<直言!日本と世界の未来>米朝首脳会談の「決裂」は残念=非核化実現へ早期の3回目会談を期待―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年3月3日(日) 5時50分
米朝首脳会談の「決裂」は残念=非核化実現へ早期の3回目会談を期待
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世界中の耳目がベトナム・ハノイに集まった第2回米朝首脳会談だったが、北朝鮮の非核化の具体的措置を巡り米朝の思惑がすれ違い、事実上決裂。トランプ氏と金正恩氏は「蜜月」をアピールしていたが、トップ交渉による「成果」は得られなかった。写真はベトナム。
世界中の耳目がベトナム・ハノイに集まった第2回米朝首脳会談だったが、北朝鮮の非核化の具体的措置を巡り米朝の思惑がすれ違い、事実上決裂した。トランプ米大統領は「互いに恋に落ちた」とまで表現して金正恩朝鮮労働党委員長との蜜月をアピールしていたが、トップ交渉による「成果」は得られなかった。署名式の日程まで前夜に公表されたので、筆者も期待してテレビ・ニュースを見守っていたが、裏切られた。

「彼ら(北朝鮮)は制裁の完全解除を望んだ。彼(金委員長)は非核化したがったが、我々が望む部分よりも重要ではない部分だった。それでは、我々はすべての制裁の解除はできなかった」首脳会談後、記者会見に臨んだトランプ氏は合意できなかった理由をこう明らかにした。これに対し北朝鮮側は「制裁の全面解除は求めていなかった」と反論。真相は闇に包まれている。

通常の首脳同士の外交は、事務レベルで合意事項を詰め、決裂したら失敗だが、ディール(取引)にこだわるトランプ氏にとっては失敗ではなく、単なる交渉の一つだと思っているのではないか。

北朝鮮は、ロシア疑惑などで不安定な国内政権基盤から外交成果を焦るトランプ政権の足元を見透かし、一足飛びの制裁解除を要求したようだが、「“恋に落ちた”トランプ氏なら与しやすい」との過信があったのではないか。首脳間のディール(取引)に自信を持つトランプ氏側の準備不足と戦略の欠如もあったと思う。

会見でトランプ氏は「会談は握手で終わった。最後まで友好的な雰囲気だった」と語り、非核化やさらなる緊張緩和に向けた米朝の対話が続くと強調。同席したポンペオ米国務長官も両国の担当者が「今後、数週間以内に接触する」と明らかにした。一度失われた推進力を早期に回復するのは困難な作業となるだろうが、両首脳の3回目の会談が早期に開催されることを切望したい。

トランプ氏は、北朝鮮非核化のプロセスを「非常に迅速に」推進すると約束。これに金正恩氏も「非核化実現のためにハノイに来た」と呼応した。早急に第3回米朝首脳会談を開催し、平和への決定的な一歩を画してほしい。

ICBM(大陸間弾道ミサイル)などの廃棄と引き換えに制裁解除という安易な妥協をしなかったことは、日本の安全保障環境を考えてもよかったと思う。米朝首脳会談で、トランプ米大統領が金正恩氏に拉致問題を提起したことを受け、政府は日朝首脳会談に向け調整しているという。安倍首相も「北朝鮮と直接向き合い拉致問題を解決していかなければならない」と強い意欲を示している。この機を逃さないよう積極的な対応が求められる。

地球上の多くの人々が平和を希求している。もともと韓国と北朝鮮は同じ民族。米国、中国、旧ソ連(現ロシア)など大国の思惑から、分断を余儀なくされた。かつて朝鮮半島を併合し、忍従を強いた日本にも責任がある。南北政治体制は異なっても、民衆の思いは同じであろう。いち早く統一を果たしたドイツと同様に、早く「民族統一」が果たせるよう、見守り支援したい。
<直言篇82>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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