人民網日本語版 2019年4月9日(火) 19時30分
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北京故宮博物院の院長を7年間務めた単霽翔氏が今月8日に退任し、敦煌研究院の前院長・王旭東氏が新院長に就任した。
単氏が故宮博物院の第6代院長を務めた7年間、故宮は文化財修復師の王津氏など多くのネット上の人気者を生み出したほか、故宮の文化クリエイティブグッズである口紅やカルチャーイベント「紫禁城の上元の夜」などが、ネットで幾度となく話題をさらった。このような大きい舵とりをしてきたのが単氏だ。
院長就任後、単氏は故宮にある建築物1200棟、9371部屋に足を運んだ。全ての部屋に足を運んだのは、故宮の歴史においても単氏が初めて。そして、「故宮はこれほどスケールが大きいのにその70%が一般公開されていない」や「所蔵品がとても多いのに99%は一般公開されていない」、「膨大な数の観光客が訪れるのに、ほとんどの人が正門から裏門までわき目もふらず歩くだけ。それでは、本当の意味での博物館ではない」など多くの課題に気づいたという。
そしてこうした問題を一つずつ解決していった。例えば、故宮で一般公開されているエリアの面積は2012年の30%から今では80%にまで拡大し、以前ならオンシーズンなら入場券を購入するために1時間から2時間並ばなければならなかったのも、今ではオンライン予約できるようになった。また、火災の発生の原因になりかねないような仮設建築物は全て取り除かれたほか、コールドライトによる「紫禁城」のライトアップを採用した。その他、オンシーズンとオフシーズンの来場者数の差を縮め、オフシーズンにも多くの観光客が訪れ、オンシーズンでも来場者が秩序良く見学できるよう取り組み、清の宮廷所蔵の書画著録「石渠宝笈特別展示」や春節(旧正月、今年は2月5日)を祝うイベント「紫禁城で春節を過ごす」などのイベントを開催してきた。また故宮北院区の建設も始まっている。
この7年間、単氏は、「一般公開」と「尊厳」という2つの言葉を最もよく口にしてきた。
「初めて倉庫に行った時、びっくりした。『あそこに横たわっているのは何か?』と聞くと、『兵馬俑』という答えが返ってきた。とても貴重な文化財がなぜこの有り様なのかと言った。その後、保護と修復を行って、陳列した。このことから、保護されていない状態では、文化財に尊厳を与えることはできないことが分かる。文化財というのは着飾る必要はなく、保護して日の目を浴びるようにすれば、美しく輝くものだ」と単氏。
院長に就任したばかりの頃、単氏は木の下にだらしなく座っている観光客をよく見かけた。見た目が悪いだけでなく、座り心地も悪いため、「新型の椅子を研究開発した。1脚3500元(約5万8000円)と、ちょっと高かったが、来場者1万1000人が、尊厳ある形で故宮博物院内の各所に座って休憩できるようになっている」という。
「一般公開」の面では、単氏はよくデータを使って説明を行ってきた。例えば、186万2690点(セット)の文化財のうち国家トップレベルの貴重文化財は93.2%に達し、2018年の来場者は延べ1754万人、故宮博物院の公式サイトのアクセス数は延べ8億9100回、故宮文化財病院には科学研究実験室を23室設置し、ドキュメンタリー「故宮で文化財を修復する私」のコミュニティサイト・豆瓣における評価は9.4ポイント、一昨年の画像「紫禁城の初雪」の微博(ウェイボー)におけるクリック数は1425万回など、これらのデータを、単氏はスラスラとあげて見せた。
単氏は、「以前は展示する文化財が少ないほど安全で、文化財は倉庫にしまっておいたほうが安全と考えられていた。しかし、皆で共に保護し、監督して初めて安全な状態になる」と、一般公開したほうが、安全という見方を示す。
故宮に関する講演の中で、単氏は、「延禧宮にある西洋建築物『霊沼軒』は、北京で最も古いストップしたままの建物だ」や「石渠宝笈特展」開催中、長蛇の列を作っていた来場者全てが展示品を見ることができるようにと、夜間にインスタントラーメンを配り、「世界で初めてインスタントラーメンを配った博物館になった」と発言するなど、「名言」をいくつも生み出してきた。「まるで単流の落語のようだ」とコメントを寄せる人もいるほど。また、単氏はよく、「自分はネットに人気者に『させられた』」ともしばしば言っていた。
単氏は最近、取材に対して、「退任後は故宮のボランティアになりたい。その時は面接官にはお手柔らかにしてもらいたい」とユーモアを混ぜて話した。2020年には紫禁城が創建600周年を迎える。その時、単氏のような遊び心あるボランティアが、「名言」を生み出してくれることを多くの人が期待している。(編集KN)
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