日中韓FTA交渉、今後予想される問題とは?―中国メディア

Record China    2013年3月1日(金) 6時20分

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27日、日中韓の自由貿易協定は、地域経済の範疇のみならず世界貿易の活性化および世界経済のバランス化に対して影響力を及ぼすだろう。資料写真。

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2013年2月27日、10年にわたり実現に向け努力を続けてきた日中韓の自由貿易協定(FTA)が、ついに実質的な一歩を踏み出した。日中韓3カ国がこのほど東京で開いたFTA交渉事前協議では、3カ国が今年3、4月に韓国で初の正式交渉を行うという日程表が発表された。アジアのGDPの70%、世界のGDPの20%を占める3カ国にとって、自由貿易区の構築により生み出される経済価値は地域経済の範疇のみならず、世界貿易の活性化および世界経済のバランス化に対して影響力を及ぼすだろう。国際商報が伝えた。

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◆提携強化の意義

経済のグローバル化を受け、世界範囲で地域経済の一体化の足並みが加速している。WTOの140数カ国のうち、約90%が地域的な経済組織に加入している。これと比べ、アジアは流れに乗り遅れている。アジアにはASEANがあるだけで、その他の国は分散化している。特に北東アジア地域において、日中韓はそれぞれASEAN10カ国とFTAを締結し、各自の「10+1」の局面を形成した。韓国はまた、米国やEUとFTAを締結したが、北東アジアのFTAは誕生が遅れている。日中韓はそれぞれ長期的に、未統一の自国の閉鎖的な体系内を漂っており、産業と貿易の相互補完が著しく抑制・阻害されている。

世界貿易の発展環境は日中韓に対して、自由貿易区構築の必要性を感じさせている。金融危機や欧州債務危機もまた、3カ国のFTA構築に向けた意見の一致を促している。世界を見ると、3カ国はGDP・貿易総額で世界経済の重要な一極となっているが、3カ国の輸出市場はアジア以外の経済国(特に欧米市場)に著しく依存している。3カ国の経済は欧米に左右されやすく、自国経済の不安定化をも招く。金融危機・欧州債務危機による欧米市場の低迷が引き起こしたアジア各国の経済変動を受け、3カ国は地域内の経済・貿易提携の必要性を強く意識した。

3カ国の共同研究の結果によると、日中韓自由貿易区を構築した場合、中国のGDP成長率は1.1〜2.9%、日本は0.1〜0.5%、韓国は2.5〜3.1%上昇する見通しだ。

◆交渉の障害

日中韓の自由貿易は特別な地位と役割を持つため、その効果が自国経済・貿易の改善のみにとどまることはない。日中韓自由貿易区の経済力・市場規模によるけん引を受け、アジアの経済一体化(特に東アジア共同体の実現)が強く促される。また、自由貿易区により地域内の商品の流動性が高まり、中国のより多くの衣料品・紡績品などの商品が日韓市場に流れ、日韓の家電などの大量の工業品が中国に流れこむことになる。これにより中国・日本の対米貿易黒字を縮小し、世界貿易のバランス化に貢献することが可能だ。

しかし現状を見る限り、3カ国の今後の交渉は長く苦しい過程が予想される。異なる経済発展水準は、日中韓自由貿易区の推進の大きな障害になる可能性がある。中国は新興市場国、日本は先進国、韓国は新興工業国である。発展水準の差に大きな開きがある国家間で自由貿易を行った場合、関連国の産業に大きな影響が生じ、国家間の懸念・警戒が引き起こされる。中国製造業の日本ハイテク製造業に対する懸念、韓国の中国ローエンド製造業に対する警戒、韓国の日本の電子製品・機械などの工業品に対する感情的な反発、日韓の中国農産物に対する危惧などが予想される。また、経済構造に大きな差があることで、3カ国は自由貿易区の構築のため経済構造を大幅に調整しなければならず、各社会集団の利益に与える影響も大きく、それにより生まれる社会の圧力・抵抗も深刻だ。例えば日韓の農業・農家は長期的に政府の保護下に置かれており、多くの外国製農産物が市場から排除されている。3カ国が農業問題で意見を一致させられなければ、自由貿易区構築の最大の障害となるだろう。

経済面の障害の他に、地政学的な要素も目に見えない形により、交渉の進捗を妨げている。まず3カ国の政治的な信頼関係が脆弱であり、提携交渉の際に回りくどい手段を取る可能性がある。このような局面は第二次世界大戦後から現在まで続いており、これを容易に変えることは困難だ。次に日本は尖閣諸島問題で中国と争いを続けており、日韓の間でも竹島の領有権に関する対立があり、韓国と中国の間でも黄海の漁業を巡る係争が生じている。3カ国の領土問題は、FTA交渉を決裂させる要素となっている。中国の経済力の強化に伴い、日韓の中国に対する心理にも変化が生じているが、これは特筆すべきことだ。日韓は中国の成長から利益を得ようとする一方で、中国の実力強化により自国の脅威となることを懸念している。このような複雑な心理は、交渉に多くの不確定要素をもたらすだろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/内山

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