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秦の始皇帝の兵馬俑が発見されてから今年で45周年、また秦始皇帝陵博物院の創立40周年に際し、このほど同博物院の侯寧彬院長が「兵馬俑ブーム」について語った。
秦の始皇帝の兵馬俑が発見されてから今年で45周年、また秦始皇帝陵博物院の創立40周年に際し、このほど同博物院の侯寧彬院長が「兵馬俑ブーム」について語った。中国新聞網が伝えた。
近年、兵馬俑はすでに50カ国以上を「旅して」おり、100都市以上で展示されている。侯院長によると、兵馬俑を国外で展示する場合、通常2~3年前までに予約する必要があり、現時点で2021年までの展示スケジュールは全て埋まっているという。
それだけでなく、兵馬俑は現在も高い人気を誇っており、様々なビジネスの要素として利用されている。自分の顔をスキャンしてオリジナルの「兵馬俑」を作成してスクリーンに映し出すサービスや、兵馬俑をテーマにした民宿に泊まり、秦の始皇帝の気分を体験したり、兵馬俑の形をしたチョコレートを味わったりなどなどそのユニークなアイデアは尽きない。
西安のあるホテルロビーのショーケースに並べられている「兵馬俑チョコレート」(資料写真)。
兵馬俑のこうした「変身」は、アイデアに溢れ、目新しく、自虐的な面もあって面白いと評価する人もいるが、一方で厳粛な陵墓の文化を「エンタメ化」することは、伝統文化を軽んじていると批判する人もいる。
秦の始皇帝の兵馬俑とその文化財は全て陵墓文化に属する要素となっている。侯院長は同博物館のクリエイティブグッズのボトルネックについて、「陵墓文化の要素を備えたものを自宅や職場などに飾ることを忌避する人もいる」としている。
そして兵馬俑をテーマにした民宿について侯院長は、「私はとても嫌悪感を抱いた」と自身の意見をはっきりさせた上で、「兵馬俑を客室に飾り、宿泊客にどのように体験しろというのだろうか?これは中国人の伝統的な観念に反すると思う。そのため私はこのようなクリエイティブグッズの開発を進めようとは思わない」とした。
侯院長は、文化を生活の中に取り入れてこそ、真の意味でその文化が命を得るのだと思うとし、「クリエイティブグッズはやはり普通の生活と結びつけてこそ、その生命力を発揮し、本当の意味で家に持ち帰り、体験することができると思う」と指摘した。
そして、「完全な陶俑や副葬品を生活に関わる製品として作りだすべきではない」とし、その例として、「例えば博物館としては秦代のいくつか模様や装飾などを生活用品の中に取り入れるといったことを望んでおり、陵墓文化から距離を置いて、まったく新しい製品を創り上げてこそ、違和感が生じることを回避することができると思う」とした。(編集TG)