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考古学隊員は先ごろ江蘇省溧陽氏上鎮にある春秋時代の土墳から、陶罐にぎっしり詰め込まれた鶏卵を発見し、そのニュースが世間の関心を集めた。
考古学隊員は先ごろ江蘇省溧陽氏上鎮にある春秋時代の土墳から、陶罐にぎっしり詰め込まれた鶏卵を発見し、そのニュースが世間の関心を集めた。実際のところ古代の遺跡から食べ物が発見されたのは、これが初めてではない。これまでにも、麺や蓮根スープ、餃子、肉の串焼きに点心まで発見されている。科技日報が報じた。
〇馬王堆漢墓から出土した蓮根スープ
考古学隊員がふた付きの漆器を発見し、慎重に漆器のふたを開けたところ、中に入っていたのは蓮根スープだった。この漆器を墓の外にいた作業員に渡そうとしたところ、スープの中のスライスされた蓮根が次第に溶けだして、いくつかの薄い蓮根のスライスはあっという間に溶けて無くなってしまったという。
タイミングよく、すぐ傍にいた随行カメラマンが、隊員の叫び声を聴きつけ、すぐに駆け付けカメラのシャッターを切り、2千年あまり前に作られた蓮根スープの姿をモノクロ写真に収めた。その蓮根スープのモノクロ写真は現在も湖南省博物館に展示されている。
〇喇家遺跡で見つかった麺
中国社会科学院考古所の葉茂林研究員は、彼がリーダーとなって率いた考古学チームが、2002年に青海省民和喇家遺跡で4千年前の麺を発見したときのことを、今もよく覚えているという。
それは秋冬シーズンのことで、地下約2メートルの深さで、考古学隊員は建物の部屋の遺跡を発見した。部屋の地面には、赤い陶器製のお碗が置かれていた。隊員が開いてみると、中は土で埋め尽くされていたが、ぐるぐる巻かれた麺のような残留物が混じっていた。
「見たところ麺のようだったが、激しく風化しており、セミの羽のような薄い皮しか残っていなかった」と、葉研究員は当時のことを振り返った。
鑑定の結果、この麺は小麦を原料としておらず、粟で作られていることが分かった。残留物見本を分析したところ、少量の油脂や植物のケイ素、および少量の動物の骨の破片も検出された。ある専門家は、「これらはおそらく、麺の材料だろう。肉入り麺の類かもしれない」と推測している。
〇阿斯塔那古墳から出土した餃子
考古学隊員は、以前、阿斯塔那(アスターナ)古墳群で、唐代の餃子を発見した。それらはかなり石灰化しており、色は黒く、石のように硬かったが、外形はほぼ完全な形を留めていた。餃子の皮は、小麦粉を材料として作られており、木椀の中でまるで三日月のように残され、現在の餃子にそっくりだった。
中国社会科学院考古所の趙志軍研究員は、「阿斯塔那古墳群で出土した三日月形の餃子は、中原地区における小麦粉食品の製作特徴に合致しており、当時、各地区の間で文化交流があった証だ。また、ある側面からみると、これは、当時、中原地区の飲食風俗がすでに西域にまで伝わり、西域の人々から歓迎されていたことを立証している」と指摘した。
このほか、考古学隊員が古墳の中で発見した「グルメ」には、骨のスープやナン、陽幹魚、牛肉煮などがある。趙研究員は、「出土した食品から、それらの背後にある人文のストーリーを解読し、それらが秘蔵している文化的な内容を掘り出すことができる」と話す。食品を含む古代遺跡や出土品の研究分析を進めることで、さまざまな角度から当時生きた人々の生産生活のシーンを再現することができる。(編集KM)