ノートルダム大聖堂火災が警鐘鳴らす文化財の防火、日本の防火対策とは?―中国メディア

人民網日本語版    2019年4月22日(月) 21時40分

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フランスのノートルダム大聖堂が大火災で深刻なダメージを受けたというニュースは、日本でも大きな注目を集めている。日本の各自治体や消防当局は、文化財の所有者と共に、防火対策の検査を実施し、火災の潜在リスクがないかチェックしている。写真はノートルダム大聖堂。

フランスのノートルダム大聖堂が大火災で深刻なダメージを受けたというニュースは、日本でも大きな注目を集めている。日本の各自治体や消防当局は、文化財の所有者と共に、防火対策の検査を実施し、火災の潜在リスクがないかチェックしている。新華社が伝えた。

日本社会は以前から、文化財の防火・防災を非常に重視している。とはいえ関連する法律や対策は幾度もの火災を経験し、少しずつ制定され、整備されてきたもの。70年前に奈良の法隆寺で発生した大火災は、最初に日本の歴史ある建築物保護に対し、警鐘を鳴らした火災となった。

現存する世界最古の木造建築物の一つである法隆寺は1949年1月26日に発生した火災で、白鳳時代(西暦7世紀末~8世紀初め)に作成された釈迦浄土図や阿弥陀浄土図などを含む金堂壁画12面が焼損した。

法隆寺の火災に日本の政府も民衆も大きな衝撃を受けた。火災発生後、日本政府はすぐに立法という手段で文化財の防火・防災対策を強化し、翌年に日本初の文化財の保護についての総合的な法律「文化財保護法」を制定した。また、1955年から、日本は1月26日を、文化財防火デーと定めている。その他、日本の「消防法」や「消防法実施令」などの法律・法規は、文化財の保護を特に強調し、歴史ある建築物に相応の消防設備を設置することを義務化しており、その内容も非常に明確で詳細にわたっている。

日本の歴史ある建築物は、1868年の明治維新以前の寺社や日本庭園、茶室、住居などを指しており、主に京都や奈良、鎌倉などに集中している。日本の歴史ある建築物のほとんどが木造、または石と木で作られており、屋根は茅葺きや檜皮葺であることが多く、火災が起きると破壊的な被害を受けやすい。このように日本の歴史ある建築物にとって「火災」は最大の敵と言っても過言ではない。

1617年に創建された栃木県日光市の東照宮は、徳川家康を神格化した東照大権現を祀る神社。1999年にはユネスコ世界遺産に登録された。歴史上何度も火災の被害を受けている東照宮だが、1961年の火災では、貴重な天井画が焼失し、宝物館も全焼した。

日本の文化財の防火理念は主に、予防、早期発見、初期消火を重視している。東照宮の国宝建築物「陽明門」を例にすると、大きな貯水池が設置されているほか、陽明門の階段の傍らの目立たない位置に消火設備が設置されている。蓋を開けて消火栓とつなぐと、上下左右に動かすことができるノズルを使って、水を陽明門まで噴射することができる。

陽明門の壁の下には建物と同じ色の温度センサーが設置されている。また、違和感がないようにと、東照宮内のセンサーの配線には21色の線が使われ、金箔が施されている線まである。

東照宮内の主な建築物には全て監視カメラが設置されており、当直室で24時間体制で3人が監視し、異常があった場合はすぐに対応できるようにしている。また、東照宮の職員からなる自衛消防隊があり、毎年定期的に防火訓練を実施している。防火目的で、東照宮宝物館の壁は現在、全て銅板で覆われている。

奈良にある唐招提寺の第88世長老・西山明彦氏によると、奈良の多くの寺にも火災自動警報装置や火の手が広がるのを防ぐ防火設備があり、それぞれ、消防担当者がいる。そして、文化財防火デーである1月26日には毎年大規模防災訓練が行われるという。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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