎖効果が見込める。19年の外交青書は『中国と安定した関係を築くことは非常に重要である』としており、中国との関係改善は日本にとって、日中関係にとどまらず外交戦略全体に影響を及ぼすものである」とした。そして「18年の両国首脳間の訪問を通して日中関係は正常な軌道に乗った。19年は関係をさらに深めていかなければならない」と述べた。

しかし王氏は、「日中関係が全て順調というわけではない」とも指摘。「中国との東シナ海およびに南シナ海問題に対する日本の非難は止まる兆しがなく、日本政府が外交青書の中で中国に明らかな敵意を示しているように、2カ国関係の構造自体に関わる問題はまだ適切に解決されていない。安倍首相は日中関係の改善に尽力したが、首相自身も米国とヨーロッパの間で板挟みになっており、米中が戦略競争を展開している現状において、どのように安全保障利益や経済利益の領域でバランスをとりながら対中ならびに対米関係を構築するかは大きな課題となっている」とした。

それでも王氏は「日本が中国の核心的な利益を脅かさない限り、日中関係が穏やかに発展するのは間違いない」と主張。「今年、日本は改元を迎え、新たな時代に突入する。20カ国・地域(G20)が6月に大阪で開催されるに当たって、安倍首相は中国訪問の際に習近平主席を直接招待した。加えて日本国内の参議院選挙や、想定される衆議院選挙の日程も外交の観点から見ると『圧倒的に理想的』であり、日中関係が『この勢いに乗って進歩するか否か』は注目に値する」と締めくくった。(翻訳・編集/岩谷)

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