セウォル号沈没事故5年、遺族は朴槿恵前大統領らの処罰要求、次期大統領選をにらんだ思惑も見え隠れ

Record China    2019年4月20日(土) 11時20分

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高校生ら304人が犠牲になった韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故から5年。遺族は脱出を指示しなかった朴槿恵前大統領ら17人の処罰を要求しているが、背景には次期大統領選をにらんだ政治的な思惑も見え隠れする。

修学旅行中の高校生ら304人が犠牲になった韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故から16日で5年が経過した。遺族は脱出を指示しなかった朴槿恵前大統領ら17人の実名を公開し処罰を要求。大惨事は依然として尾を引いているが、背景には次期大統領選をにらんだ政治的な思惑も見え隠れする。

セウォル号は2014年4月16日に韓国・南西部の珍島沖で沈没した後、17年3月になってようやく引き揚げられた。船体は近くの木浦の港に運ばれたが、事故の痕跡は生々しく残っている。

ハンギョレ新聞によると、遺族らで組織する「4・16連帯」は15日、事故当時、十分に救助できたはずの100分間、退船処置を妨げ、被害者たちをそのまま船にとどまるようにし犠牲者を出した責任者などとして、朴前大統領や黄教安・元法務部長官(現在は保守系の自由韓国党代表)、元大統領秘書室長、元国家安保室長、元海洋警察庁長ら17人を名指しした。黄元法務長官は光州地検の捜査責任者に真実を隠ぺいするよう圧力を行使したという疑いで処罰対象者に含まれた。

4・16連帯のペ・ソヨン事務処長は「検察が14年に約300人を召喚して調査したが、この5年間で処罰された政府の責任者は海洋警察123艇長1人だけだ。高性能スピーカーをつけた救助ヘリコプターが現場にあったにもかかわらず、セウォル号からの退船を知らせるゴールデンタイムを逃した責任者が海洋警察庁の艇長1人だけだというのは話にならない」と訴えた。

さらに事故をめぐっては前政権時代、情報警察が「4・16セウォル号惨事特別調査委員会(特調委)」の活動を妨害するために、「特調委報告書」を作成して2年にわたり大統領府に報告したことも発覚した。当時、情報警察はセウォル号特調委と遺族を「政敵」として扱い、保守団体である父母連合を利用して特調委の活動を妨害する案まで提案していたことも分かったという。

聯合ニュースによると、文在寅大統領は16日、「二度と同じ悲劇が繰り返されないようにするという覚悟を新たにする。真相解明と責任者の処罰は徹底して行われる」とフェイスブックに投稿。「(犠牲になった)子どもたちを記憶し、国民の生命と安全が最優先だという政府の誓いを必ず守る」と約束した。

遺族側が処罰を求めている黄元長官は、朴槿恵政権で15年には首相に就任。国政介入事件などで国会が朴大統領氏の弾劾案が可決した16年12月から、文政権が発足した17年5月まで大統領権限代行を務めた。22年に行われる次期韓国大統領選の有力候補の一人で、支持率調査で李洛淵首相らと競っている。(編集/日向)

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