金融緩和で日本円が苦境から脱するのは難しい―中国メディア

Record China    2013年3月5日(火) 6時20分

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4日、中国メディアは金融緩和で日本円が苦境から脱するのは難しいと指摘した。資料写真。

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2013年3月4日、日本銀行(中央銀行)の次期総裁人事案で候補に挙がったアジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は、今月中旬にも日銀総裁に就任する見込みだ。黒田氏は安倍晋三首相の打ち出す金融緩和政策を強く推しており、就任後は無制限の資産買い入れを承諾し、2%のインフレ目標を達成するとみられる。こうしたことから、外界は日本政府の今回の人事を、脱デフレの戦いが次の段階に進むシグナルと理解する。人民日報が伝えた。

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今回の人事案の情報が伝わると、日本国債の基準金利は約11カ月ぶりの低い水準となり、5年満期国債の金利も過去最低を更新した。ここから日本政府が今後さらに緩和された金融政策を採ることへの市場の期待がうかがえる。安倍首相はかねてより、日本経済の長期的な低迷の主因は日銀が慎重過ぎる金融政策を採ってきたことにあるとの見方を示しており、首相に再び就任すると日銀に圧力をかけ、インフレ目標をそれまでの1%から2%に引き上げると同時に、無制限の資産買い入れ計画を打ち出し、消費と投資を促進し、日本経済の底上げを図ろうとした。短期的にみれば、こうした政策はある程度は期待通りの成果を上げており、今年に入ってから円の対ドルレートは7.7%値下がりし、日経平均株価は12%上昇した。

これまでに明らかになった情報によると、日銀の2人の副総裁の候補も、黒田氏と同じく金融緩和政策の支持者だ。よって日銀は新たなトップの就任により、米国や欧州の中央銀行の後を追って、経済に新たな大量の流動性を注入し、金融機関が企業や消費者への貸し出しを一層増やすよう促進して、日本経済の復興を図ろうとするとみられる。

2008年に国際金融危機が発生すると、米国と欧州連合(EU)はさまざまな量的緩和政策を採ったが、日本の取り組みはそれほど大々的なものではなかった。あるデータによると、過去5年間に、米連邦準備制度理事会(FRB)は基軸通貨の投入量を230%増やし、欧州中央銀行は85%増やしたが、日本は50%だった。円相場は短期的に高騰したが、金融危機発生前の水準には戻っていない。日本国内では、金融証券市場の指数が上昇したため、安倍首相の支持率が2カ月連続で上昇している。

だが安倍首相が推進する金融緩和政策の継続的な有効性について、経済界から疑問の声が多く挙がっている。

第一の疑問は、金融緩和の余地がどれくらいあるかというものだ。円の金利は長期間ゼロに近い水準にあり、10年満期国債の金利は0.71%まで下がっている。このため日銀が国債の購入を拡大して長期金利を低く抑え、貸出・投資を促進する政策を採っても、その効果は非常に限定的であることを意味している。

第二の疑問は、日本が金融緩和によってデフレの影から脱出できるかどうかというものだ。日本は長期にわたりデフレの状態にあり、消費者は物価の低下に対しては心の準備ができている。日本メディアの取材によると、最近は証券市場の取引に参入する人が多いが、スーパーマーケットでは値下げの対象となる商品の範囲がさらに広がっている。安倍首相は企業に賃金上昇を呼びかけるが、企業側はこれに抵抗する。収入が伸びなければ、消費が活性化することはない。公共支出の拡大は「アベノミクス」の柱の一つだが、インフラが行き渡り、飽和状態にさえある先進国にとって、公共予算をどこで利用するかも難しい問題である。

このほか金融緩和と財政再建の間の矛盾、労働人口の減少といった構造的な問題も、日本経済の発展を長期的に制約するとみられる。こうした矛盾を直接解決する方法は短期的には見いだせないとみられるが、安倍首相が構造改革への決意を固めなければ、その推進する金融緩和政策が経済に及ぼす影響は限定的なものにならざるを得ないだろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/TF)

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