日本漫画原作の米国映画「アリータ」 北米で不振も中国で好調

人民網日本語版    2019年2月26日(火) 16時30分

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米国のSFアクション映画「アリータ:バトルエンジェル」は、北米市場での大コケとは対照的に、中国の観客を熱狂させている。

米国のSFアクション映画「アリータ:バトルエンジェル」は、北米市場での大コケとは対照的に、中国の観客を熱狂させている。北京時間の24日、中国での封切りから3日間の興行収入は3億4千万元(1元は約16.5円)に上り、SNS豆瓣の映画評では7.6ポイント(10ポイント満点)を獲得した。中国での好調さと明らかな対照をなすのは北米市場での興行収入で、封切りから1週間で5千万ドル(1ドルは約110.6円)に届かず、映画評論サイトのロッテン・トマトでは新鮮度60%とされた。世界の累計興行収入は1億5千万ドルに上るが、制作費は1億7千万ドル、マーケティングコストは1億ドルに上り、金融アナリストによれば、「赤字を出したくなければ、世界での興行収入が4億5千万ドルから5億ドルに達しなければならない」という。「北京商報」が伝えた。

「アリータ」は日本の漫画原作で興行収入が思わしくない初めてのハリウッド作品ではない。日本漫画「攻殻機動隊」が原作の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、スター俳優のスカーレット・ヨハンソンを主役に抜擢したにもかかわらず、劣勢は挽回できず、北米市場で6千万ドルの赤字を出した。

日本漫画原作のハリウッド映画は内容の点で北米市場に合わないということがままある。映画評論家は、「二次元と三次元の間に存在する『次元』の壁が障害になり、これは容易に打ち破ることはできない。漫画を題材にした場合、気をつけないと『原作の味わいを損なう』ことになり、一般の観客を呼び込むこともできず、原作ファンにはそっぽを向かれるという、にっちもさっちもいかない状態に陥る」と説明する。

「白人中心主義」の制作理念も多くの漫画原作映画をどっちつかずのものにしている元凶の1つだ。ネットフリックスが「デスノート」を映像化した際は主人公を白人に変えた。2017年の実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、原作ではごく普通の日本人の女の子だった主人公・草薙素子を世界的スターのスカーレット・ヨハンソンが演じるということで、「白人中心主義」ではとの論争が盛り上がった。主役が発表されると、独立系漫画家のジョーン・ツイ氏は、「『攻殻機動隊』は日本ならではの物語で、世界のどの場所でもこの物語は成り立たない」と疑問の声を上げた。

そこで北米市場で不評の日本漫画原作ハリウッド映画は、アジア・太平洋市場に希望を託すしかなくなった。17年に封切られた「ゴースト・イン・ザ・シェル」は北米での興行収入は低迷したが、中国では2億元に達し、海外興行収入の半分以上を稼ぎ出した。同じようにふるわなかった「アリータ」も中国市場に注目。今月18日には、これまで中国を訪れたことがほとんどなかったジェームズ・キャメロン監督が中国で宣伝活動を展開し、中国産SF「流浪地球」(さまよえる地球)の大ヒットにあやかって、「アリータ」に弾みをつけようとした。映画のリアルタイムデータを提供する猫眼専業版は「アリータ」の興行収入を8億9800万元と予想し、業界関係者は、「現在の勢いから考えて、8億9800万元の達成は不可能ではないし、もっと上にいく可能性もある」と予想する。

映画そのもののクオリティについて、業界関係者は、「他の日本漫画原作のハリウッド作品に比べれば、『アリータ』は鑑賞に堪える。ただ、作品そのものについていえば、可もなく不可もなくといったところだ」と述べる。「アリータ」は日本の漫画「銃夢」が原作で、キャメロン監督は早くも00年に映画化権を獲得した。だが19年の歳月を費やした「アリータ」は、「アバター」の驚異的な水準には達していない。北京電影学院の劉炎■(品の口が火)客員教授は、「中国の観客は非常に大きな規模で映画鑑賞の目を急速に肥やしている。19年はSF作品がさらに大きな進歩を遂げており、中国映画産業の発展ペースを上回っている。これもまた観客が広い視野で映画を見るようになったことが原因だ」と分析する。(編集KS)

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