人民元の国際決済機能が強化、世界13位の決済通貨に―中国メディア

Record China    2013年3月19日(火) 9時30分

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18日、人民日報(電子版)の報道によると、中国人民銀行の周小川総裁は今月13日、人民元資本取引の自由化を段階的に実現する方針を表明した。写真は江蘇省連雲港市にある銀行。

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2013年3月18日、人民日報(電子版)の報道によると、中国人民銀行の周小川(ジョウ・シャオチュワン)総裁は今月13日、人民元資本取引の自由化を段階的に実現する方針を表明した。一部外国メディアは人民元相場が同日2カ月ぶりの高値で引けたことに注目した。香港上海匯豊銀行(HSBC)が今月11日に発表した最新報告「人民元の台頭II」は、人民元は世界で最も急速に台頭する通貨となり、国際金融システムの根本的な再構築が始まったとしている。

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■個人の海外での支払いと貿易決済が揃って増加

春節(旧正月、今年は2月10日)連休中に多くの中国人が海外旅行に出かけ、銀聯カードで支払いを行ったことで、人民元も世界各地に広がった。現在世界141カ国・地域で中国の銀聯カードが使える。1回1回の支払いが国際決済だ。中国国民の「海外進出」に伴い、人民元の使用範囲、受け入れ範囲も広がっている。

個人の海外での支払いが人民元の世界ネットワークを拡大しているとするなら、人民元建て貿易決済は人民元国際化の基礎である。スタンダード・チャータード銀行が今月7日発表した統計によると、同行の人民元グローバル化指数は1月に前月比8.2%上昇した。同行は指数を押し上げた最大の要因として、香港、シンガポール、ロンドンの人民元建て貿易決済が過去最高を記録したことなど貿易決済その他国際決済を挙げている。このうちシンガポールでの取引による人民元建て決済は前月比30%、ロンドンは40%増加した。

国際銀行間通信協会(SWIFT)が2月27日に発表した統計を見ると、人民元は現在国際決済通貨への階段を上っている。人民元はすでに1月にロシア・ルーブルを抜いて世界13位の決済通貨となった。SWIFTによると2012年1月から2013年1月の間に人民元決済額は171%増加。今年1月には24%増加し、世界において過去最大の0.63%を占めるにいたった。

SWIFTの人民元担当者は「香港、ロンドン、シンガポールなどオフショア人民元センターが人民元の決済通貨としての成長を明らかに推し進めている。中国工商銀行シンガポール支店が最近、同国の人民元決済銀行として承認されたことでも、人民元決済の増加が一段と後押しされるかもしれない」と指摘する。

■人民元業務を扱う金融機関は世界で1万社以上

HSBCの報告「人民元の台頭II」によると、2011年6月にはわずか900社だった人民元業務取扱金融機関は2012年8月には1万社を超えるにいたった。この3年間でオフショア人民元はゼロから発展し、現在では9000億元(約13兆6500億円)規模にまで近づいている。中国の貿易決済における人民元の割合は2010年の3%から2011年には9%、2012年には12%に高まった。人民元の国際資本移動も始まっている。2012年に人民元建ての外国の直接投資はほぼ3倍になり、人民元建ての対外直接投資も50%増加した。これは国際社会による人民元の受け入れがすでに貿易決済から投資分野にまで拡大し始めたことを意味する。

報告によると2010年の発足以来、人民元オフショア市場は力強い成長を続けている。人民元商品の範囲はどんどん広がり、ヘッジ、資金調達、投資を求める市場参加者に著しい影響を与えている。現在、国際人民元取引の79.6%が香港で処理されている。2012年7月以降、オフショア人民元決済の4%がロンドン、3.9%がシンガポールで処理されている。最近台湾とシンガポールも人民元決済銀行を承認した。英国もすぐに続く兆しが見られる。

報告は2015年までに中国の貿易額の3分の1が人民元建て決済となり、人民元は世界3大貿易決済通貨の1つになると予測している。だが金融関係者の一部は、この予測は楽観的すぎるかもしれないと指摘。人民元の国際化、特に資本取引の自由化実現にはまだ相当長い時間がかかると見ている。

■多国籍企業は人民元に依然慎重姿勢

ロイター通信は今月6日の報道で人民元国際化が直面するもう1つの障害として、多国籍企業が人民元に対して依然慎重な姿勢であることを挙げた。SWIFTの報告も米国市場での人民元決済業務のパフォーマンスが平凡なものであることを示している。2012年12月の米中間の決済の95.5%は依然ドル建てであり、人民元建ては0.3%に過ぎない。SWIFTの人民元担当者は「人民元が米中間の決済通貨となるには、米ドル建て決済のみという習慣、米ドルのみを扱うシステムの改造を含む何重もの試練を克服する必要がある」と指摘する。

また、中国周辺の新興国の企業の人民元に対する認可度の高まりも待たねばならない。タイ銀行北部支店のシニアエコノミストは「タイ企業と中国企業の貿易決済における人民元の割合は1%に満たない。タイ企業は米ドル建て決済に慣れている。タイ企業に対する両国の商業銀行による人民元建て決済の売り込みでは、人民元建て決済が可能なことを知らない企業があったし、こうした企業の提携先は多くの国に及ぶので、人民元を手にした後にどう使用し、投資するのかも大きな問題となる」と指摘する。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山

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