注目集める「罵倒グループ」に「称賛グループ」 生まれては消えるネット上の「カーニバル」

人民網日本語版    
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最近、どんな発言に対しても、称賛のコメントを寄せる「称賛グループ」というのがネットで話題となっている。

最近、どんな発言に対しても、称賛のコメントを寄せる「称賛グループ」というのがネットで話題となっている。なかにはこの「称賛」は「ビジネスチャンス」になるとみなす人もおり、オンラインショッピングプラットフォームで、称賛する人数に応じて料金が加算される「称賛グループ」サービスまで登場している。料金を支払ってグループに入るだけで、数人から数十人がいささか狂気じみた無差別攻撃的な称賛の嵐を巻き起こす。どんな発言をしようと、ありとあらゆる褒め言葉でひたすら褒めたたえてくれる。しかし3分間の称賛タイムが終了すると、たちまちその「称賛グループ」から強制退会させられてしまう。新華網が伝えた。

実際は、2013年にすでにコミュニティサイト・豆瓣には「褒め合い称え合うチーム」が登場していた。また、昨年6月には、ネット上で、「罵倒グループ」のブームもみられた。「罵倒グループ」のスタイルは「称賛グループ」と大差なく、単に「罵倒し合う」のが「褒めたたえる」内容に変わっただけだ。

〇「称賛グループ」と「罵倒グループ」、結局は「同じ穴の狢」

「称賛グループ」は、当初は極めてマイナーな現象だった。その存在がネットで注目を集めたのは、あるネットユーザーのツッコミがきっかけだった。

国際女性デーだった3月8日、ある男性が恋人を100人以上から構成される「称賛グループ」に加入させ、称賛グループは3分間にわたって、彼女に称賛の嵐を浴びせ続けたのだという。

ネットユーザーたちは、すぐさまこの「称賛グループ」に存在する面白さに注目することとなり、ネット通販プラットフォームでも「称賛サービス」を打ち出すショップが登場し、自分で「称賛グループ」を立ち上げ、互いに褒め合うネットユーザーも数多く出現。こうして「称賛グループ」はネットで繰り広げられる典型的な現象の1つとなっていった。

筆者の考えではこうした「称賛グループ」現象は、本質的に他者を褒めることを目的としているのではなく、一種の感情のはけ口に過ぎない。ただこれまでは、互いに罵倒し合うことを自分の感情のはけ口としていたのが、新たな表現方法やスタイルに変わっただけで、実は「称賛」も「罵倒」も、「同じ穴の狢」と言える。

テンポの速い現代の生活で、すべての大人は常にストレスにさらされ続けている。そのストレスとは人によっては学業であったり、日常生活や仕事であったりする。そしてマナーや秩序という制約のもと、ストレスやそこから生じるマイナス感情は、全て心の中に隠された状態となっている。

幸いなことに、インターネットがある。インターネットの本質的特徴は、匿名性にある。見知らぬ繋がりの希薄な空間において、人は誰でも、重たい仮面や偽装を取り去って、徹底的に感情を解放することができる。「罵倒グループ」は、その最も典型的なものと言える。他者を罵倒するプロセスで、人々が発する下品な言葉や言い回しの一言一言は見知らぬ人に聞かせるというよりも、実は現実の生活において避けることのできない人や物事に対して言っているのだ。

「称賛グループ」は、「罵倒グループ」の変化形に過ぎず、わずか数分間の狂気じみた無差別攻撃のような称賛を受けることで、マイナス感情を少しの間だけでも吹き飛ばすことができるのだ。

道徳という大義名分を振りかざして、「罵倒グループ」や「称賛グループ」はインターネットの言語環境を汚染すると断じる人もいるが、実際には、こうした行為を大げさにとらえる必要は全くないのではないだろうか。彼らはただ単に感情のはけ口にしているだけに過ぎず、物事の解決には何の役にも立たないかもしれないが、少なくともそのマイナス感情は緩和されるはずだ。また、「罵倒グループ」や「称賛グループ」のメンバーは、少なくとも自ら進んでそのメンバーとなっているのであり、あらゆる発言はグループ内に限定され、それが逸脱することはない。彼らは、ネットのいたる所で不満を鳴らし、危害を及ぼす「杠精(揚げ足取り)」に比べればはるかにマナーがあると言ってもいいほどだ。

〇ネット上で生まれては消える「カーニバル」

急成長しているネット時代において、「90後(1990年代生まれ)」、「00後(2000年代生まれ)」、「10後(2010年代生まれ)」などの世代は、「ネット原住民」と呼ばれている。ネット原住民の風貌は、ネット・サブカルチャー現象の特徴も決定づけている。

まず、彼らは、ある種の「カーニバル」的性格を呈している。哲学者ミハイル・バフチンの「カーニバル理論」によると、カーニバルが来ると、人々は厳格な身分秩序を打破し、あらゆる人が自由気ままに無礼講で人と交流し、心の赴くままに自分を装い、やりたい放題に歌い踊り、自由自在に喋り、笑う。

「罵倒グループ」であろうと「称賛グループ」であろうと、だれもが平等であり、全てを嘲笑し、全てをからかう。新鮮で面白く相互作用性が強いため、若者は喜んでその中に身を置き、簡単にあらゆるネットワークの注目対象となる。

次に、インターネット現象の特徴は、その栄枯盛衰の速さにある。急激な盛り上がりを見せたと思いきや、瞬く間に消えてなくなってしまう。昨年、「罵倒グループ」が一気にブームになったが、すぐさま消え去ったことからも一目瞭然だ。今回、突然「称賛グループ」が注目されなかったなら、人々は「罵倒グループ」の存在すら忘れていたかもしれない。同じように、「称賛グループ」の行く末も、「生まれては消える」となる可能性が高い。

実際、流行にのって「称賛グループ」サービスを購入した多くの人は、グループ内で寄せられる賞賛の言葉は全て、「コピペ」されたような内容で、インタラクティブ性や面白みに欠け、なかにはバツの悪い思いにさせられるコメントすらあり、3分も経たないうちに、自分からグループを退会してしまったという人も少なくないのだという。(編集KM)

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