中国で結婚率下がり離婚率上昇、原因は独立意識か不動産高騰か―中国メディア

人民網日本語版    2019年4月13日(土) 15時30分

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不動産購入制限政策により不動産市場の引き締めが行われている中国の大都市では、不動産購入資格の持つ魅力の大きさは想像をはるかに超えている。写真は上海のマンション。

不動産購入制限政策により不動産市場の引き締めが行われている中国の大都市では、不動産購入資格の持つ魅力の大きさは想像をはるかに超えている。不動産購入資格を手に入れるために離婚するとか、結婚の登記をしないとかは、今の若者にとってそれほど珍しいことではない。また、女性が精神的にも経済的にもますます独立するようになるにつれ、多くの若者にとって結婚は主体的な選択肢の1つになり、必需品ではなくなった。第一財経日報が伝えた。

■非婚と離婚の背景

国家統計局と民政部がまとめたデータによると、2018年中国全土の結婚率は7.2‰で、13年以降の最低を更新した。13年の9.9‰から18年の7.2‰まで、この5年間に全国の結婚率は低下を続けた。18年の全国の結婚登記人数は1010万8000組で、離婚登記人数は380万1000組だった。結婚率が5年続けて低下した一方で、離婚率は15年連続で上昇した。

離婚結婚比率(一定期間内の離婚組数の結婚組数に対する割合)は38%だった。これはつまり、100組のカップルが結婚登記を行うと同時に、38組のカップルが離婚登記を行ったということになる。

離婚は双方の感情のもつれによるとは限らない。結婚前に2人で資金をかき集めて不動産の頭金を支払う夫婦は、結婚する前にすでに離婚の計画をちゃんと進めている。将来一軒目の不動産を購入する資格を保留するために、不動産をあえて夫だけの名義にし、住宅ローンもすべて夫一人の名義にする。その目的は、将来わざと離婚することによって、名目上は不動産もローンもない元妻も一軒目の不動産を購入する資格を持てるようになることだ。

これは個別のケースではない。

■晩婚・非婚がトレンド、若い人はどう考えているのか?

北京盈科(上海)弁護士事務所の趙健(ジャオ・ジエン)弁護士は、「女性の独立意識の高まりが結婚率低下と離婚率上昇の深層レベルの原因だ」と話す。

18年5月の最高人民法院(最高裁に相当)ビッグデータ管理・サービスプラットフォームが発表したビッグデータ専門テーマ報告書によると、全国の裁判所で16年1月1日から17年12月31日までに一審判決が出た離婚の民事裁判のうち、73.40%は女性側が訴えを起こしたものだった。

婚姻存続期間をみると、結婚から2~7年が破綻の確率が最も高い時期だった。離婚の原因は、「感情のもつれにより裁判所に婚姻関係の解除を申請」が77.51%、「家庭内暴力により婚姻関係の解除を申請」が14.86%だった。

不動産価格の高止まりがもたらす圧力を緩和するための政策や購入制限を回避するための政策のほかにも、結婚率低下と離婚率上昇に対処するには、政策面、経済面、心理面などさまざまな側面が考えられる。

趙さんは、「まず、現代の女性は配偶者選択の基準がどんどん高くなっており、外見から性格まで、さらには能力や素養やライフスタイルまで、はては人生観、世界観、価値観の3観まで追い求める。ぴったり合った人を見つけるのは容易なことではなく、1つでも不満があれば結婚式場の鐘を鳴らすことはできない」と話す。

趙さんは続けて、「次に、これまでひたすら結婚を催促してきた両親たちが徐々に理性を取り戻した。不幸な結婚を数々見てきた両親は、当人に合わない結婚がもたらす不幸は結婚しないよりもはるかに大きいことを徐々に理解するようになった。こうして多くの両親が妥協して結婚しない、焦って結婚しないという子供の態度を理解・支持するようになった」と話す。

また、女性が経済的にますます独立し、自分で不動産を賃貸や購入もできるようになり、結婚は経済的負担を軽減するための必然的な選択肢ではなくなった。これまで結婚の大きな目的は次世代を生み育てることだったが、今の政策の流れは結婚しなくとも合法的に子供を生み育てることを支持する方向へと徐々に向かっている。同時に、子供を育てて老後の面倒をみてもらうという考え方も変化し、子供も結婚と同様に必然ではなくなり、主体的な選択肢の1つになった。

離婚率の持続的上昇については、離婚に対して社会がますます寛容になり、我慢するくらいなら離婚した方がマシという考え方が徐々に受け入れられてきたことが背景にある。

■経済が発展するほど結婚率が低下

民政部のデータによると、結婚率には明らかな地域差がみられ、経済が発達した地域ほど結婚率が低下する。

18年には上海市と浙江省の結婚率が全国の省・自治区・直轄市で下位2位を占め、上海は4.4‰で最下位だった。

天津市、広東省、北京市などの発達した地域も結婚率が低かった。一方、結婚率が高かったのはチベット自治区、青海省、安徽省、貴州省などの発達レベルがやや低い地域だった。このうち貴州は18年の結婚率が11.1‰で上海の2.5倍だった。

全国の結婚率が5年連続で低下したとのデータが発表されると、各地の婚姻コストに関する議論が巻き起こった。

南開大学の人口学を専門とする李建民(リー・ジエンミン)教授は、「結婚率低下と婚姻コストの増大は密接に関連している。特に大都市の不動産価格の高止まりにより、結婚は社会問題であるとともに、経済問題にもなっている。家を買い子供を産み育てるための生活コストの上昇を受けて、若い人々は気軽に結婚に踏み出せなくなった」との見方を示す。

生活コストだけでなく、正規の教育を受ける時間が長くなったことも結婚年齢を引き上げ、目下の結婚率を引き下げた要因の1つといえる。

特に経済が発達した地域では、高学歴の人材が数多く集中している。一般的にいって、切れ目なく修士課程を終えると卒業時には25~26歳になっており、そうすると30歳前後や30歳以上で結婚しても何ら不思議はない。

浙江省婚姻家庭協会の謝需(シエ・シュー)常務副会長は、「結婚したくない、結婚する力がないのは、確かに結婚率の持続的低下の原因だが、結婚者数の減少の主要因は、適齢期の人口減少だ」と指摘する。

上海金融・法律研究院の劉遠挙(リウ・ユエンジュー)研究員は、「若年人口が減少しているので、結婚率が下がるのは当たり前だ。人口構造の変化と高齢化の進行にともない、結婚適齢期の人口の割合が相対的に低下しており、これから結婚率はさらに下がるだろう」と予想する。

しかし結婚率と離婚率の地域差は経済という単一の変数だけでは考えられず、社会、家族構成、民族文化、司法コントロール、人口構造などさまざまな要因を考え合わせる必要がある。

中国社会科学院社会発展戦略研究院の葛道順(ガー・ダオシュン)研究員は、「結婚率の低下と離婚率の上昇は世界の流れにマッチしている」という。経済協力開発機構(OECD)のまとめた報告にも、「ほぼすべてのOECD関係国で結婚率は過去数十年間に低下した」とある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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