【CRI時評】英国の脱EU、餅をひっくり返しながら焼き続ける政治ゲーム

CRI online    2019年3月21日(木) 22時25分

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 英国政府は20日、EUに対して正式に、英国のEU離脱を6月30日に延期するよう要請した。テリーザ・メイ首相は、英国首相としてEU離脱を再延期することはありえないと述べる一方で、自国議会に対してEU離脱の合意について再び採決するよう求めた。しかし、現状から言って、メイ首相がEU離...

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 英国政府は20日、EUに対して正式に、英国のEU離脱を6月30日に延期するよう要請した。テリーザ・メイ首相は、英国首相としてEU離脱を再延期することはありえないと述べる一方で、自国議会に対してEU離脱の合意について再び採決するよう求めた。しかし、現状から言って、メイ首相がEU離脱の合意をいかなるバージョンに変更したとしても、英国議会が認める可能性は大きくない。

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 EU離脱という重要な案件が、英国ではなぜ「持久戦」になってしまったのか。表面的には、英国社会のそれぞれのグループによって、EU離脱により利益を得られるかどうかの受け止め方が異なり、妥協が成立しないからとの見方もできる。しかし、問題の根源には、英国の政治的体制の深層が横たわっている。

 西洋文明は過去100年間あまりにわたり、人類としての創造力を十分に発揮してきた。「米英民主体制」は多くの西側政治学者の推奨の対象になった。しかし、新技術革命とグローバル化の波により、多くの発展途上国が「新興市場国」となり、西側国家の競争力は相対的に減衰しはじめた。西側国家の従来型の方法である、国際経済における独占的立場を利用して超過利潤を獲得してから本国に二次的分配をして社会矛盾を緩和するというやり方には、徐々に問題が出てきた。その結果、西側国家は再び、国内の深刻な分裂に直面するようになった。

 EU離脱はもともと、英国保守党内の一部の人の意見に過ぎなかった。しかし、キャメロン前首相が反対派の口をふさぐために、民意を最もよく反映するかに見える「国民投票」という手段に訴えた結果、箱を開ければ英国大衆に向けて「焦燥感を売り出す」チャンスを脱EU派に与えたことになり、「脱EU」について収拾がつかない事態を招いてしまった。しかし、たとえそれがEUとの合意なしの「ハードブレグジット」にしろ、合意にもとづく「ソフトブレグジット」にしろ、政治的な観点からすれば、「英国は絶対にEUを離脱せねばならない。さもなければ、国民投票の結果と実際の政治に矛盾をもたらすからだ」という論法は、現行の政治ルールは実際にはひとつのトリックであり、真の民意を示すことは根本的にできないことを説明するものでしかない。

 このような状況は目下のところ、西側で一種の潮流になりつつある。米国の大統領選挙で見られたポリティカル・コレクトネス(性別・人種・民族・宗教などに関連する差別や偏見を防ぐための公正・中立さ)への反発も、フランスの街頭に出現した「イエロー・ベスト」も、いずれも西側社会でますます多くの民衆が、現在の政治制度はエリートが作ったもので自分たちを愚弄するものであり、自分たちの投票が実際には「盗まれている」に等しいと考えるようになったことを示している。だから、民衆の選択は必然的に、「もう、おつきあいはしない」ということになり、別の新たな規則を探すということになる。

 英国労働党は現在、国民投票をやり直してEU離脱の決定を覆そうとしている。これは本質的に、現行の政治ルールの一種の否定だ。国民投票の結果が出て、それに不満な人がやり直しを要求できる。とすれば、その結果が前回と逆ならば、新たな結果に不満な人が、さらにもう一度、やり直しを要求できるのか。いつまでも同じことを繰り返すのか。ちょうど、餅を焼くのと同じだ。何度も何度もひっくり返すとしても、いつまでも網の上で焼いていたのでは、しまいには餅が炭になってしまう。メイ首相が脱EUの最終期限の主張を堅持しているのは実際のところ、このことをはっきりと認識しているからだ。(CRI論説員 盛玉紅)

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