拡大
北京の人気観光スポット・故宮博物院の院長を7年間務めた単霽翔氏が今月8日に退任し、敦煌研究院の院長・王旭東氏が新院長に就任した。
北京の人気観光スポット・故宮博物院の院長を7年間務めた単霽翔氏が今月8日に退任し、敦煌研究院の院長・王旭東氏が新院長に就任した。
単氏が院長を務めた7年間、故宮は文化財修復師の王津氏を始めとする多くの「ネット有名人」を生み出したほか、故宮の文化クリエイティブグッズである口紅や灯会イベント「紫禁城の上元の夜」などが、ネット上で幾度となく話題をさらった。そして故宮の関係者の言葉を借りるならば、単氏自身も故宮で一番人気のある「ネット有名人」となった。
単氏自身は、「僕は故宮の門番みたいなもので、総責任者ではない」と言い続けてきたが、「門番」の職を辞した後、単氏は何をすることになるのだろうか?それについて単氏は以前、「僕は故宮の解説員だ。6年間で2000回以上、計約2000時間解説を行った経験がある」と語ったことがある。
新院長に就任する王旭東氏とは?
単氏退任後、新院長に就任する王旭東氏は、1967年2月に甘粛省山丹県で生まれた。蘭州大学地質学部で水文地質・土木地質学を専門に学び、現在は敦煌研究院の共産党委員会書記、院長、蘭州大学の兼任教授、博士課程指導教授、西北大学の兼任教授、博士課程の指導教授などを兼任している。
王氏は1991年から敦煌研究院で、莫高窟壁画や土遺跡保護に取り組んできた。「敦煌に到着した日の夜、まだ洞窟に入っていないにもかかわらず、莫高窟の静けさに魅了され、『ここに残る』と衝動的に決めた」という。
ここ20年ほどの間、王氏は世界文化遺産である莫高窟に対する保護が、緊急保護から、予防のための保護へと変化する過程を見守ってきた。そして、苦労の伴う取り組みが実り、「デジタル敦煌」が立ち上げられ、多くの一般人がサイトで莫高窟の立体映像を見ることができるようになるまで発展し、敦煌文化の国際協力の分野では、「受動的な参加」から、今では国際学術会議において「主導的発言権」を持つようにまでなることを経験してきた。
敦煌研究院は現在、150の洞窟のデジタル化情報を採集し、「デジタル敦煌」のサイトで無料で30の洞窟の3D立体映像を見ることができる。その画像は高画質で、実際に洞窟に行って、懐中電灯をたよりに見るよりも、ずっとはっきりと見ることができるほどだ。
ここ数年、故宮などの博物館の文化クリエイティブグッズが大人気となっている。王氏は、莫高窟の価値と故宮の価値は異なり、故宮で成功したことを、そのまま敦煌にコピーすることはできないが、その経験は参考になるとの見方を示している。
故宮は今年、元宵節(旧暦1月15日、今年は2月19日)を祝う灯会イベント「紫禁城の上元の夜」を初めて開催し、大きな話題を呼んだ。敦煌も今年、夜間に莫高窟を見学するイベントを実施する計画だ。敦煌研究院は2018年にも、研修旅行団体を対象に、夜間の莫高窟を見学する活動を計画し、好評を博した。今年4月中旬から5月上旬まで、敦煌研究院は、一般の観光客を対象に夜間の莫高窟を見学する一連のイベントを実施する。
その他、敦煌研究院もネットで話題になる一連の取り組みを行ってきた。例えば、騰訊(テンセント)の大ヒットスマホゲーム「王者栄耀」と提携し、敦煌の要素を盛り込んだゲームのキャラクターデザインを作成し、多くの若者が敦煌について知る機会を作った。敦煌のデジタル供養人のH5も微信(WeChat)のモーメンツの話題をさらった。王氏は以前、「文化財に息を吹き込むための基本は保護で、研究がその中心。そして、その目的は伝承、発揚だ。文化財を展示するだけで息を吹き込むことができるわけではない。まず、学者がその深みあるコンテンツを研究し、文化財の背後にある人文の精神、価値観などを掘り起こし、一般の人々が受け入れることができ、今の時代にマッチした文化作品、製品を作り出す必要がある。そして、息が吹き込まれたなら、インターネットなどを活用して、一般の人々のもとに届くようにしなければならない」と語ったことがある。
2020年、故宮博物院は、18年間続いていた古代建築物の補修工事や8年間続いていた平安故宮の建設プロジェクトが完成するという節目の年を迎えることになり、故宮は一層ベストな状態になる。2020年に紫禁城の創建600周年を迎えるものの、単氏は、大型の記念イベントを開催するのではなく、さらに多くのエリアを一般公開し、ベストの状態の故宮を見学してもらい、多くの人がその美しさを堪能できるようにする計画という。今後、故宮博物院が新院長の指導の下、どんなサプライズを提供してくれるのか、人々は期待を高めている。(編集KN)