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ネットユーザーの想像力の豊かさには本当に驚かされる。最近、支払いは別の人が負担し、その人の代わりに食べたり、飲んだりする「味見代行」サービスが中国のネットに登場し話題になっている。
ネットユーザーの想像力の豊かさには本当に驚かされる。最近、支払いは別の人が負担し、その人の代わりに食べたり、飲んだりする「味見代行」サービスが中国のネットに登場し話題になっている。中国青年報が報じた。
「味見代行」サービスで味見するのは主に火鍋やフライドチキン、ファーストフード、ミルクティーなどカロリーの高い食べ物や飲み物で、依頼者が味見する食べ物や飲み物の料金と一定のサービス料を支払えば、サービス提供者がそれらを代わりに食べたり、飲んだりしてくれるだけでなく、その様子を写真やショート動画で撮影して依頼者に送ってくれるというまさにかゆいところに手が届くサービスだ。
「代わりにミルクティーを飲む」や「代わりにフライドチキンを食べる」が、中国のネットで人気の検索ワードになっており、ネットユーザーからは、「ついに新しいダイエットの方法が見つかった」という声のほか、「お金を使って刺激を求めているだけでは?」という声も寄せられている。
実際にどれほどの人が「味見代行」を利用するのかは未知数であるものの、ネットユーザーの間で議論の的となり、そのサービスに大いにうなずく人々がいることからもその人気ぶりをうかがい知ることができる。次から次へと登場するユニークなサービスは、若者にとっては、一種の体験であり、一種のチャレンジでもあると言えるかもしれない。
「味見代行」サービスが大きな話題となっており、大きな注目を集めている背景には、それに乗じてマーケティングを行おうとする嗅覚の鋭い事業者の存在も考えられるが、とても突飛で斬新なアイデアであるため、若者のツボにはまったというほうが正しいだろう。あるメディアの調査では、「味見代行」サービスの提供者のほとんどが学生で、彼らが楽しんでいるのは、交流の過程や食べたり飲んだりする動画や画像で、食べ物や飲み物そのものではないとしている。
インターネット上のサブカルチャーにおいては、徹夜しながら高級スキンケア商品を使ったり、ウイスキーに高麗人参を入れたりする「パンク式養生」が、90後(1990年代生まれ)の特徴を示した代表的なワードとなっているが、それを考えると、若者の間で「味見代行」がトレンドとなっているのも納得できる。
「味見代行」は、感情を抑えることなく爆発させるための手段のようなもので、食べたり飲んだりという自主的行為と、「代行」という他人の行動を関連付けるという、やや意味不明で、理解に苦しむ一面もあるが、非常に気楽で、芝居がかった效果を生みだしている。
実際の生活において、自分がお金を払って、誰かに代わりに何かを食べたり飲んだりしてもらうということはあり得ない。しかし、ネットでは、「味見代行」に対する歓迎ムードが非常に強く、表面上のジョーク的要素の裏には、多くの人の「どれだけ食べても太らない」ことへの強い心の渇望が見えてくるのではないだろうか。
誰でも、お腹が二つあり、食べ過ぎた分を二つ目のお腹が消化してくれたらどれほどいいだろうと考えるものだ。太ることや体のことを全く気にせずに好きなものを好きなだけ食べたいというのは、現実離れした期待かもしれないが、逆に若者が食習慣や健康をより重視するようになっていることを反映しているとも言える。その心の葛藤は、今の若者の健康に対する観念を反映している。暴飲暴食はやめられないものの、ダイエットや運動は始めても続かず、毎回ついつい食べ過ぎ、口はコントロール不能であるにもかかわらず、細いウェスト、細い足に憧れるという、自分で首を絞めながら、自分で息を続ける方法を考える状態を何度も繰り返し、矛盾の中でさまよい続けているのだ。
フライドチキンやミルクティー、ハンバーガーは健康に悪いことを知っているため、避けなければならないことは十分わかっているものの、美味しさの強烈な誘惑には勝てず、ぐずぐずした状態が続く。「美食」VS「健康」というこの綱引き合戦において、「味見代行」サービスは、「舌」や「欲望」を満足させることはできないもどかしさを和らげて、罪悪感を感じなくてもよいため、メンタルも調整でき、肥満という悩みを解消してくれるほか、満足感も味わえ、一石二鳥、ひいては一石三鳥のグッドアイデアかもしれない。
しかし、若者は楽しければそれで良いため、「味見代行」が長続きするサービスなのかなど、あまり真剣に考える必要はないだろう。(編集KN)