安倍首相の「戦後日本外交の総決算」=「実現は困難」と中国メディア、最大の懸案は日米安全保障体制

Record China    2019年2月22日(金) 15時20分

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安倍首相が掲げる「戦後日本外交の総決算」について、中国メディアは「実現は困難」と冷ややかにみている。記事は「総決算の最大の懸案は日米安全保障体制の問題だ」と指摘している。写真は安倍首相。

安倍晋三首相が掲げる「戦後日本外交の総決算」について、中国メディアの中国網は「実現は困難」と冷ややかに見ている。記事は「総決算の最大の懸案は日米安全保障体制の問題だ」と指摘。「米軍基地が日本の領土に点在しており、日本が戦後を脱却したとは言い難い」と論じている。

安倍首相は1月1日付で発表した年頭所感で「本年は外交面で大きな課題に挑戦する。大きな転機が訪れる中で、戦後日本外交の総決算を果断に進めていく」と強調。北方領土問題や日本人拉致問題の解決、日中関係の発展に全力を挙げる考えを明らかにした。

この「戦後外交の総決算」に関して、中国網は廉徳瑰・上海外国語大学日本研究センター主任による記事を掲載。この中で廉氏は「1980年代に中曽根康弘氏が掲げた『戦後政治の総決算』を想起させる」と述べ、「中曽根氏は当時、日本は日米安保体制のみで経済発展を実現しようとする『吉田路線』から脱却すべきと考え、自主防衛を実現すべきと主張した」と振り返った。

続いて「2006年に同じく自民党内のタカ派である安倍氏が初めて首相に就任すると『戦後レジームの総決算』を掲げた。これは中曽根氏の『総決算』を受け継いでいる」と言及。同時に「『戦後政治の総決算』にせよ『戦後レジームの総決算』にせよ、その最終目標は日米安保体制からの脱却、『マッカーサーの憲法』の否定、すなわち戦後レジームを覆すことで、日本の歴史修正主義者にとって、これは実現が困難だ」との見方を示した。

一方で記事は「戦後外交の総決算」は「漸進的な手段で戦後レジームから脱却する方針と言える」と解説。「(1951年9月に調印された)サンフランシスコ講和条約は、戦後日本といわゆる『民主陣営』との戦後処理の問題を解消しただけであり、ソ連、朝鮮、中国との間には依然として法律・感情的なわだかまりがあった。戦後処理はまだ終わっておらず、第2次世界大戦の影から抜け出していない」と断じ、「日朝関係の正常化、日露平和条約、中日関係の新時代のスタートといった問題は、安倍氏の今年の外交の重要課題となっている」とした。

さらに「日本の外交にとって、『総決算』の最大の懸案は日米安全保障体制の問題だ。米軍基地が日本の領土に点在しており、日本が戦後を脱却したとは言い難い」と主張。「安倍氏は2016年5月に米国のオバマ大統領(当時)を広島に招待したが、米国人から謝罪の一言はなかった。原爆の影は現在も日本人の心を覆っている」と述べた。

その上で「日本が米国に追随する『吉田路線』から外れるのは、口で言うほど容易なことではない」と分析。「安倍氏のいわゆる『戦後外交の総決算』は道に就いたが、現状を見る限り依然として一つの願いに過ぎず、今後はより長い道を歩む必要がありそうだ」と結んでいる。(編集/日向)

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