中国で書店が人気の「撮影スポット」に 目的は読書よりも撮影?

人民網日本語版    2019年4月24日(水) 18時0分

拡大

斬新でオシャレな内装が施され、本の陳列も工夫がこらされ、本を読みながらコーヒーやドリンクを飲むことも可能。そんな、文化サロンのようなスペースを提供する見た目も美しい書店が今、中国のネットで大きな人気を集めている。

斬新でオシャレな内装が施され、本の陳列も工夫がこらされ、本を読みながらコーヒーやドリンクを飲むことも可能。そんな、文化サロンのようなスペースを提供する見た目も美しい書店が今、中国のネットで大きな人気を集めている。中国新聞網が報じた。

これまで書店に行くのは「本を買うため」や「本を読むため」のどちらかで、その目的は非常に明確だった。しかし、ネットで人気を集めている書店に行く人の主な目的は、「本」ではなく、「写真撮影」。映りの良い角度を探し、ポーズを決めて、シャッターを押し、お気に入りの写真を撮影することができれば目的達成だ。

書店が装いをますます美しく新たにしていくにつれて、人々がそこに行く目的も、「本」ではなくなってしまったのだろうか?

ある統計によると、2002年から2012年の10年間、特に2011年以降、中国では書店の倒産が相次いだ。また、倒産にまでは追い込まれなかったものの、店舗の賃料高騰やネット通販の普及などが原因で、移転を余儀なくされた実店舗の書店も少なくない。

インターネットが普及し、読書スタイルも断片化が進み、以前のように書店に行って本を買ったり、本を読んだりする人が減少の一途をたどっている。しかし、その一方で、「実店舗の書店を守るべきだ」と声を上げる人も増加している。

しかし、一部の書店は店内の内装が少し奇抜過ぎるだけでなく、各種講座や文化イベントを開催したり、コーヒーやファーストフードを販売したりと、以前の書店とその様相が全然違うと感じている人もいるにちがいない。人々の書店に行く目的として「写真撮影」が新たに加わったと言っても過言ではない。

ネットで人気の書店が人気の「撮影スポット」に

北京の前門大街にある書店・Page Oneには、天井まで高さ50メートルもある本棚があり、星空を見上げるかのような天井が、ネット上で話題をさらった。そして、それを一目見ようと、多くの人がそこに押し寄せ、ネットで人気の書店となった。

現在、こうした見た目に優れているネットで人気の書店は中国各地に登場している。ただ、そこを訪れる多くの人の主な目的が「本を読む」ではなく、「写真撮影」。そして映りの良い角度を探し、ポーズを決めて、シャッターを押し、お気に入りの写真を撮影することさえできれば目的達成という、やや残念な状況が見られる。

4月23日の「世界本の日(世界図書・著作権デー)」を前にしたある週末、Page Oneに行ってみると、約5分ほどの間に、写真を撮影している人を6-7人は見かけた。中にはスマホではなく、カメラを持っている本格的な人すらいたほどだ。

ある若者は取材に対して、「書店は知識を広める場所であるべき。だから本を買わなくても、講座を聞いたり、何かしら本や読書と関係のあることをすればいいと思う」と、冗談交じりにツッコミを入れつつも、書店はどんどん発展しているものの、その発展に比例した数の「本を読む人」を呼び込むことはできていないと指摘した。

書店はどんどん美しくなっても、紙媒体図書はほとんど増えてない現状

中国で最近発表された第16回全国国民読書調査の結果によると、2018年、中国の成人一人当たりの紙媒体図書読書量は年間平均4.67冊にとどまり、2017年の4.66冊とほぼ横ばいだった。

そのため、「書店は装いを新たにし、機能も一層充実させているのに、なぜ、紙媒体図書の読書量が増加していないか」と指摘する声も上がっている。

作家の三石氏は、「見た目に優れている書店やネット上で人気の書店が増加しているということ自体はいいこと。これは、近年の実店舗書店のモデル転換と高度化の結果だ。よい雰囲気を作り出すことで注目を集め、人々が読書に興味を持つよう促すのがその目的だ」とし、「多くの人がネットで人気の書店に来て写真を撮影することは、客観的に見れば、宣伝効果もあり、より多くの人がそれを知ることになるだろう。ただそれがネットで人気になればなるほど、読書も人気になるように取り組まなければならない」と指摘する。

その他、スマホやショート動画、ライブ配信などが大人気になり、多くの人がそれらに時間を取られるようになっているほか、生活のリズムは速くなり、情報取得の方法も断片化しており、長編小説などを最後までゆっくりと時間をかけて読む時間や余裕がないという人も増えている。

三石氏は、「書店は、いかにおもしろいイベントを企画することで、写真を撮影するためだけにそこを訪れた人が読書に興味を持ち、本を買ったり読んだりするように導けるかを考えなければならない。そのように読書推進イベントとうまく組み合わせることで、人々の読書量を増加させることができる。それは、知識を広める書店が負うべき責任でもある。しかし、それにはもしかしたらやや長い時間を必要とすることになるかもしれない」との見方を示している。(編集KN)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携