わがJH-7戦闘爆撃機はなぜ事故を繰り返すのか、主翼設計に問題か―中国メディア

Record China    2019年4月1日(月) 9時20分

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中国メディアの新浪網は自国のJH-7戦闘爆撃機(写真)は事故を多く起こしてきたとして、「あるいは主翼の設計に関係しているのか」と題する記事を発表した。

中国メディアの新浪網は2019年3月30日付で、「中国の飛豹戦闘機はなぜ何度も事故を起こすのか。あるいは主翼の設計に関係しているのか」と題する記事を発表した。飛豹戦闘機は中国のJH-7(殲轟-7)戦闘爆撃機の愛称。

JH-7は1992年に中国空海軍が運用を始めた機体だ。戦闘機の「世代分類」については、米国のF-15やF-16が第4世代、その後に登場したF-22やF-35、中国のJ-20が第5世代に分類されるのに対し、JH-7はさらに古い第3世代タイプに属する。ただし中国軍は現在もJH-7を運用している。

記事は冒頭部分で、JH-7の最大の「武器」は、大型化と、大型化によりもたらされた航続距離と紹介。JH-7の機体重量は初期型が28.5トン、その後に登場したJH-7Aは30トンで、搭載できる燃料は機体内部に7トン、1400リットル入り増槽を3基取り付けることにより燃料搭載量は10トンに達し、3650キロメートルという開発当時としては他に類を見ない長大な航続距離を実現した。

JH-7Aの搭載兵器重量は最大で7トンだ。中国のJ-10の場合には理論上は6.6トンまでの搭載が可能だが、兵器搭載量を増やすと航続距離が大幅に縮まり、台湾海峡を越えての活動もできなくなるという。ロシアのSu-30は8トンの搭載が可能とされるが、記事は、Su-30の場合には兵器を吊り下げる装置に重量を取られるなどで、実際にはそれほど多くの兵器は使えないという。

記事は、JH-7の基本性能を高く評価した上で、JH-7は「戦闘爆撃機」に分類されているが、空戦性能は極めて限られている上に、容易に失速・きりもみ状態になると指摘した。記事によると、演習など公開の場だけでJH-7はこれまで2度、失速して墜落している。

記事は、航空機(固定翼機)の失速の典型的な原因について、主翼の仰角(前方から到来する気流に対して上向きになる角度)が大きくなることにより、気流が主翼から引き上がれて揚力を保てなくなると紹介。さらに、高速で飛行する三角翼機や後退翼機の場合、失速が発生する仰角は主翼の後退角と関係があると説明した。

JH-7の主翼前縁部の後退角は47.5度で、フランスのミラージュ2000の58度、スウェーデンのサーブ39の最大55度、英独など共同開発のユーロファイター・タイフーンの53度、フランスのラファールの48度、中国・パキスタンが共同開発したFC-1の42度、ロシアのSu-27の42度、米国のF-16の40度、F/A-18の35度などと比較して、JH-7の主翼後退角は平均よりやや大きいが、特別に大きくはないと論じた。

しかし、記事によるとJH-7以外の航空機の多くは、ストレーキと呼ばれる主翼付け根の前縁部を前方に延長した構造を備えており、仰角が大きい場合にもこのストレーキが失速を防ぐために有効に機能していると指摘。しかしJH-7は、ストレーキに似た形状の部分はあるが、空力性能のためでなく、主翼と胴体の接合強度を確保するために設けられたものという。

記事は、新しい世代の戦闘機は操縦システムのデジタル化でパイロットへの負担を軽減しているが、JH-7はそれ以前の期待と指摘した。

記事はさらに、JH-7と米国のF-15を比較。F-15の主翼後退角は45度でJH-7とほぼ同じ。また、操縦システムのデジタル化が完全でないことでもJH-7に近い。しかし、F-15は主翼の前縁半径がJH-7よりも大きい。主翼の前縁半径が大きい方が、失速は発生しにくいという。

記事は、失速が起こる状況について、複雑な飛行状況においては機首部分の気流が非対称になったり、翼端の失速などで錐もみが発生すると紹介。さらに、航空機が横向きの安定さを失えば、機体側面の気流が左右の主翼から非対称に分離して容易に錐もみ状態になると解説した。(翻訳・編集/如月隼人

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