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質の良い睡眠は、我々の健康にとって極めて重要だ。
質の良い睡眠は、我々の健康にとって極めて重要だ。米ニューヨーク大学の研究チームは、不眠対策として定着している6つの誤解をネット上で検索し、それらの誤解に対する科学的根拠にもとづく分析・比較を行った。
誤解1:多すぎる睡眠時間は不要、睡眠は5時間以下でも十分
このような考え方はすでに長い間言われてきている。しかし、研究チームは、「毎日5時間未満の睡眠時間でも健康に問題はないという主張は、最も健康に有害な誤解の一つ」と指摘している。
ロビンス博士は、「我々が取得した多くの証拠をみてみても、睡眠時間が常に5時間未満であれば、健康を損なうリスクが増大する恐れがあることが分かっている」とする。その健康リスクとは、心臓病や脳卒中に罹患するリスクであり、寿命を縮める可能性もある。
研究チームは、毎晩少なくとも7時間から8時間の睡眠時間を確保するようアドバイスしている。
誤解2:睡眠前の飲酒は不眠対策に効果的
このような意見も全くの誤解だ。1杯の果実酒やウイスキー、またはビール1本であろうと、すべて睡眠の質にマイナス影響を及ぼす。
ロビンス博士は、「確かに、寝る前の一杯で眠りに入りやすくなることはある。しかし、夜間の休息の質がかなり低下する。特に、レム催眠(急速眼球運動を伴う睡眠で、眠りは浅く、夢の多くはこの催眠中に見る)に関わることになる。レム催眠は、記憶力や学習に非常に大きな作用を及ぼす」としている。
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また、アルコールには利尿作用があることから、就寝前の飲酒によって、夜中にトイレに起きる頻度が高くなる。
誤解3:ベッドでのテレビ鑑賞はリラックスするのに効果的
就寝前に心身ともにリラックスするため、テレビなどを観ることが多い人もいる。しかし、ロビンス博士は、「寝る前に観るテレビ番組は、報道番組が多く、その内容が不眠に繋がったり、あるいはストレスや緊張をもたらす可能性がある」と警告している。
テレビのほか、スマホやタブレットPCなどの電子機器にも注意が必要だ。これらの電子機器から発せられるブルーライトによって、メラトニンというホルモンの分泌が抑制されることが、すでに研究から判明している。メラトニンは、人が睡眠状態に入りやすくする働きがあるからだ。
誤解4:たとえ眠れなくともベッドから出てはならない
誰もが早く眠りにつきたいがために、数をかぞえたりする。しかし、このような試みを長く続けても、眠れるとは限らない。こんな時は、一体どうしたらよいのだろうか?そんな場合、無理やり寝ようと自分を追い込み過ぎないことが大事。例えば、ベッドから起きて、靴下をたたむなど、あまり頭を使う必要のないことをしてみると良い。
ロビンス博士は、「一般的に、健康な人であれば、ベッドに入ってから入眠するまでに約15分かかる。もし、あまり長い時間眠れないのなら、さっさとベッドから出て環境を変えるべきだ」と指摘する。
誤解5:目覚まし時計が鳴ったあと、少し二度寝する
多くの人が、目覚まし時計が鳴ったあと再び二度寝する習慣があり、このプラス数分間の睡眠に大きい効果があると思っている。
しかし、研究チームは、二度寝しようとしまいと大差はないという見方を示している。目覚まし時計が鳴ったら、きっぱりと起きるべきだ。ロビンス博士は、「もう少しうとうとしていたいと思っても、二度寝の誘惑に負けてはならない。というのも、その二度寝の睡眠は、非常に軽いもので、質も低いものだからだ」と指摘している。
誤解6:いびきは問題なし
いびきは無害かもしれないが、睡眠中の呼吸が停止している症状という可能性もあり得る。睡眠中にいびきをかくことで、喉の筋肉が緩み、狭くなり、呼吸が暫く停止してしまう。
このような症状を呈する人は、高血圧症や不整脈、心臓病、脳卒中に罹患するリスクが高まる可能性がある。とても大きないびきをかく場合は、病気の可能性があることに注意しなければならない。
ロビンス博士は、「睡眠は、我々にとって最も重要な活動の一つだ。健やかな睡眠を保つことで、心身の健康を改善し、寿命を延ばすことができる」と結論づけている。(編集KM)
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