中国で昔懐かしのご当地炭酸飲料が再ブレーク 「レトロ経済」で復活なるか

人民網日本語版    2019年4月8日(月) 22時0分

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あるネットユーザーが最近発表した「中国の炭酸飲料マップ」が話題となり、多くの人が故郷の炭酸飲料の思い出を振り返っている。

あるネットユーザーが最近発表した「中国の炭酸飲料マップ」が話題となり、多くの人が故郷の炭酸飲料の思い出を振り返っている。北京の北氷洋、天津の山海関、西安の氷峰、瀋陽の八王寺、武漢の二廠、青島の■山可楽(■は山へんに労)、仏山の珍珍▲枝汽水(▲はくさかんむりに力が三つ)など、中国にはどの都市にも、懐かしの「ご当地炭酸飲料」というものがあるようだ。人民網が伝えた。

現在、ドリンクコーナーに並んでいるバラエティーに富むオシャレな飲料品と比べると、炭酸飲料は、酎ハイやココアミルク、麦芽飲料などとほぼ同じくやや時代がかった商品というイメージだ。しかし、「昔からある」と言っても、お茶やコーヒーのような奥深さも、それぞれの文明において時間がたつほどに新鮮に感じられるような要素もない。また、「おいしい」と言っても、炭酸が口の中ではじける感覚だけで味も単調なため、それほど多くの人に好まれているというわけでもない。それでも、不思議なことに、懐かしの炭酸飲料がしばらく生産停止になった後に、突然復活して反撃を繰り出し、市場で次々と存在感を示すようになっている。なかには、発売と同時に売り切れたり、ネット上で話題をさらったりする商品もあるほどだ。

炭酸飲料が市場に復活するための秘訣は、人々に「懐かしい味」と感じてもらうことだ。炭酸飲料というと、まずデポジットが必要なガラス瓶のことを思い出す人が多いかもしれない。手狭な売店の冷蔵庫の上には保冷効果を保つため、ぶ厚い布団がかけられ、夏になると、子供たちが小遣いを手に売店にやって来て、わざと炭酸飲料を一気飲みして、大きなゲップをしたものだ。このように炭酸飲料は多くの人の成長を見守り、そこには多くの人の思い出が詰まっている。たとえ一時期市場から姿を消してしまっても、その「思い出」が復活の道を切り拓いてくれる。つまり炭酸飲料を買うというよりは、青春時代や子供の頃の思い出に浸っているというほうが正しいだろう。ファッション界では、いつの時代も「アンティーク」がトレンドとなるのは、それが「思い出」の商品だからで、古き良き時代を思い出してそれを買う人が必ずいるからだ。炭酸飲料、風船ガム、干脆面(日本のベビースターラーメンのような駄菓子)、さらに昔ながらの運動靴、ひと昔前のデザインのシーツなどが再ブレークしているのは、「レトロ経済」の底力を示していると言えよう。

思い出の炭酸飲料にとって、「そうだまさにこの味!」というのが最高の誉め言葉であり、それはまるで思い出をそのまま「瓶」の中に詰めたかのようだ。しかし、時代は移り変わっており、必ずしも「懐かしい味」イコール「おいしい」というわけではない。では、時々ふと買ってみたくなる「懐かしの商品」が、人々の生活に欠かせない商品となるにはどうすればよいのだろう?多くの人にとって「懐かしの味」でも、それを飲んだことがない今の時代の若者がそれを受け入れることはできるのだろうか?これが、「懐かしの商品」の前に立ちはだかる課題だ。実際、炭酸飲料「北氷洋汽水」の新たな生産ラインでは人工甘味料や合成色素は使われなくなった。また■山可楽にも11種類の生薬が追加されるようになっている。このように多くのメーカーは懐かしの味とのど越しを再現すると同時に、改良も加え、味を最適化する道を歩んでいる。「懐かしの商品」は「思い出」を売りに復活してはいるが、やはり根本となるのはその品質だからだ。

懐かしの炭酸飲料のメーカーの発展史は、手作業の小さな作業場から大量生産の生産ラインへと飛躍的な発展を遂げたものの、改革開放(1978年)初期に、ぺプシコーラやコカ・コーラといった海外ブランドが中国に上陸し、大打撃を受けて、倒産・リストラ、外資による買収を経験し、徐々に姿を消した中国ブランドの盛衰史でもある。それらブランドが再び市場に姿を現したと言っても、時代は既に変わってしまっている。経営戦略において、当時の二の舞を踏むことのないよう注意しながら、新興ブランドの逆風にもさらされているそれらメーカーは客観的に見ても新しい道を切り拓くしかない。今の若者は目新しいものを好むため、新製品を開発したり、パッケージをリニューアルしたりしているメーカーもある。また、市場の熾烈な競争に直面し、小さな売店やレストランを設置したり、ECプラットフォームを活用したりするメーカーもある。同じような商品がたくさんあるという課題に対しては、ヘルシーさを売りにしたり、都市の文化や生活習慣と結びつけたりするメーカーもある。北京で羊のしゃぶしゃぶを食べる場合、ゴマダレにヨーグルトという組み合わせよりは「北氷洋」をといった具合にだ。そして、管理から販売、製品のイノベーション、ブランド構築、チェーン形成などが、懐かしの商品が復活し生き残るための唯一の道となる。

ではどうすれば「復活に成功」できるのだろう?ご当地炭酸飲料が、他の都市にも進出して人気を集めることができるようにならなければならないという人もいれば、ご当地炭酸飲料のままでなければ、その商品の魅力がなくなってしまうという人もいる。また、懐かしの商品は、老若男女問わず人気を集めることができるようにならなければならないという人もいれば、全ての人をターゲットにするのは難しいため、一定の年齢層に的を絞って、「思い出」を売りにして売れば、今の時代の飲料品とは差別化して競争することができるという人もいる。どの声が正しく、間違っているのか、簡単に判断することはできない。しかし、古い瓶に古い酒を入れて売っても、生き残ることができないのは確かだ。その新たなチャレンジで市場という土地を深く耕すことができるのか、それとも一発屋の芸人のように、ただの「時の人」で終わってしまうのか、どちらに転んでも不思議ではないため、今後の成り行きを見守るしかないだろう。(編集KN)

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