日本の専門家が語る中国の「外商投資法」―中国メディア

人民網日本語版    2019年4月17日(水) 6時50分

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3月15日、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議は「中華人民共和国外商投資法」を表決・可決した。同法の可決の意義をどうみるか、実施の見通しはどうかといった問題が、中国への直接投資大国である日本で世論が注目する焦点になっている。写真は上海。

今年3月15日、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議は「中華人民共和国外商投資法」を表決・可決した。同法の可決の意義をどうみるか、実施の見通しはどうかといった問題が、中国への直接投資大国である日本で世論が注目する焦点になっている。雑誌「環球」が伝えた。

こうした問題について、元日本通商産業省北東アジア室長、在中国日本大使館元経済部参事官の津上俊哉氏、みずほ銀行執行役員、瑞穂銀行(中国)有限公司董事長の岡豊樹氏、在日中国人企業家の代表、日本吉林総商会会長の荘旭氏ら、関連分野の専門家に話を聞いた。

■中国でこのたび可決された外商投資法の特徴と意義をどうみるか?

津上氏は、「このたび可決された外商投資法は外資系企業に対する管理や制限を緩和するだけでなく、外資の中国参入の保護・促進を全面的に打ち出した内容を含む。同法は可決までの期間が短く、実施細則はさらに整備する必要があるが、それでも十分期待できるものといえる」と述べた。

岡氏は、「中国がこのたび外商投資法を可決したことの意義は重大だ。2018年4月、ボアオ・アジアフォーラムに参加した際、中国の金融市場が対外開放をさらに進め、銀行、証券、保険に関する内国民待遇プロセスを推進するとともに、期限を明確にしたことを知った。これは非常に意義深いことだ。現在、外資系銀行は中国で約3%のシェアしか占めていないが、金融市場が開放され、各種事業が拡大・発展すれば、金融機関は一層活発になるだろう」と述べた。

岡氏は続けて、「たとえばみずほ銀行の持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループは、銀行、信託、証券、資産管理、研究機関を擁する総合金融機関であり、日本の上場企業の70%を顧客とする。中国が外資系企業へ徐々に市場を開放すれば、みずほ銀行は中国でのネットワークやサービスのラインアップといったインフラの構築を充実させて、日本から中国へ進出する企業がより便利に、迅速に中国事業を展開できるようになるだろう」との見方を示した。

■このたびの外商投資法のどの内容に最も注目するか?どのような意見と提案があるか?

津上氏は、「私が最も注目するのはやはり外資参入の条件だ。外商投資法の規定には、行政機関及びその職員は行政手段を利用して外資系企業に技術移転を強制してはならないとあるが、中国国内の合弁側が外資側に技術移転を要求する可能性はあるかどうか。しかしこれは正常なことでもあり、どの国でも同じことだ。中国市場が広大で、中国企業の販売ルートの力を借りようとしている外資側企業があれば、技術移転を条件に協力パートナーを探す外資側企業もある」と述べた。

岡氏は、「私が最も注目するのは外商投資法の知的財産権に関わる内容だ。ここ数年の中国の知財権保護をめぐる具体的事例をすべてフォローしてはいないが、中国の知財権保護に関する措置はここ数年で大幅に強化されたと感じている」との見方を示した。

また岡氏は、「今は、日本企業が最も進んだ技術、最も進んだ製品を中国に持っていかなければ、中国での競争力が低下したり、高い評価を得るのが難しくなったりするという時代に入っている。逆に言えば、日本企業が最も進んだ技術、最も優れた製品を携えて中国市場に進出すれば、知財権保護の面で、中国が関連措置をより一層強化することを確信する」と述べた。

荘氏は、「私も知財権保護措置が非常に重要だと考える。この法案は特に行政手段を利用して技術移転を強制してはならないなどの規定を特に盛り込み、これは外資が参入にあたり最も関心を寄せる問題だ」と述べた。

荘氏によると、「日本にはグローバル市場で高いシェアを誇る先進的技術がたくさんあり、こうした技術は十数年、時には数十年にわたる科学研究の成果であり、投入された資金も人手も資源も非常に多い。関連企業はこうした成果を非常に大切にするとともに、自分たちの持つ特許の安全性を非常に懸念している。だからこそ、一部の企業はこうした技術をなかなか中国に持ち込もうとしないのだ。だが今の中国に必要なのは最も進んだ、最も競争力を備えた技術であり、そのためには法律の面で外資系企業を安心させ、行政による干渉をするのではなく、従うべき法律があるようにすることが大切だ」という。

また荘氏は、「この法案は外資系企業の投資を保護するために着実に各種の規定を設けた。たとえば海外の投資家の中国国内での出資、利益、資本収益などについて法律に基づいて人民元または外貨で自由に海外送金できると規定しており、これは重要な点だ。投資家は利益の回収を考慮するものだが、この点については保障が与えられ、自由度も高まり、経営管理の面でずっとスムーズになる」と述べた。

■日本も高度成長期に外資や外国の技術を導入し、関連の法律・制度を整えた。こうした経験や教訓で中国の参考になるものは何か。

津上氏は、「外資導入の点で、日本はあまりうまくできなかった。1949年に、日本では『外国為替及び外国貿易管理法』が制定され、貿易と外貨の管理が極めて厳格化された。その後、この法律は経済の発展状況に合わせてたびたび改正され、大幅な改正が2回行われた」と説明した。

津上氏は、「1回目の大幅改正は80年で、外貨取引をともなう貿易や投資をめぐり、同法の内容がそれまでの『原則禁止』から『原則自由』に改められた。2回目は97年で当時の橋本内閣が改正案を可決し、許可・届出制度を全面的に廃止し、98年に施行された」と続けた。

さらに津上氏は、「しかし1960~70年代には、日本も他の国も、外資導入に対する見方は現在と大きく異なり、外資導入を一種の脅威だと考える人が多かった。日本も当時は外資導入に消極的で、そのため技術だけを買収していた。IBMの技術買収などで、かなりのコストを支払った」と述べた。

津上氏は、「だが50年前に比べ、中国は外資導入に対する見方を徹底的に改めたといえる。改革開放のスタート以来、中国は外資に対して一貫して大いに歓迎するという態度を取り、外資導入により中国の発展は大きな力を得てきた。こうした意義で言うと、中国の発展モデルは非常に成功したといえ、多くの発展途上国の参考になる模範例になったといえる」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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